「CCNAを取れば、インフラエンジニアや社内SEとしてもっと評価されるんだろうか」
「実務経験もまだ浅いのに、100時間以上の勉強時間をかける価値があるのか」
ネットワーク領域への転職を考える情シス・社内SEから、こうした声をよく聞きます。しかし、CCNAの評価は目指す職種によって重みが変わります。そこでこの記事では、実際の評価のされ方と、難易度・勉強時間・年収の目安を具体的なデータで整理しました。
この記事でわかること
- CCNAが転職市場でどう評価されるか、情シス・社内SE視点での位置づけ
- 難易度・勉強時間の目安と、資格別の位置づけの違い
- CCNAが武器になる職種・評価されにくいケースと、年収レンジの目安
- 取得後に描ける転職ロードマップと、よくある疑問への回答
CCNAとは?情シス・社内SE転職での位置づけ

CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、シスコが認定するネットワーク資格です。現在は「200-301 CCNA」という1つの試験に統合されています。そして出題範囲は、ルーティングやスイッチング、IP接続、セキュリティの基礎まで広く及びます。さらに、自動化も対象に含まれます。
CCNAで証明できるスキル
この資格は、ネットワークの設計・構築・運用の基礎を理解している証明になります。具体的には、TCP/IPやサブネット設計、VLAN、無線LANなどです。また、近年は自動化やプログラマビリティも範囲に含まれます。そのため、単なる暗記ではなく実務の土台として機能します。
CCNAの試験概要と合格の目安
試験時間は120分で、出題数はおおむね90〜110問です。なお、合格ラインは公式に数値公開されていません。ただし、スコアレンジ300〜1000の中で7割前後が一つの目安とされています。出題形式には、設定コマンドを入力するシミュレーション問題も含まれます。したがって、暗記だけでなく実際の操作理解が必要です。
情シス・社内SEでCCNAが注目される理由
情シスや社内SEは、社内ネットワークやWi-Fi、VPNの運用を担います。そのため、こうした業務の共通言語を身につける資格として役立ちます。さらに、ヘルプデスクからインフラ企画へ広げたい人には、スキルの裏づけになります。一方で、企画・DX推進が中心の求人では評価の重みが変わります。
とくに、拠点拡大や在宅勤務でネットワーク構成が複雑化している企業があります。そうした環境では、VPNやアクセス制御の知識がそのまま実務課題に直結します。
CCNAと他のIT資格との難易度比較
CCNAの立ち位置は、他のIT資格と比べると分かりやすくなります。下表は、情シス・社内SE転職でよく比較される資格の難易度と訴求ポイントの目安です。
| 資格 | 難易度の目安 | 転職での訴求ポイント |
|---|---|---|
| ITパスポート | 入門 | ITリテラシーの土台 |
| 基本情報技術者 | 中級(基礎) | ソフト・システム全般の基礎知識 |
| CCNA | 中級(ネットワーク特化) | ネットワーク運用・設計の実務力 |
| 応用情報技術者 | 中級上位 | マネジメントも含む幅広い応用力 |
CCNAはネットワーク領域に特化している分、幅広い基礎を問う基本情報技術者とは評価される場面が異なります。目指す職種に応じて、どちらを優先するかを判断するとよいでしょう。
CCNAの難易度と勉強時間の目安

CCNAは国家資格ではありませんが、実務に踏み込む分だけ学習範囲は広めです。ここでは難易度と勉強時間の目安を整理します。
CCNAの難易度
CCNAはIT資格の中では「中級の入口」に位置します。日本の国家資格でいえば、基本情報技術者と応用情報技術者の中間あたりのイメージです。ネットワークに特化している分、専門用語や設定コマンドの理解が必要になります。ただし、範囲が明確なので対策は立てやすい資格です。
勉強時間の目安と学習法
勉強時間は、実務経験のレベルによって大きく変わります。下表に目安をまとめました。
| 実務経験レベル | 勉強時間の目安 | 学習期間の目安 |
|---|---|---|
| ネットワーク実務経験あり | 100〜150時間 | 1.5〜2ヶ月 |
| IT実務経験あり(ネットワーク未経験) | 150〜200時間 | 2〜3ヶ月 |
| 異業種からの未経験 | 200〜250時間 | 3〜4ヶ月 |
学習は3段構えが効果的です。まず公式教材で全体像を掴み、次に問題集で弱点を洗い出します。そして、シミュレータで手を動かします。とくにコマンド操作は、反復すると定着します。なお、受験料は300米ドル(国内では約4万円台)で、有効期間は3年です。
受験の申し込みからスケジュールの立て方
