この記事でわかること
・経理のブランク転職は例外ではないこと(入職者の18.1%が就業していない期間を経て入職)
・ブランク期間別に、採用側が何を確認しているか
・説明を「空白の弁明」ではなく「継続の証明」に組み替える方法
・年収がどう動くかの実数(40〜44歳は45.9%が増加)
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
1年半ほど、働いていない期間があります。それでも経理に戻れるでしょうか。正直、空白があるだけで落とされそうで不安なんです。
LXキャリア
そのご相談は、面談でもよくいただきます。実は、働いていない期間を経て入職する方は、統計上もまったく珍しくないんです。この記事では、まず数字で位置づけを確かめてから、説明の組み立て方を整理しますね。
ブランクの理由は、育児、介護、療養、あるいは資格の勉強など。理由はさまざまですが、不安の中身は共通しています。「空白があること自体で落とされるのではないか」という心配です。
そこで本記事では、まず公的統計でブランクの位置づけを確認します。次に期間別の見られ方を整理し、最後に説明の組み立て方をお伝えします。
【実数】入職者の18.1%はブランクを経て入職している
まず前提を確認しましょう。そこで、厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、入職者を職歴によって2つに分けています。
| 区分 | 中身 | 人数 |
|---|---|---|
| 転職入職者 | 入職前1年間に就業経験がある | 492.0万人 |
| 未就業入職者 | 入職前1年間に就業経験がない | 255.4万人 |
| うち新規学卒者 | 学校を出てそのまま就職した方 | 120.4万人 |
| うち新規学卒者以外 | 就業していない期間を経て入職した方 | 134.9万人 |
| 入職者の合計 | ― | 747.4万人 |
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表3-1 性・就業形態、職歴別入職者数。新規学卒者以外の未就業入職者数は当社が差引きで算出。全産業が対象で、経理職に限定した数値ではありません。
入職者747.4万人のうち、134.9万人は新規学卒者ではない未就業入職者でした。割合にすると18.1%です。つまり入職者のおよそ5人に1人は、就業していない期間を経て働き始めています。
したがってブランクは、統計上まったく例外ではありません。むしろ採用側にとっては、日常的に接している状況です。
なお未就業入職率は、男4.2%に対して女6.0%でした。就業形態別では、一般労働者3.5%、パートタイム労働者9.2%です。
ブランク期間別|採用側が確認していること
とはいえ、期間によって見られ方は変わります。そこで、当社が求人企業とやり取りするなかで感じる違いを整理します。
採用する側は、空白の長さをいちばん気にしているんですか?
LXキャリア
実は、長さそのものより、その間に変わった制度に追いつけているかを見ています。というのも、この数年で経理は制度対応が大きな仕事になりましたから。そこで、期間ごとに確認されることを整理してみましょう。
つまり、長さより、いま何がわかっているかなんですね。
| 期間 | 採用側が確認すること | 対応 |
|---|---|---|
| 3か月以内 | とくに問われないことが多い | 一行で理由を添えれば足りる |
| 3か月〜1年 | 理由と、いつから働けるか | 開始可能日を明示する |
| 1〜3年 | 制度改正への追随。ブランク中の学習 | 直近の制度対応を1つ具体的に語る |
| 3年以上 | 現行のソフト・実務にどこまで戻れるか | 派遣・契約を含めた段階的な復帰も検討する |
ここで見落とされがちな点があります。採用側が心配しているのは、空白そのものではありません。この数年で制度が大きく動いたことです。
ブランク中に動いた制度を押さえておく
経理の実務は、この数年で制度対応が主要な仕事になりました。だからこそ、離れていた期間に何が変わったかを言えるかどうかが分かれ目になります。
とくに押さえておきたいのは、電子帳簿保存法とインボイス制度です。あわせて、2027年1月から税務署への源泉徴収票の提出が不要になる点も知っておくと会話が具体的になります。
