「社内SEに転職したいけど、実際の年収はどれくらいなの?」「転職したら年収は上がるの?」
そんな疑問を抱えながら転職活動を始める方は少なくありません。
この記事では、社内SE・情シスの年収相場を3軸で解説します。業界・企業規模・担当領域の違いを整理します。さらに、20代・30代が転職で年収を上げる方法も紹介します。
📋 この記事でわかること
- 社内SEの平均年収・業界・規模別年収相場
- 担当領域(インフラ・セキュリティ・SaaS管理)による年収の違い
- 20代・30代が転職で年収を上げる具体的な方法
- 高年収を実現しやすい企業の特徴と選び方
▶ あわせて読みたい:社内SE転職完全ガイド|20代・30代の準備から内定までの全手順
社内SEの年収は「平均」で見ても意味がない
まず前提を一つ共有します。日本標準職業分類に「社内SE」という職種区分はありません。そのため公的統計では、担当領域に応じて複数の職種に分かれて集計されています。
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種別集計(男女計・企業規模10人以上)を見ると、次のようになります。年収換算は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」です。
| 職種(小分類) | 年収換算 | 所定内給与の平均 | 所定内給与の中位数 |
|---|---|---|---|
| システムコンサルタント・設計者 | 約889万円 | 50.7万円 | 44.6万円 |
| その他の情報処理・通信技術者 | 約610万円 | 37.9万円 | 34.0万円 |
| ソフトウェア作成者 | 約578万円 | 35.7万円 | 33.0万円 |
ここで見てほしいのは、平均と中位数の差です。システムコンサルタント・設計者では、平均50.7万円に対して中位数が44.6万円でした。つまり一部の高年収層が平均を引き上げています。
分布はもっと極端です。同じ職種で、第1・十分位数は28.1万円、第9・十分位数は83.1万円。上下でおよそ3倍の開きがあります。だから「社内SEの平均年収は◯万円」という一つの数字は、自分の判断材料になりません。
大切なのは、この3倍の幅のどこに自分がいて、どうすれば上に動けるかです。以下では、その条件を順に見ていきます。
企業規模で年収はどれだけ変わるか
年収を動かす要因のうち、最も影響が大きいのは企業規模です。同じ調査から、規模別の実数を並べます。
| 企業規模 | システムコンサルタント・設計者 | ソフトウェア作成者 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 約1,010万円 | 約641万円 |
| 100〜999人 | 約854万円 | 約555万円 |
| 10〜99人 | 約585万円 | 約518万円 |
システムコンサルタント・設計者では、1,000人以上と10〜99人で年収換算に約425万円の差がありました。一方でソフトウェア作成者の差は約123万円にとどまります。
つまり同じIT職でも、規模の効き方は上流ほど大きくなります。したがって上流工程に近い役割ほど、大きな企業に移る効果が出やすいといえます。
年収が上がると、残業も増えるのか
年収だけを見て決めると、働き方の違いを見落とします。そこで同じ調査から、超過実労働時間数も並べます。
| 職種・企業規模 | 超過実労働時間数(月) |
|---|---|
| ソフトウェア作成者(1,000人以上) | 16時間 |
| ソフトウェア作成者(100〜999人) | 12時間 |
| ソフトウェア作成者(10〜99人) | 6時間 |
| システムコンサルタント・設計者(企業規模計) | 11時間 |
| 会計事務従事者(参考・企業規模計) | 8時間 |
ソフトウェア作成者では、規模が大きいほど残業も増えていました。ただし注意点があります。この調査が集計しているのは毎年6月分の実績です。そのため、年度末や期初の繁忙が数字に反映されていません。
実際、職種別に年間の残業を示した公的統計は存在しません。そこで年収と働き方を比べるときは、月次の平均ではなく山の高さを面接で確認してください。
担当領域別の相場を細かく見たい方へ
なお、職種・企業規模・役職レイヤーを掛け合わせた相場は、別記事で網羅的に整理しています。この記事は「上がる条件と交渉」に絞っているためです。
相場そのものを詳しく確認したい方は、情シス・社内SEの年収大全|職種・規模・レイヤー別の相場をご覧ください。
社内SEの年収が上がりやすい転職のタイミング
年収アップを実現するには、転職のタイミングが非常に重要です。闇雲に転職するのではなく、市場価値が最も高まるタイミングを見極めることが大切です。
経験3〜5年が最大のチャンス