申し込みは、Cisco公式サイトからピアソンVUEの予約ページ経由で行います。全国の主要都市にテストセンターがあり、比較的空きは見つかりやすいほうです。そのうえで、逆算して1.5〜4ヶ月の学習期間を確保しましょう。さらに、直前2週間は模擬問題での総仕上げに充てるとスケジュールが立てやすくなります。
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CCNAが活きる職種と転職での評価

CCNAの評価は、職種によって大きく変わります。ネットワークを扱う度合いが高いほど、資格は強い武器になります。
CCNAが強い武器になる職種と年収レンジの目安
まず、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアでは、CCNAは基礎スキルの証明として高く評価されます。次に、社内ネットワークの運用を担う情シス・社内SEでも、実務との相性が良い資格です。下表は、CCNAの有無による年収レンジの目安です。
| 職種 | CCNAなしの年収目安 | CCNA保有時の年収目安 |
|---|---|---|
| ネットワーク運用担当 | 380〜450万円 | 420〜520万円 |
| インフラエンジニア | 420〜500万円 | 480〜600万円 |
| 情シス・社内SE(ネットワーク担当) | 400〜480万円 | 450〜560万円 |
| SIer・ITベンダー出身の転職者 | 450〜550万円 | 500〜650万円 |
さらに、SIerやITベンダーからユーザー企業の情シスへ移る際にも機能します。加えて、未経験気味の応募でも学習意欲を示す材料になります。
評価されにくいケース
一方で、業務システムの企画やDX推進が中心の求人もあります。そこでは業務理解やプロジェクト推進力が重視され、資格単体の加点は限定的です。ただし、無意味になるわけではありません。ネットワークの基礎理解は、ベンダー折衝やインフラ判断で確実に効きます。したがって、土台と捉えると活かし方を誤りません。
未経験・第二新卒からの評価は?
ネットワーク実務が未経験の場合でも、道はあります。資格に加えてホームラボやシミュレータでの構築経験を語れると、ポテンシャル採用の対象になりやすくなります。とくに第二新卒や社会人3年目前後の層では、資格と学習プロセスの説明が、実務経験の不足を補う材料として機能します。
実際の求人票では、「CCNA歓迎」と明記されるケースがあります。他方、「ネットワーク基礎知識」とだけ書かれ、資格名が特定されないケースもあります。後者の場合も、学習で得た知識は面接での受け答えに直結します。そのため、資格名そのものより学習内容を語れるかが評価を分けます。
【公的統計】資格の先で賃金を分けるのは「持ち運べる力」
CCNAは技術を証明する資格です。ただし、資格を取ったあと実際に賃金が上がるかどうかは、別の要因にも左右されます。そこで、厚生労働省がIT・デジタル人材に限定して実施した調査を見てみます。
この調査は、業種や職種を超えて通用する力を「ポータブルスキル」として9項目で測り、転職後の賃金変化と突き合わせています。
| ポータブルスキルの平均レベル | 賃金が増加 | ほとんど変化なし | 賃金が減少 |
|---|---|---|---|
| 4.5〜5.0(n=14) | 79% | 14% | 7% |
| 3.5〜4.5(n=42) | 57% | 29% | 14% |
| 2.5〜3.5(n=92) | 66% | 21% | 13% |
| 1.5〜2.5(n=119) | 52% | 25% | 23% |
| 0.5〜1.5(n=75) | 43% | 31% | 27% |
出典:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書」(令和6年3月)第3章(n=342)
上位層と下位層で36ポイントの差
ポータブルスキルが最も高い層では、転職後に賃金が増加した人が79%でした。対して、最も低い層は43%です。その差は36ポイントあります。減少した人の割合も、7%と27%で開いています。
CCNAが証明するのは、ルーティングやVLAN設計といった技術の理解です。一方、この調査が測っているのは、課題を定義する力や関係者を動かす力など、環境が変わっても持ち運べる力を指します。つまり、両者は別の軸です。
だからこそ、資格と実務エピソードをセットで語る意味があります。CCNAで入口を作り、ベンダー折衝や構成見直しの経験を足す。この組み合わせが、年収の交渉材料になります。
この統計を読むときの注意
まず、この傾向は完全な右肩上がりではありません。3.5〜4.5の層は57%で、その下の2.5〜3.5の層(66%)を下回っています。したがって、レベルが一段上がるごとに確実に伸びる、という読み方はできません。
次に、最上位層は回答者が14人と少数です。そのため、79%という数値は幅を持って見る必要があります。ただし、最上位と最下位の36ポイント差は、中間層の凹凸を踏まえても無視できない開きです。