👉 あわせて読みたい:電子帳簿保存法をわかりやすく解説|経理実務の対応ポイント/インボイス制度の経理実務|2026年10月の経過措置70%と仕訳を解説
ブランクがあっても経理は「戻りやすい」職種である
ブランクからの復帰という観点で、経理には有利な条件が2つあります。
条件1:業務のサイクルが決まっている
経理の仕事は、日次・月次・年次という決まった周期で回ります。しかも年次決算や申告の期限は法律で定められています。つまり「何が、いつ来るか」が最初から分かっています。
したがって復帰後も、1年を一巡すれば全体像が戻ります。営業のように相手や市況で毎回変わる仕事とは、そこが違います。
条件2:知識が陳腐化しにくい
仕訳の考え方や決算の組み立ては、数年で変わるものではありません。変わるのは制度対応とソフトの操作です。だからこそ、キャッチアップの範囲は絞り込めます。
実際、会計事務従事者の平均勤続年数は12.8年です。長く続ける方が多い職種だからこそ、いったん離れても土台は残ります。
説明を「弁明」ではなく「継続の証明」に組み替える
ブランクの説明でよくある失敗は、期間の短さを強調してしまうことです。しかし採用側が知りたいのは、長さではありません。いま何ができるかです。
そこで、次の3点をこの順で書いてください。
| 順序 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 1. 事実 | 期間と理由を簡潔に | 2024年4月〜2025年9月、育児のため離職 |
| 2. 継続 | 期間中に何を続けていたか | 日商簿記2級を取得。インボイス制度の実務対応を独学で確認 |
| 3. 稼働 | いつから、どの範囲で働けるか | 2026年11月から就業可能。月次決算までは即日担当可能 |
2番目が最も重要です。ここに何も書けないと、空白がそのまま空白に見えてしまいます。反対に、学習でも家族の会計管理でも構いませんので、数字に触れていた事実があれば書いてください。
3番目も軽視しないでください。採用側は欠員を埋めたいと考えています。したがって開始可能日が明確な方は、それだけで検討しやすくなります。
👉 あわせて読みたい:経理の職務経歴書 書き方|通過率を上げる5つのコア要素と例文/経理の書類選考が通らない原因と改善策
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経理に戻るためにブランク中にできる3つの準備
まだ復帰時期が決まっていない段階でも、進められることがあります。しかも、いずれも費用はほとんどかかりません。
準備1:会計ソフトの画面に触れておく
クラウド会計ソフトには無料で試せる範囲があります。そこで、仕訳の入力から試算表の出力までを一度なぞっておいてください。面接で「最近のクラウド会計は触っていますか」と聞かれたときに、答えの具体性が変わります。
準備2:制度改正を1つだけ深く追う
すべてを網羅しようとすると続きません。むしろ、電子帳簿保存法かインボイス制度のどちらかに絞ってください。そのうえで「自分が担当していた業務なら、どこが変わるか」まで考えておくと、実務の話として語れます。
準備3:復帰後の働き方を先に決めておく
勤務時間、通勤範囲、繁忙期の対応可否。この3つを先に決めておくと、応募先の絞り込みが早くなります。とくに繁忙期の残業可否は、経理では必ず確認される項目です。
👉 あわせて読みたい:経理の繁忙期はいつ?年間カレンダーと法定期限/経理の残業は多い?公的統計の月8時間とその限界
【実数】離職理由としての出産・育児と介護
ブランクの理由として多いのが、出産・育児と介護です。ここも実数を見ておきましょう。
| 年齢階級(女) | 結婚 | 出産・育児 | 介護・看護 |
|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 8.1% | 1.7% | 0.2% |
| 30〜34歳 | 2.8% | 3.4% | 0.5% |
| 35〜39歳 | 2.9% | 4.0% | 1.8% |
| 40〜44歳 | 0.4% | 8.1% | 0.7% |
| 45〜49歳 | 0.1% | 0.3% | 1.6% |
| 65歳以上 | ― | ― | 3.8% |