社内SE転職で最も年収が上がりやすいのは、実務経験3〜5年を積んだ時期です。この段階になると、インフラ構築・ベンダー管理・プロジェクトリード等の実績が積み上がります。そのため、転職市場での市場価値が急上昇します。
特にSIer・SES出身の方は、案件で培った技術力を持っています。そこへ社内SE特有のビジネス理解が加わると、評価は一段上がります。だから経験3〜5年の時期を逃さず動いてください。
逆に、実務経験が10年を超えてから初めて転職市場に出ると、「なぜ今まで動かなかったのか」を問われることもあります。市場価値が高まっているタイミングを逃さず、早めに情報収集だけでも始めておくことが、結果的に良い条件での転職につながります。
スキルアップで年収が跳ね上がるケース
特定の資格やスキルが、年収アップに直接つながることもあります。たとえばAWS認定ソリューションアーキテクトの上位資格です。取得後に年収が100〜150万円上がった事例があります。またCISSPを取得し、情報セキュリティの専門職へ転換した例もあります。
資格取得は即効性があるわけではありませんが、「このスキルを持っている」という証明として採用担当者の目を引く効果があります。転職を検討している場合は、半年〜1年前から計画的に資格取得に取り組むと良いでしょう。
▶ あわせて読みたい:社内SE転職完全ガイド|20代・30代が内定を取る全手順
社内SEの年収を上げる具体的な方法
社内SEとして年収を上げるには、「転職」と「社内昇進」の2つのルートがあります。それぞれの特徴と有効な手段を解説します。
高年収を得やすい企業の特徴
転職で年収を上げやすい企業には共通した特徴があります。情シス部門を「コストセンター」でなく「ビジネスの推進エンジン」と位置づけている企業です。DX戦略を本格的に進めている会社では、情シス担当者への投資が手厚い傾向があります。
また、外資系やグローバルIT企業も高年収帯の求人が多い分野です。加えて金融・製造の大手メーカー、上場前後のスタートアップも同様です。これらの業界では、ネットワーク・セキュリティ・クラウドの専門知識が直接的に評価されます。
求人票を見る際は、情シス部門の人員規模や、経営層への報告ラインがあるかどうかもチェックポイントです。情シス部門が独立した組織として位置づけられている企業ほど、投資が手厚く年収水準も高い傾向があります。
評価されるスキル・資格とは
社内SE転職市場で年収アップに直結しやすいスキル・資格を優先度順に挙げると次のようになります。クラウド資格(AWS/Azure/GCP認定)は現在最も需要が高い資格です。特にAWS SAP(ソリューションアーキテクト Professional)を取得していると、採用企業から高い評価を受けます。
セキュリティ専任ポジションへの転換を目指すなら、情報セキュリティ資格が有効です。具体的には、CISSP・CISM・情報処理安全確保支援士などが代表的です。プロジェクト管理(PMP)は、マネージャー候補として採用される際の強みになります。
資格取得を検討する際は、まず自分がどの方向性(インフラ・セキュリティ・マネジメント)を目指すのかを定めてから選ぶことが大切です。目的なく複数の資格を並行して勉強すると、どれも中途半端になりがちなので注意しましょう。
SIer・SES出身者が転職で年収アップするためのポイント
SIer・SES出身者が社内SEに転職する場合、「客先常駐で磨いた技術力」を社内SE視点でどう語るかが年収交渉のカギです。担当した案件の規模(予算・人数)、使用した技術スタック、プロジェクトで担った役割を数字で明示することが大切です。
「客先ではなく自社業務に貢献したい」という動機も採用担当者に刺さるポイントです。「このスキルで御社のIT基盤に貢献したい」と具体的に伝えてください。そうすると年収交渉のテーブルに乗りやすくなります。
職務経歴書では、技術スタックの一覧だけで終わらせないでください。「その技術で何を解決したか」を必ずセットで書きます。数字で示せる成果(コスト削減額、対応チケット数の削減率など)があれば、積極的に盛り込むことをお勧めします。
年収交渉を成功させる実践テクニック
転職先が決まった後、年収交渉をうまく進めることも重要です。多くの転職者は「言われた年収を受け入れるだけ」で終わりがちです。しかし、適切な交渉で年収を50〜100万円引き上げることは珍しくありません。
転職エージェントを活用した年収交渉
転職エージェントを使うと、企業側との交渉を代行してくれます。そのため、自分で直接交渉するよりも年収を引き上げやすくなります。エージェントに「希望年収より少し高め」の数字を伝えておくことで、交渉の余地を確保できます。
複数のエージェントを使うことも有効で、競合する内定をうまく活用することで年収条件を引き上げることが可能です。市場相場を把握したうえで現実的な範囲で交渉しましょう。
ただし、根拠のない高すぎる希望額を提示すると、かえって信頼を損なうリスクもあります。そのため、自分の経験年数に見合った相場観を先に把握してください。そのうえで交渉に臨むほうが、納得感のある条件に届きます。