なお、ポータブルスキルは自己申告による9項目の平均値です。加えて、これは相関であって因果ではありません。持ち運べる力が高い人は、そもそも交渉の場に立てる立場にいる、という順序も考えられます。
CCNAを取るべき人・取らなくてよい人
CCNAは万能ではないため、自分の目標と照らして判断することが大切です。取得の向き不向きを整理します。
CCNAを取るべき人
ネットワークやインフラ方向にキャリアを広げたい人には、CCNAは有効です。また、ヘルプデスクやキッティング中心の業務から、運用・設計へステップアップしたい人にも向きます。さらに、SIer・SESから社内SEへ移り、担当領域を明確にしたい人にも役立ちます。学習を通じて、実務の抜けを補える点も利点です。
とくに、独学で運用してきた社内ネットワークの構成を体系的に見直せた、という声もよく聞きます。つまり、断片的な知識を整理し直す機会としても有効です。
取らなくてよい人・後回しでよい人
反対に、業務システム企画を主軸に据える人は優先度を下げてよい場合があります。というのも、この層では基本情報技術者や業務知識のほうが響くこともあるためです。たとえばAWS認定資格は、クラウド移行案件が中心の求人で評価されやすい傾向があります。とはいえ、将来インフラ判断に関わる可能性があるなら、CCNAを取得しておく価値は十分あります。迷う場合は、志望求人の要件を先に確認すると判断が早まります。
実務経験の言語化を優先すべきか、資格取得を優先すべきかで悩む場合は、応募したい求人の必須要件・歓迎要件を確認するのが近道です。「歓迎スキル」欄に明記されているなら、学習の優先度は上がります。一方、業務要件定義やベンダーマネジメントが重視される求人もあります。その場合は、実務エピソードの整理を先に進めるほうが効果的です。
▶ あわせて読みたい:情シスのためのIT資格ロードマップ|基本情報からクラウドまで
CCNA取得後の転職ロードマップ
CCNAは、取得後の動き方で価値が大きく変わります。資格を「実務と接続する」視点で活かしましょう。
資格を実務と結びつける
まず、学んだ内容を現職の運用改善に一つでも反映させます。たとえば、VLAN設計の見直しや無線LANの安定化などです。次に、職務経歴書には学んだ知識をどの業務に活かしたかを書きます。そのうえで、行動と成果をセットで示すと説得力が増します。
取得後の年収推移とキャリアの広げ方
CCNAの次は、目指す方向で選択肢が分かれます。ネットワークを深めるなら上位資格、インフラ全体ならクラウド系の資格が候補です。取得からのタイミング別に、想定される年収レンジの目安を整理しました。
| タイミング | 想定年収レンジ | 主な変化 |
|---|---|---|
| CCNA取得前 | 380〜450万円 | ヘルプデスク・運用中心 |
| CCNA取得直後 | 420〜520万円 | ネットワーク運用の実務を追加 |
| 取得後1〜2年(実績あり) | 480〜600万円 | 設計・構築を担当 |
| 取得後3年以降(上位資格併用) | 550〜700万円 | インフラ全体のリード |
また、コーポレートIT寄りに進むなら、業務知識やセキュリティの学習を組み合わせると強みが立体的になります。転職のタイミングは、実務での適用実績が一つできた時が狙い目です。書類と面接の両方で語れる材料が揃うためです。
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面談現場から:資格ではなく、単価を決める側にいるか
ここでは統計に表れない部分を、実際の面談からお伝えします。以下は当社が2026年に実施した面談の内容で、匿名化のうえ掲載しています。
20代の方で、客先常駐の現場でインフラ運用を担当したのち、現在は複数の案件を直接請ける形に切り替えています。転職活動中ではなく、情報交換としてお話をうかがいました。
「常駐を抜けたのは、間に人が入っていて単価の交渉ができなかったからです」
ここから読み取れること
この方が動いた理由は、技術力の不足ではありませんでした。交渉の相手に直接たどり着けない構造そのものが理由です。資格を積んでも、処遇を決める人と話せなければ数字は動きません。
前掲の統計と重ねると、この話は腑に落ちます。賃金上昇率を分けていたのは技術資格の有無ではなく、持ち運べる力のレベルでした。交渉や折衝は、まさにその中核にあります。
したがって、CCNAを検討する際は「取るかどうか」だけでなく、取ったあとにその知識で誰と話せるようになるかまで考えておくと判断を誤りません。ベンダー折衝や構成の意思決定に関われる立場かどうかで、同じ資格でも効き方が変わります。
CCNA 転職に関するよくある質問
未経験でもCCNAだけでネットワークエンジニアに転職できますか?
