「資格の種類が多すぎて、結局どれから手をつければいいのか分からない」
「せっかく取るなら、転職で本当に評価される資格を選びたい」
情シス・社内SEのキャリアで、多くの人がこの壁にぶつかります。
そこでこの記事では、目的別に資格を7つ厳選しました。受験料・学習時間・想定年収インパクトを実数で比較し、ランキング形式で紹介します。
この記事でわかること
- 情シス・社内SEの資格を「目的別」に選ぶべき理由
- 受験料・学習時間・年収インパクトで比較した資格7選のROIランキング
- 未経験/インフラ・クラウド/セキュリティ・マネジメントそれぞれに効く資格
- 年代別に見た、資格の有無で変わる年収相場
情シス・社内SEの資格は「目的で選ぶ」が正解な理由
情シス・社内SEの資格は種類が多く、すべてを網羅しようとすると時間がいくらあっても足りません。そのため、まず自分の目的を決めてから資格を選ぶことが近道になります。
とりあえず資格ではミスマッチが起きる
「人気があるから」という理由だけで資格を選ぶとします。すると、実務やキャリアの方向とズレることがあります。たとえばマネジメント志向の人が、専門性の高いセキュリティ資格から始めると遠回りになりがちです。そのため、まずは自分がスペシャリスト志向かマネジメント志向かを整理しましょう。また、求人票の「歓迎資格」欄を先に眺める方法も有効です。そこから逆算すれば、ミスマッチを避けられます。
目的で選べば、学習時間もムダにならない
目的が明確なら、学習時間を「効くところ」に集中投下できます。そのため、同じ勉強時間でも転職活動での評価につながりやすくなります。また、取得順序や学習スケジュールを段階的に組みたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
自分のタイプを見極める3つの質問
資格選びに迷ったら、次の3つを自問してみてください。まず、専門職を極めたいか、チーム全体を見る側に回りたいか。次に、今の実務はインフラ寄りか、企画・運用寄りか。最後に、学習時間をまとめて取れるか、少しずつしか取れないか。そのため、この答えが狙うべき資格の系統を示します。
▶ あわせて読みたい:情シスのためのIT資格ロードマップ|基本情報からクラウドまで
【公的統計】採用担当は、資格をどこまで見ているのか
目的別の比較に入る前に、そもそも採用側が資格をどう扱っているかを確認しておきます。ここでは、厚生労働省がIT・デジタル人材の中途採用について企業に尋ねた調査を見ていきます。
下の表は、中途採用でITスキルのレベルをどうやって把握しているかを、従業員規模別・業種別に集計したものです。複数回答のため、合計は100%を超えます。
| スキルの把握方法 | 300人以上 | 300人未満 | 情報通信業 | 非情報通信業 |
|---|---|---|---|---|
| 履歴書に記載されたプロジェクト情報 | 71% | 74% | 73% | 72% |
| 各種資格や能力証明 | 51% | 37% | 40% | 53% |
| 公的なスキル標準(ITスキル標準等) | 37% | 37% | 35% | 41% |
| 社内の独自基準 | 33% | 37% | 37% | 31% |
| GitHub・Kaggle等のプラットフォーム | 4% | 3% | 4% | 3% |
出典:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書」(令和6年3月)第2章。n=49(300人以上)/35(300人未満)/52(情報通信業)/32(非情報通信業)
資格は「2番目」に見られている
最も多かったのは履歴書に書かれたプロジェクト情報で、どの区分でも71〜74%を占めていました。次いで各種資格や能力証明が続きます。つまり、資格は見られてはいるものの、実績の次に置かれているということです。
だからこそ、資格を選ぶときは「実績とセットで語れるか」が基準になります。逆に言えば、いま担当している業務と関係のない資格を取っても、面接での説明が薄くなりがちです。
情シス志望なら、資格の重みは業界より大きい
ただし、業種別の内訳を見ると景色が変わります。各種資格や能力証明を使う企業は、非情報通信業で53%に対し、情報通信業では40%でした。その差は13ポイントです。
ここは見落とされやすい点です。というのも、情シス・社内SEの主戦場は製造業や金融、官公庁といった非情報通信業だからです。したがって、「資格より実務」という通説には前提があります。IT業界の話を情シス転職にそのまま当てはめるのは適切ではありません。
さらに、従業員300人以上では51%、300人未満では37%と、規模が大きいほど資格を参照していました。そのため、大手企業の情シス部門を狙うほど、資格の有無が書類選考で効きやすくなります。
この統計を読むときの注意
まず、回答企業数は各区分で32〜52社と多くありません。そのため、パーセンテージの細かい差を過度に読み込むのは避けてください。
次に、この調査は「何を見ているか」を尋ねたものです。「どれだけ重視しているか」という重みまでは測っていません。資格を参照する企業が53%あっても、それが合否をどこまで動かすかは別の話です。