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表5 転職入職者が前職を辞めた理由別割合。この表は男女別に集計されており、男女計の値はありません。全産業が対象です。
まず、出産・育児を理由に辞めた方の割合は40〜44歳で8.1%と最も高くなっています。つまり離職のタイミングは、出産直後だけに集中していません。子どもの就学など、後から訪れる事情も背景にあると考えられます。
一方、介護・看護は年齢が上がるほど比重が増します。したがって、ブランクの理由は年代によって説明の前提が変わります。
介護で離れても、経理に戻る道はある
家族の介護で、仕事を辞めることになりそうです。しかし、一度離れたらもう戻れない気がして…。
LXキャリア
面談でお会いした方にも、親の介護が必要になって退職した経験をお持ちの方がいました。しかも、その方は退職後も別の会社で経理財務の仕事に戻っています。さらに次の仕事を探していた時期には、派遣で実務を続けて経歴に空白をつくらないようにしていました。
つまり、離れている間の過ごし方で戻りやすさが変わるんですね。
👉 あわせて読みたい:女性経理の転職、ライフイベントを考慮したキャリア設計
ブランクを経た経理の転職で、年収はどう動くか
あわせて年収の見通しも押さえておきましょう。ここでも、同じ雇用動向調査の賃金変動データが参考になります。
令和6年の転職入職者では、全年齢の40.5%が賃金増加、28.4%が変わらない、29.4%が減少でした。年齢別に見ると、40〜44歳は増加45.9%・減少29.0%、45〜49歳は増加46.4%・減少23.8%です。
ただし、これは転職入職者の数値であり、ブランクを経た方に限った集計ではありません。実務上は、ブランクが長いほどいったん条件を下げて入り直す例が多くなります。
そこでおすすめしているのが、最初の1年を「戻る期間」と位置づけることです。担当範囲を取り戻してから、次で条件を整える設計にすると無理がありません。
👉 あわせて読みたい:経理の平均年収は?中央値・企業規模別の実数データ/経理転職の年収交渉を成功させる5ステップ
経理へ段階的に復帰するという選択肢
ところで、ブランクが長い場合はいきなり正社員を狙わない方法もあります。前掲のとおり、未就業入職率はパートタイム労働者で9.2%と、一般労働者の3.5%を大きく上回ります。
つまり短時間や有期の枠は、復帰の入口として実際に機能しています。まず実務に戻り、そのうえで正社員を目指す進め方は現実的です。
それなら、ブランクが長いときはいきなり正社員を目指さないほうがいいんですか?
LXキャリア
もちろん、派遣や契約社員から戻るのも現実的な道です。先ほどの方のように、まず実務に戻ることを優先する考え方もあります。ただし正社員登用が前提なら、条件は必ず書面で確かめてくださいね。
ただし注意点があります。正社員登用を前提にする場合は、条件を書面で確認してください。当社の面談でも、登用の条件が入社後に変わった事例をうかがっています。時期・評価基準・実績要件の3点を、入社前に必ず押さえておきましょう。
👉 あわせて読みたい:派遣経理から正社員へ転職する方法|よくある壁とその乗り越え方/経理のブラック企業の見分け方|求人票・面接でのチェックポイント
ブランクについて面接で聞かれる3つの質問と答え方
ブランクがある場合、面接で必ず出る質問はほぼ決まっています。あらかじめ用意しておきましょう。
| 質問 | 相手が確かめたいこと | 答え方 |
|---|---|---|
| ブランクの理由は | 同じ事情が再発するか | 事実を簡潔に述べ、現在は解消していることを加える |
| この期間は何をしていたか | 数字から離れきっていないか | 学習や制度のキャッチアップを1つ具体的に挙げる |
| いつから働けるか | 欠員をいつ埋められるか | 日付で答える。条件付きなら条件も明示する |
いずれも、長く話す必要はありません。むしろ簡潔に答え、そのうえで実務の話に移るほうが印象は良くなります。
なお、育児や介護を理由にする場合、体制を整えたことまで添えてください。たとえば保育の手配や家族との分担です。つまり「働ける状態にある」という事実を、相手が確認できる形にします。
👉 あわせて読みたい:経理の面接で必ず聞かれる10の質問と模範回答/経理の面接でよく落ちる人の特徴と採用担当が見ているポイント
ブランクがある今の自分だと、どのくらいの年収が狙えるんでしょう?