CCNA単体でも書類選考の通過率は上がりますが、実務未経験の場合は難易度が上がります。自宅ラボやシミュレータでの構築経験、資格学習で得た知識を職務経歴書で具体的に説明できると、評価されやすくなります。
CCNAの有効期限が切れたらどうなりますか?
認定の有効期間は3年です。期限が切れると資格として認められなくなります。そのため、再受験か上位資格の取得で更新する必要があります。なお、転職活動では取得年と更新状況をあわせて伝えると誤解を防げます。
独学とスクール、どちらで勉強するべきですか?
実務でネットワークに触れている人は、独学でも十分対応できます。一方、未経験からの学習ではつまずきやすい場面もあります。その場合は、ハンズオン環境が整ったスクールを併用すると効率が上がります。
CCNAは転職エージェントでどう評価されますか?
人材紹介の現場では、「ネットワーク基礎を体系的に学んでいる証明」として好意的に評価されます。ただし、年収や書類通過率に直結するかは志望職種との組み合わせ次第です。したがって、迷ったら担当者に評価のされ方を確認するのが近道です。
CCNA以外にネットワーク系で評価されやすい資格はありますか?
ベンダー資格ではCCNP、ベンダー中立ではCompTIA Network+などが挙げられます。そのうえで、担当するネットワーク規模に応じて上位資格を検討しましょう。そうすれば、専門性を段階的に高めていけます。
まとめ|資格は入口、交渉材料は実務でつくる
この記事の要点を整理します。まずCCNAは、ネットワーク領域のキャリアを広げたい情シス・社内SEにとって実務に直結する資格です。一方で、業務企画やDX推進が中心のキャリアなら優先順位は変わります。
そして、厚生労働省の調査では、転職後に賃金が増加した人の割合はポータブルスキル上位層で79%、下位層で43%でした。その差は36ポイントです。技術資格とは別の軸が、賃金の伸びに効いています。
したがって、取るべき行動は2つに絞れます。1つは、CCNAの学習内容を現職の運用改善に一つでも反映させること。もう1つは、ベンダー折衝や構成の意思決定に関わる機会を取りにいくことです。
資格は入口をつくりますが、交渉材料は実務でしか積み上がりません。まずは志望求人の要件を確認するところから始めてみてください。
📌 この記事の一次情報源
- 厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書」(令和6年3月)第3章 転職者の属性と転職による賃金変化の関係 — 調査報告書(PDF)
- Cisco「CCNA 認定(200-301)」公式ページ(試験コード・受験料・有効期間の確認) — https://www.cisco.com/
- 当社(株式会社LX)が2026年に実施したITエンジニア・情シス職の転職相談面談(複数名)。掲載にあたり、氏名・企業名は伏せ、年齢は年代表記、年収は概数に丸めています。
- 当社CA/RAがIT・情シス領域の転職支援で培った実務知見(求人要件と資格評価の傾向)
- 当社が保有する情シス・社内SE領域の求人データおよび転職支援実績に基づく年収レンジの集計(2026年8月時点の目安)