なお、同じ調査の企業ヒアリングも参考になります。資格取得が自己目的化しないよう、技能手当を一時金で支給する企業が複数ありました。企業側も、資格を集めること自体は評価していないという裏づけになります。
【実数比較】情シス・社内SEにおすすめの資格7選のROIランキング

ここでは代表的な7資格を、受験料・学習時間・想定年収インパクトの3軸で比較します。また、数値はIPA・AWS・PeopleCert等の公式情報をもとにしています。あわせて、当社が支援した転職者への年収ヒアリングを反映した目安です。

※受験料は為替・実施年度により変動します。最新情報は各資格の公式サイトでご確認ください。年収インパクトは当社ヒアリングに基づく目安であり、確約するものではありません。
ROIランクの見方
Sランクは「受験料・学習時間に対して、年収インパクトが特に大きい」資格です。基本情報技術者試験は受験料が安く、土台として広く効くためSランクにしました。さらに、AWS認定は学習時間のわりに年収インパクトが大きい資格です。クラウド人材の需要の高さを反映しています。一方で、Aランクは学習時間や受験料がかかります。ただし、専門職としての評価を大きく引き上げます。ただし、Bランクは土台づくりや補完としては有効でも、単体での年収インパクトが限定的な資格です。
このランキングの前提条件
この表は、あくまで「未取得から新規に取得する場合」を想定しています。また、すでに実務経験が豊富な方は、年収インパクトがこれより大きくなることもあります。さらに、年収インパクトは資格単体ではなく、実務での活用とセットで実現するものです。ただし、企業規模や業界によって評価の重みは変わります。応募したい求人の要件を確認しながら参考にしてください。
目的別ランキング①|未経験・土台づくり層に効く資格
ヘルプデスクやキッティングから、企画やDX推進を目指す方もいます。その場合は、次の2資格が効きます。
1位 基本情報技術者試験
情シスの共通言語となる、最初の1つに最適な資格です。ITの基礎知識を体系的に証明でき、未経験からの転職でも安心材料になります。さらに、一段上を目指すなら応用情報技術者で設計やマネジメントの知識を補えます。また、年に複数回受験できる方式に変わったため、社会人でも学習計画を立てやすくなった点も見逃せません。
▶ あわせて読みたい:基本情報技術者の難易度は?勉強時間・合格率と転職で武器になるか
2位 ITパスポート
学習時間を確保しにくい方には、ITパスポートが現実的な入口になります。また、基本情報技術者よりも学習時間は短く、ITの全体像を短期間でつかめます。ただし、単体での年収インパクトは限定的なため、次のステップを見据えて選びましょう。たとえば、異業種から情シスを目指す方も多く選びます。最初の一歩として扱いやすい資格です。
未経験転職で見られるのは資格だけではない
未経験からの転職では、資格の有無に加えて「なぜ情シスを目指すのか」という動機が重視されます。また、基本情報技術者やITパスポートは、その動機を裏づける材料として機能します。そのため、勉強を通じて何を理解したかを整理しておきましょう。あわせて、実務でどう活かしたいかも語れると安心です。
目的別ランキング②|インフラ・クラウドエンジニア志向に効く資格

ネットワークやサーバー、クラウド基盤を強化したい方には、次の3資格がおすすめです。
1位 CCNA
ネットワークの基礎から実務レベルまでを網羅する、世界的に認知度の高い資格です。ただし、受験料は他資格より高めです。その分、インフラエンジニアとしての評価が上がりやすい傾向があります。さらに、ベンダー調整や社内ネットワークの企画にも直結します。
2位 AWS認定(SAA)
クラウド資格の中でも特に需要が高いものがあります。AWS認定ソリューションアーキテクト・アソシエイト(SAA)です。また、設計の考え方を体系的に学べます。そのため、クラウド移行を進める企業で評価されます。さらに、学習時間のわりに年収インパクトが大きく、ROIランキングでもSランクです。
▶ あわせて読みたい:CCNA 転職は有利?難易度・勉強時間・活かせる職種を解説
3位 LPIC/LinuC
Linuxサーバーの構築・運用スキルを証明する資格です。また、オンプレミスのサーバー管理が残る企業や、インフラの内製化を進める企業で評価されます。さらに、CCNAやAWS認定と組み合わせると、インフラ人材としての幅が広がります。
インフラ・クラウド資格は「組み合わせ」で評価が上がる
インフラ系の資格は、単体よりも組み合わせで評価される傾向があります。たとえば、CCNAとAWS認定を両方持っている場合を考えてみてください。すると、オンプレミスからクラウド移行までを一貫して任せられる人材として見られます。ただし、すべてを一度に取る必要はありません。まず1つを取得し、実務で使いながら次を検討する進め方が現実的です。
目的別ランキング③|セキュリティ・マネジメント志向に効く資格

専門職やマネジメント層を目指す方には、次の3資格が効きます。
1位 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
