📋 この記事でわかること
- 情シスの資格を「フェーズ0〜4」の5段階で取得する順番ロードマップ
- 各フェーズの目安学習時間・代表資格・年収レンジを実数テーブルで整理
- 現職と両立しながら進める学習スケジュールモデル(0〜6ヶ月/6〜18ヶ月〜)
- 資格取得のベストタイミングと、スペシャリスト/マネジメント2つのキャリア分岐
「情シスとして市場価値を上げたいが、資格が多すぎてどれから手をつければいいのか分からない」
「資格を取っても、実務や年収にどうつながるのか実感が湧かない」
実際、運用や社内ヘルプデスクを担う社内SEから、こうした声をよく聞きます。IT資格は種類が多く、取得の順番を間違えると学習時間を無駄にしがちです。
そこでこの記事では、現役で情シス・社内SEの転職を支援する立場から、資格を取得すべき順番をフェーズ別のロードマップとして整理しました。何をいつ取るべきかというタイミングと、その先に広がるキャリアの分岐まで、実数データを交えて解説します。
▶ あわせて読みたい:情シスとは?仕事内容・年収・キャリアパスまで全体像を解説
情シスに資格は必要か?ロードマップを組む前の前提
結論から言えば、情シスの資格は「必須ではないが、転職では強い武器になる」ものです。もちろん、実務経験が最優先である点は変わりません。ただし、情シスは業務範囲が広く、スキルの証明がしにくい職種でもあります。
そのため、資格は自分の守備範囲を客観的に示す手段として機能します。とくに一人情シスや、SIer・SESからユーザー企業側へ移る人ほど効果が大きいと言えます。応募書類の説得力が変わるからです。
一方で、資格だけを闇雲に積んでも評価は頭打ちになります。実務での改善実績とセットで語れて初めて、情シスの資格は価値を持ちます。だからこそ、次章で示す「フェーズ順」に取得することが重要です。
また、ユーザー企業側の情シスとSIer・SESでは、資格に求められる役割が異なります。SIer・SESは案件受注のための技術証明として資格を重視する傾向があります。一方、ユーザー企業の情シスは、幅広い業務を1人でカバーする「守備範囲の証明」として資格を使う場面が多いのが特徴です。
情シス資格ロードマップ全体像|フェーズ0〜4で整理

情シスの資格は、土台から専門領域へと段階的に積み上げるのが王道です。そこで、取得の順番を5つのフェーズで示します。自分の現在地に合わせて、途中から始めても構いません。
下の表は、フェーズごとの目安学習時間・代表的な資格・年収レンジの目安をまとめたものです。なお、年収は当社が支援した情シス・社内SE転職者へのヒアリングと、厚生労働省の公開データをもとに算出した目安額です。
フェーズを飛ばして専門資格から手をつけると、前提知識が足りず遠回りになりがちです。逆に、土台のフェーズで足踏みしすぎても、専門性が評価されるタイミングを逃してしまいます。表を目安に、自分の現在地から1〜2フェーズ先を見据えて計画を立てましょう。

フェーズ0:未経験・第二新卒層|土台をつくる資格
非IT職や未経験から情シスを目指す場合は、まずITパスポートでIT全体の共通言語を身につけます。なお、難易度は易しく、学習時間は50〜100時間が目安です。そのため、応募時の意欲・基礎力の証明として機能します。
すでに情シス・社内SEとして働いている人は、このフェーズを飛ばして構いません。フェーズ0は、あくまで「未経験からの入口」を整えるための土台づくりです。実務経験がある人は、次のフェーズ1から始めましょう。
フェーズ1:初級|基本情報技術者試験
実務経験がある人が最初に取るべきなのが基本情報技術者試験です。具体的には、ハードからネットワーク、データベース、セキュリティまでを広く扱います。そのため、情シスの日常業務と重なる範囲が多く、共通言語として役立ちます。
難易度は中程度で、勉強時間の目安は100〜200時間ほどです。未経験から情シスを目指す人や、第二新卒にも適した入口になります。次のフェーズへ進む前提知識も、ここで固まります。
すでに実務経験が3年以上ある人は、基本情報の学習範囲の多くを実務でカバーできています。過去問演習を中心に、知らない分野だけをピンポイントで補強する進め方が効率的です。学習時間も100時間を切ることが珍しくありません。
フェーズ2:中級|インフラ・クラウドの資格(CCNA・LPIC・AWS)
次は、インフラ領域の資格で専門性を足します。具体的には、ネットワークならCCNA、Linuxサーバー運用ならLPICが定番です。そのため、社内システムの安定運用を担う情シスと相性が良い分野です。
「インフラ資格の順番」に迷う場合は、自社で扱う技術に近いものから選びましょう。ネットワーク機器が多い環境ならCCNA、サーバー中心ならLPICが優先です。実務で触れる技術ほど、学習の定着も早くなります。