LXキャリア
たとえば経理の年収診断なら、これまでの担当範囲と保有資格から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、最初の1年をどう設計するかを一緒に考えましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
ブランクがある方からよくいただく質問
Q1. ブランク中に資格を取る意味はありますか
あります。ブランク期間に何をしていたかを示す材料になるためです。とくに日商簿記2級は、経理求人で最も多く登場する資格です。
👉 あわせて読みたい:経理の資格ロードマップ|段階別に何をいつ取るか
Q2. 職務経歴書にブランクを書かない選択はありますか
書かないことはおすすめしません。在籍期間から必ず気づかれるためです。むしろ触れずにおくと、面接で唐突に確認される形になります。したがって、先に一行で書いておくほうが安全です。
Q3. 何年空くと戻れなくなりますか
年数だけで線が引かれるわけではありません。実際には、直近の制度に追いつけているかで判断されます。だからこそ、期間の長さより「いま何が分かっているか」を整えてください。
Q4. 年齢とブランクが重なると厳しいですか
不利になる場面はあります。ただし会計事務従事者の61.3%は40歳以上であり、年齢そのものが決定的な障壁になるわけではありません。年齢別の全体像は別記事で扱っています。
👉 あわせて読みたい:何歳まで経理転職はできる?年齢別の転職成功率と攻略法/40代の経理転職は可能?61.3%が40歳以上という実数
Q5. 派遣から始めると経歴に不利になりませんか
不利にはなりません。むしろ空白が延びるほうが説明の負荷は上がります。実際、未就業入職率はパートタイム労働者で9.2%と、一般労働者の3.5%を上回っています。つまり短時間や有期の枠は復帰の入口として機能しています。ただし、その期間に何を担当したかは必ず記録しておいてください。
Q6. ブランク中の在宅ワークは書いてよいですか
書いて構いません。とくに記帳代行や経理事務の請負であれば、実務から離れていない証明になります。その場合は、扱った件数や範囲まで添えてください。
Q7. 復帰の時期は繁忙期を避けたほうがよいですか
避ける必要はありません。むしろ繁忙期の入社には、業務の全体像を早くつかめる利点があります。ただし受け入れ側の教育が薄くなる時期でもあります。したがって入社前に、誰が指導役に付くかを確認しておいてください。なお不安が強い場合は、月次が一巡する時期を希望として伝える方法もあります。つまり時期そのものより、受け入れ体制の確認が重要です。
まとめ|ブランクは例外ではない
経理のブランク転職で押さえるべき事実は3つです。まず入職者747.4万人のうち134.9万人、割合にして18.1%が就業していない期間を経て入職しています。
次に、採用側が確認しているのは空白の長さではなく、制度に追いつけているかどうかです。そして説明は、事実・継続・稼働の3点をこの順で書いてください。
ブランクが長い場合は、段階的な復帰も選択肢になります。まずは直近の制度改正を1つ、自分の言葉で説明できる状態にすることから始めましょう。
👉 あわせて読みたい:経理の仕事大全|年収・残業・資格を実数で総覧/転職前に身につけておくべき経理スキル5選
📌 この記事の一次情報源
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表3-1(性・就業形態、職歴別入職者数)、表3-2(職歴別入職率)、表5(前職を辞めた理由別割合)、表6(転職入職者の賃金変動状況別割合)。いずれも全産業が対象
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表(会計事務従事者の年齢階級別データ)
- 当社が2026年に扱った経理・管理部門の求人および候補者面談の記録(期間別の見られ方は当社の見解であり、公的統計にもとづくものではありません)