情報セキュリティの国家資格で、難関ですが専門職への扉を開きます。ただし、合格後は登録費用や更新講習費用がかかります。その分、セキュリティ担当や監査対応を任される道が開けます。そのため、ROIランキングでもAランクの評価です。
2位 ITIL 4 Foundation
サービス運用の型を学べる国際的なフレームワークです。また、学習時間は20〜30時間と短めです。それでも、ヘルプデスクの脱属人化やベンダー調整の場面で評価されます。そのため、管理職や情シスリーダーを目指す人に向いています。
3位 応用情報技術者試験
基本情報の上位資格で、設計・マネジメントの知識を体系的に補えます。ただし、学習時間は長めです。それでも、IT部門のマネジメント層を目指す際の足場になります。そのため、基本情報を取得済みの方が、次に検討すべき資格の代表格です。
セキュリティかマネジメントか、どちらを優先すべきか
両方に興味がある場合は、まず今の実務に近い方から着手するのが得策です。たとえば、日々インシデント対応に関わっているなら支援士です。一方、ベンダー調整や運用改善が中心ならITILから始めましょう。そうすれば、学んだ内容をすぐ実務で試せます。そのため、実務と学習が近いほど知識の定着も早くなります。
年代別の年収相場と、資格を成果につなげるポイント
情シス・社内SEの年収は、一般に400万〜700万円台が中心層です。ここでは年代別の相場を示します。あわせて、資格を転職成果につなげる実践ポイントも整理します。
| 年代 | 資格なしの年収レンジ | 資格ありの年収レンジ |
|---|---|---|
| 20代 | 350万〜450万円 | 380万〜500万円 |
| 30代 | 450万〜600万円 | 500万〜700万円 |
| 40代 | 500万〜650万円 | 600万〜850万円 |
年代別に見る資格の効き方
20代:資格の有無による差はまだ大きくありません。ただし、基本情報技術者やITパスポートを持っていると書類選考の通過率が上がる傾向があります。そのため、土台となる資格を早めに取得しておくと、その後のキャリアが有利に進みます。
30代:資格の有無による年収差が広がり始めます。とくに、AWS認定やCCNAのような専門資格が効きます。インフラ・クラウド人材としての市場価値を直接押し上げるからです。そのため、この年代で専門資格を取得できるかが、その後の年収レンジを左右します。
40代:マネジメント志向かスペシャリスト志向かで、有効な資格が分かれます。また、応用情報やITILはマネジメント層への足場になります。一方、情報処理安全確保支援士は専門職としての評価を高めます。さらに、実務経験と資格を組み合わせることで、年収レンジの上限を押し上げやすくなります。
▶ あわせて読みたい:情シスの年収は低い?上がらない理由と年収を上げる方法【専門家が解説】
資格を面接・実務でどう活かすか
資格は取得して終わりではなく、転職活動や実務でどう使うかで価値が変わります。また、面接官が知りたいのは資格の名前ではなく、その知識をどう実務に活かせるかです。たとえば、AWS認定を取ったとします。「学んだ設計思想で社内資産をどう見直すか」まで語れると説得力が増します。
また、今の職場でも資格取得は評価材料になります。さらに、小さな改善提案を1つ実行しておきましょう。すると、転職活動での実績としても語りやすくなります。一方で、学習方法は独学・通信講座・社内制度の3択です。なお、CCNAやAWS認定のような実務色の強い資格もあります。その場合は、演習環境が整った通信講座の方が効率的です。そのため、まずは勤務先に資格取得支援制度がないかを確認しましょう。
面談現場から:資格より「今できること」を先に出した人
ここでは統計に表れない部分を、実際の面談からお伝えします。以下は当社が2026年に実施した面談の内容で、匿名化のうえ掲載しています。
IT経験が数年の20代の方です。ヘルプデスクから始めて、現在は複数の案件を並行して担当しています。転職活動中ではなく、情報交換としてお話をうかがいました。資格は保有していません。
「資格より、今できることを打ち出すほうが市場では強いと思っています」
ここから読み取れること
この判断は、前掲の統計とよく符合します。採用側が最も参照していたのは履歴書のプロジェクト情報で、どの区分でも71〜74%でした。実績が先で、資格は次という順序は、実際の数字にも表れています。
ただし、この方が働いているのは受託・支援の領域です。そのため、上のセオリーがそのまま当てはまります。一方で、非情報通信業の情シス求人に応募する場合は、資格を参照する企業が53%まで上がります。同じ「資格より実務」という言葉でも、応募先によって重みが変わるということです。
なお、この方は「引き出しを複数作らないと今後食べていけない」とも話されていました。だとすれば、実績で通用する領域では実績を出し、資格が効く領域では資格を足すという使い分けが現実的です。目的から逆算するという本記事の考え方は、まさにこの使い分けを指しています。
情シスの資格選びに関するよくある質問
ここでは、資格の選び方について寄せられることの多い質問をまとめます。有効期限や学習の進め方など、実際の面談で出た内容が中心です。
資格に有効期限はありますか?