クラウド移行が進む今、AWS認定やMicrosoft Azureの資格は市場価値が高い領域です。たとえば、まずはAWS認定ソリューションアーキテクト(アソシエイト)など、入門〜中級から狙うのが現実的です。
クラウドは情シスの企画・設計フェーズに直結します。実際、SaaS管理やコスト最適化を任される場面も増えました。だからこそ、クラウド資格は転職時の差別化ポイントになりやすいのです。
AWSとAzureのどちらを選ぶか迷う場合は、自社や志望企業が採用しているクラウド基盤に合わせるのが基本です。特定のプラットフォームが定まっていない場合は、市場でのシェアが大きいAWSから着手すると選択肢が広がります。
フェーズ3:専門|情報セキュリティの資格
セキュリティは、情シスの責任がとくに重い領域です。具体的には、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)やCompTIA Security+などが選択肢になります。インシデント対応や社内ルール整備の裏付けになります。
近年は、どの企業もセキュリティ人材を求めています。そのため、この分野の資格は年収交渉でも効きやすい傾向があります。運用経験と組み合わせると、説得力がさらに増します。
情報処理安全確保支援士は国家資格で、更新のための講習も義務づけられています。継続的に知識をアップデートしている証明にもなるため、企業側の信頼を得やすい資格の一つです。取得後の維持コストも踏まえて検討しましょう。
▶ あわせて読みたい:情報セキュリティ転職の完全マップ|未経験から専門職への道
フェーズ4:ITIL・マネジメント系(企画レイヤーへ)
最後に、ITILやプロジェクトマネジメント系の資格を検討します。とくに、ヘルプデスクや運用から、企画・DX推進へキャリアを広げたい人に向いています。ベンダー調整やIT資産管理を体系的に語れるようになります。
ITILはITサービス管理の共通フレームワークです。そのため、マネジメント視点を持つ情シスは、管理職やCIO直下ポジションでも評価されます。資格は、その意欲を示すシグナルにもなります。
ここまでのフェーズ0〜4を踏まえると、進む道は大きく2つに分かれます。フェーズ2・3を深掘りする「技術スペシャリスト」の道と、フェーズ4を軸にする「マネジメント」の道です。どちらに進むかは、次章のキャリア分岐で詳しく解説します。
学習スケジュールモデル|現職と両立しながら進める場合

フェーズが分かっても、実際の学習ペースが見えないと計画は挫折しがちです。そこで、現職を続けながら資格ロードマップを進める場合のスケジュールモデルを示します。
| 期間 | 到達目標 | 週あたり学習時間の目安 |
|---|---|---|
| 0〜6ヶ月目 | 基本情報技術者試験に合格 | 5〜8時間 |
| 6〜18ヶ月目 | インフラ資格+クラウド資格を1つずつ取得 | 4〜6時間 |
| 18〜36ヶ月目 | セキュリティ上位資格またはITILを取得 | 3〜5時間 |
| 3年目以降 | 取得資格を武器に転職、またはマネジメント職へ | ― |
ポイントは、1年で全フェーズを終えようとしないことです。まずは基本情報とインフラ資格の2つを土台に固め、そこから先は自分の目指す方向(専門職かマネジメントか)で優先度を変えるのが現実的です。
また、勉強時間が確保しにくい月は無理に進めず、次の月で取り戻す形で問題ありません。継続できるペースを保つほうが、途中で挫折するより結果的に近道になります。
学習方法は、独学・通信講座・社内勉強会のいずれでも構いません。ただし、基本情報のような広範囲の試験は、体系立った教材で全体像をつかむほうが効率的です。通勤時間などのスキマ時間は、暗記系の学習に充てると無理なく続けられます。
資格と年収の関係|フェーズが上がるほど相場も伸びる

情シス・社内SEの年収相場は、経験や役割によって幅があります。実際、厚生労働省の職業情報提供サイトでも、システム運用・保守やIT技術者の賃金水準が公開されています。一般に、担当者クラスで400万〜600万円、管理職やクラウド・セキュリティの専門性が加わると700万円以上も見えてきます。
資格は年収を直接跳ね上げる魔法ではありません。ただし、専門領域を任される「きっかけ」にはなります。任される役割が広がれば、結果として年収も上がりやすくなる、という順番です。
とくにクラウドやセキュリティは、人材不足が続く分野です。そのため、関連資格を持つ情シスは、年収交渉のカードを一枚多く持てます。自分の適正年収を把握したうえで交渉に臨むと、成功率が高まります。