オファーレターを見るときのポイント
オファーレターを受け取ったら、基本給だけでなく、賞与・残業代・手当の構造も確認しましょう。「年収800万円」といっても、残業代込みの場合と固定給800万円では実質的な働き方が大きく異なります。
昇給・昇格の仕組みと、リモートワーク・働き方の条件も、総合的な待遇として年収と合わせて判断することが大切です。
特に、年収の額面だけで判断すると、みなし残業時間が長く設定されているケースを見落としがちです。実際の労働時間や休日出勤の有無まで含めて、実質的な時給換算で比較する視点を持つと、後悔のない意思決定につながります。
面談現場から:年収800万円の方が「交渉しづらい」と言った理由
ここからは、当社が2026年に実際にお話をうかがったエンジニアの方のケースを紹介します。社内SE 年収の話は相場表で終わりがちですが、現場の判断はもっと生々しいものでした。
「AIがあるから、年収交渉がしづらい」
20代後半で、3人チームのプロジェクトリードを務めている方がいらっしゃいました。年収は800万円。待遇にも仕事内容にも、大きな不満はないとのことでした。
それでも、この方は次のように話しています。
「年収も上げたいのですが、AIの事情があるので、なかなか交渉もしづらくて」
さらに、自分のポジションについてもこう続けました。
「リードをさせてもらえているのは、AIがあったおかげという感覚です」
つまりAIは、年収を押し上げる要因と押し下げる要因の両方になっています。役割は前倒しで与えられます。しかし、その役割の希少性は下がっています。
ここから読み取れることは明確です。「担当している役割」だけを根拠に交渉すると、いまは弱いということです。だから交渉材料は、役割ではなく成果に置き換える必要があります。
20代後半で800万円は、どのくらいの位置か
この方に対して、当社からは次のようにお伝えしました。20代後半で800万円は、同年代のなかで低い水準ではありません。むしろ順当に積み上がっている部類です。
一方で、同じ年代から30歳前後で1,000万円に届く方もいます。ただし、その多くは次のいずれかに当てはまります。
- メガベンチャーでリーダー・マネジメントを担っている
- 金融機関など、給与水準の高い業界でリーダー職に就いている
したがって800万円から一段上げるには、担当領域を変えるか、業界を変えるかのどちらかが必要になります。実際、30歳で1,200万円台を提示する求人自体は存在します。
先ほどの統計とも整合します。システムコンサルタント・設計者の第9・十分位数は所定内83.1万円でした。つまり上位1割の水準は、たしかに手が届く範囲にあります。
年収を取るか、働き方を取るか
この方には、もう一つ悩みがありました。勤務先が週3出社から週4出社へ変わる予定だったのです。社内では「3を4に増やして何が変わるのか」という声も出ていたそうです。
この点について、当社の見立てもお伝えしました。フルリモートの求人は、実際に減っています。というのも、雑談から生まれる気づきを長期的な資産と捉える経営者が多いためです。現場の希望と経営の判断は、ここで食い違います。
ただし、例外もあります。たとえば大阪の大手インフラ系企業では、自社独自のセキュリティ環境でクラウド開発を進める案件が動いています。この案件はフルリモート・フルフレックスです。
つまり働き方の条件は、業界ではなく案件やチーム単位で決まりつつあります。そのため求人票の「リモート可」という表記だけでは判断できません。制度があっても、周囲が誰も使っていなければ実質的に使えないからです。
年収交渉の前に、この点を確認してください。実際の利用率まで聞いておくと、入社後のギャップを避けられます。
よくある質問(Q&A)
Q. 未経験からでも社内SEとして年収アップは可能ですか?
未経験の場合、まずはヘルプデスクや運用ポジションからのスタートが現実的です。そこで実務経験を積みつつ、クラウドやセキュリティの資格を並行して取ります。この進め方なら、3〜5年で年収を大きく伸ばせます。
Q. 資格取得と実務経験、年収アップにはどちらが効果的ですか?
両方の組み合わせが最も効果的です。資格だけでは、書類選考の通過率が上がる程度にとどまります。しかし実務経験と組み合わせれば、面接や年収交渉で説得力が出ます。
Q. 年収交渉で失敗しないためのコツはありますか?
希望年収は「最低ライン」ではなく「理想ライン」も含めて伝えること、そして基本給と諸手当の内訳を必ず確認することが重要です。複数の内定を持って交渉に臨むと、より有利な条件を引き出しやすくなります。
✏️ 執筆・監修者
LXキャリア 転職支援チーム
- CA/RA 経験豊富な現役人材紹介のプロ。年間数十件のマッチングを成立
- 人材ビジネスを0→1で立ち上げ、事業としての人材支援の仕組みをゼロから構築
- 情シス・社内SE・コーポレートIT領域の転職支援実績多数
※ 相談・登録は完全無料です