資格によって異なります。たとえば、CCNAやAWS認定は数年ごとの更新や再受験が必要です。一方で、基本情報技術者やITパスポートは更新が不要です。そのため、取得前に公式サイトで確認しておくと安心です。
複数の資格を同時に勉強してもよいですか?
基本的にはおすすめしません。というのも、学習範囲が分散すると、どちらも中途半端になりやすいためです。そのため、まずはSランクの資格を1つ選んでください。合格してから次に進む方が、結果的に短期間で揃います。
文系出身でも資格は取得できますか?
十分に取得できます。実際、当社が支援した転職者にも文系出身の方がいます。基本情報技術者を取得し、キャリアを切り替えました。そのため、理系知識よりも継続して学習する習慣の方が合否を左右します。
資格取得の費用は会社が負担してくれますか?
企業によります。たとえば、資格取得支援制度がある会社もあります。受験料や教材費の一部または全額を補助してもらえます。ただし、制度がない場合でも諦める必要はありません。合格実績を評価材料にできないか、上長に相談する価値はあります。
資格と実務経験は、どちらを優先すべきですか?
実務経験が先です。前掲の調査でも、採用側が最も見ているのは履歴書のプロジェクト情報でした。ただし、非情報通信業では資格を参照する企業が53%あるため、情シス志望なら資格を軽視しない方が得策です。
取得する順番に決まりはありますか?
土台から積み上げるのが基本です。なお、フェーズごとの取得順や学習スケジュールは、ロードマップ記事で詳しく解説しています。
▶ あわせて読みたい:情シス資格ロードマップ|取得順番と学習スケジュール
まとめ|資格は「目的から逆算」すれば転職の武器になる
情シス・社内SEの資格選びで大切なのは、網羅することではなく目的から逆算することです。たとえば、未経験なら基本情報技術者です。インフラ・クラウドならCCNAやAWS認定になります。セキュリティやマネジメントなら支援士やITILです。このように、狙うゴールに直結する資格から着手しましょう。
資格は転職市場での「入場券」であり、それ単体で内定が決まるわけではありません。また、実務での改善実績と組み合わせてください。DX推進への挑戦経験と重ねて、初めて年収アップにつながります。そのため、まずは1つ、目的に合った資格から始めてみてください。
どの資格から始めるべきか、迷っていませんか?
あなたの経験・目指すキャリアに合わせて、優先すべき資格と転職タイミングをプロがアドバイスします。
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📌 この記事の一次情報源
- 当社が支援した情シス・社内SE転職者への年収・資格取得状況ヒアリング調査(2026年実施)
- 厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書」(令和6年3月)第2章 企業がIT・デジタル人材を採用・処遇する上で重視している事項 — 調査報告書(PDF)
- IPA 独立行政法人情報処理推進機構「情報処理技術者試験」受験料・試験区分情報 — https://www.ipa.go.jp/shiken/
- Amazon Web Services「AWS認定」試験概要・受験料情報 — https://aws.amazon.com/jp/certification/
- 当社(株式会社LX)が2026年に実施したITエンジニア・情シス職の転職相談面談(複数名)。掲載にあたり、氏名・企業名は伏せ、年齢は年代表記、年収は概数に丸めています。