実際の転職現場では、フェーズ1相当(担当者クラス・400万円台)からフェーズ2相当(インフラ・クラウド専門・500万円台後半)への移行で、年収が50万〜100万円ほど上がる例をよく見ます。役割の広がりが数字に表れる典型的なパターンです。
▶ あわせて読みたい:社内SEの年収は本当に上がる?業界・規模別データ徹底解説
資格取得のベストタイミングとキャリアの分岐
資格を取るベストなタイミングは、「次に任されたい役割」が見えた時です。具体的には、転職の半年〜1年前から準備を始めると、応募時に成果として示せます。逆に、目的なく取り続けても評価にはつながりにくいものです。
キャリアパスの観点では、情シスは大きく2方向に伸びます。具体的には、1つはクラウド・セキュリティなどの技術スペシャリスト、もう1つは情シス管理職やCIO直下の企画レイヤーです。目指す方向によって、優先すべき資格も変わります。
まずは自分の現在地と、3年後に立ちたい場所を整理しましょう。そのうえで、この記事のロードマップから必要な資格を逆算するのがおすすめです。方向が定まれば、学習のムダも減ります。
よくある失敗①:資格だけ集めて、実務と紐づけていない
資格を並べただけの職務経歴書は、採用担当者に響きにくいものです。だからこそ、「この資格を、どの業務で、どう活かしたか」をセットで語れて初めて評価されます。取得後は、実務での活用場面を意識的にメモしておきましょう。
よくある失敗②:フェーズを飛ばして専門資格に挑む
基本情報を飛ばして、いきなり情報処理安全確保支援士に挑戦し、挫折するケースは少なくありません。なぜなら、専門資格は土台となる知識を前提にしているからです。フェーズを1つずつ踏むほうが、結果的に近道になります。
よくある失敗③:期限を決めずにダラダラ続ける
「いつか取ろう」では、学習は止まりがちです。次の試験日程や、転職を検討する時期から逆算して期限を決めましょう。期限があるほうが、スキマ時間の使い方も自然と工夫されます。
▶ あわせて読みたい:情シス管理職への転職|マネージャー求人の見極め方と年収相場
情シスの資格ロードマップに関するよくある質問
ここでは、資格ロードマップに関して読者からよく寄せられる質問に答えます。取得順や年齢、独学と講座選びなど、実務での相談内容をもとにまとめました。
何歳からロードマップを始めても遅くないですか?
遅すぎることはありません。実際、30代・40代からフェーズ1(基本情報技術者)を始め、実務経験と組み合わせて評価される例は多くあります。年齢よりも、実務との紐付け方が重要です。
資格なしでも情シスに転職できますか?
できます。実務経験があれば、資格なしでの転職は十分に可能です。ただし、未経験や異職種からの転職では、基本情報などが意欲と基礎力の証明になります。
ITパスポートは情シス転職で意味がありますか?
入門としては有効ですが、情シス経験者の転職では決め手になりにくい資格です。たとえば、基礎の再確認や、非IT職からの転換期には役立ちます。経験者は基本情報以上を狙うほうが効率的です。
資格は何個くらい持っていると有利ですか?
数より「フェーズの組み合わせ」が大切です。土台(基本情報)+専門(クラウドやセキュリティ)の2〜3個を、実務と紐づけて語れる状態が理想です。
独学と通信講座、どちらで進めるべきですか?
どちらでも合格は可能です。基本情報のように出題範囲が広い試験は、通信講座や体系立ったテキストで全体像を先につかむと遠回りを防げます。インフラ・クラウド系は公式ドキュメントや実機演習との相性が良く、独学でも十分に進められます。
📌 この記事の一次情報源
- 当社が支援した情シス・社内SE転職者へのヒアリング調査(2026年実施)
- 厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」システム運用・保守/IT技術者の賃金データ — https://shigoto.mhlw.go.jp/User
- 情報処理推進機構(IPA)情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士制度の公表情報 — https://www.ipa.go.jp/shiken/
- 当社担当者がIT・情シス領域の転職支援で培った実務知見
✏️ 執筆・監修者
LXキャリア 転職支援チーム
- CA/RA 経験豊富な現役人材紹介のプロ。年間数十件のマッチングを成立
- 人材ビジネスを0→1で立ち上げ、事業としての人材支援の仕組みをゼロから構築
- 情シス・IT・コーポレートIT領域の転職支援実績多数
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