人事の仕事内容は採用のイメージが強いものの、実際には何をしているのか分かりにくいと感じる方も多いはずです。そこでこの記事では、人事の仕事内容を求人データで整理し、分野ごとの業務と1年の流れを解説します。
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
人事の仕事に興味がありますが、採用以外に何をしているのか、正直よく分かっていません。
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その相談は、面談でもよく伺います。実は、人事の仕事は採用だけでなく、給与や制度、研修など幅広いんです。そこで、まず求人のデータで仕事の全体像を整理してから、一つずつ見ていきましょう。
では、全体像からお願いします。
なお、数字は当社の求人データの集計をもとにしています。
人事とは|人事部の役割と労務との違い
まず、人事という仕事が会社の中でどんな役割を担っているのかを確認しておきましょう。なぜなら、役割を知っておくと、個々の仕事の意味が分かりやすくなるからです。
人と組織の面から会社を支える
人事の役割は、人と組織の面から会社の成長を支えることです。たとえば、必要な人を採用し、育て、正しく評価し、働きやすい環境を整えることが挙げられます。
つまり、経理がお金の面から会社を支えるのに対して、人事は人の面から会社を支える部門だといえます。
人事と労務の違い
次に、よく混同される人事と労務の違いです。一般に、人事は採用や評価、育成など、人の配置や成長に関わる仕事を指します。一方で、労務は給与計算や社会保険、勤怠など、働く条件や手続きに関わる仕事を指します。
ただし、多くの会社では人事部の中に労務の担当があり、広い意味ではどちらも人事の仕事に含まれます。そのため、この記事でも労務を人事の仕事の一つとして扱います。
会社の規模で仕事の範囲が変わる
さらに、人事の仕事の範囲は、会社の規模によって大きく変わります。というのも、大きな会社では採用・労務・制度などに担当が分かれる一方、小さな会社では一人の人事が幅広く担うことが多いからです。
人事の仕事内容を求人データで見る
では、実際の求人にはどんな仕事が書かれているのでしょうか。人事の求人の仕事内容を、8つの分野に分けて集計しました。
| 人事の仕事 | 仕事内容に書かれている割合 |
|---|---|
| 採用 | 72.0% |
| 人材開発・研修 | 39.9% |
| 労務・給与 | 35.1% |
| 人事制度・評価 | 29.9% |
| 人事企画・戦略 | 20.6% |
| 組織開発・エンゲージメント | 18.5% |
| 異動・配置・人事データ | 12.3% |
| 安全衛生・健康管理 | 9.5% |
出典:当社が利用するエージェント向け求人データベースのうち、主な職種が人事で、中途・正社員かつ提示年収のある求人3,573件(2026年9月20日時点)。また、職種名と仕事内容の文章に、それぞれの仕事を表す語があるかで判定しました。1件の求人が複数の仕事に当てはまることがあります。ただし、キーワードによる判定のため誤りを含みます。
採用が最も多く、研修と労務が続く
その結果、採用を書いた求人が72.0%で最も多く、人材開発・研修が39.9%、労務・給与が35.1%と続きました。一方で、安全衛生・健康管理は9.5%でした。
このように、人事の求人の多くは採用を含んでいます。とはいえ、採用以外の仕事も幅広く求められていることが分かります。
分野ごとの求人の数
また、主な職種で分けると、人事の求人の55.8%は採用の分野でした。次いで、労務・給与が16.9%、制度企画・組織開発が10.3%です。
つまり、求人の数で見ると採用が中心ですが、仕事内容まで見ると、ほかの分野も一緒に担う求人が多いといえます。
人事の求人では、どの仕事が一番多いんですか?
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仕事内容に採用の業務を書いた求人が72.0%で、最も多くありました。次いで研修などの人材開発が39.9%、労務・給与が35.1%です。
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ただし、40.9%の求人は3つ以上の分野をまとめて書いていました。つまり、人事は一つの仕事というより、いくつもの仕事を組み合わせて担う職種なんですよ。
思っていたより幅広い仕事なんですね。
人事の仕事内容①人を集めて育てる仕事
ここからは、人事の仕事を2つのグループに分けて紹介します。まずは、人を集めて育てる仕事です。
採用
まず、採用は、会社に必要な人を集めて選ぶ仕事です。具体的には、採用計画の作成や、人材紹介会社とのやり取り、スカウトの送信、面接の調整などがあります。
また、新卒採用と中途採用では、仕事の進め方や忙しい時期が違います。そのため、どちらを担当するかで働き方は大きく変わります。
👉 あわせて読みたい:採用担当はきつい?辞めたくなる5つの理由と続けやすい職場の見分け方
人材開発・研修
次に、人材開発は、社員の成長を支える仕事です。たとえば、新入社員研修や管理職研修の企画、社員のキャリア面談の仕組みづくりなどがあります。
さらに、研修を実施するだけでなく、その効果を確かめ、次の計画に生かすことも大切な仕事です。また、社外の研修会社との調整も担います。
異動・配置と人事データの管理
そして、異動や配置は、社員の力が生きる部署に人を送る仕事です。また、社員の経歴や評価の情報を管理し、配置や育成に生かす仕事もあります。
ちなみに、異動・配置や人事データを書いた求人は12.3%でした。特に、社員の多い会社ほど、こうした情報を整理する役割が求められます。
人事の仕事内容②働く環境と制度を整える仕事
続いて、社員が安心して働けるよう、環境と制度を整える仕事です。そして、こちらは法律や会社の仕組みに深く関わる仕事が中心です。
労務・給与
まず、労務・給与は、給与計算や社会保険の手続き、勤怠の管理など、働く条件に関わる仕事です。たとえば、求人の仕事内容では、勤怠管理が18.4%、給与計算が17.0%、社会保険の手続きが15.2%でした。
また、入退社の手続きは14.0%、就業規則や規程の整備は11.0%でした。このように、労務は法律に沿って正確に手続きを進めることが求められる仕事です。
👉 あわせて読みたい:労務に向いている人の6つの特徴|10問のセルフチェックと向いていない場合の選び方
安全衛生・健康管理
次に、安全衛生・健康管理は、社員の健康と安全を守る仕事です。たとえば、健康診断やストレスチェックの運用、衛生委員会の運営などがあります。
また、最近は社員の健康づくりを経営の課題として取り組む会社も増えています。そのため、休職者への対応や働き方の見直しなど、関わる場面は広がっています。
人事制度・評価
さらに、人事制度・評価は、等級や評価、報酬の仕組みをつくり、運用する仕事です。なぜなら、社員がどうすれば評価され、給与が上がるのかを決めるのが人事制度だからです。
しかも、人事制度は会社全体の人件費にも関わります。そのため、経営の方針と社員の納得感の両方を考えて設計する必要があります。
組織開発・人事戦略
そして、組織開発や人事戦略は、組織全体をどう良くしていくかを考える仕事です。たとえば、社員の意識調査や、事業の計画に合わせた人員の計画づくりなどがあります。
ちなみに、人事企画・戦略を書いた求人は20.6%、組織開発・エンゲージメントは18.5%でした。こうした仕事は、経営に近い立場で人事を考える役割だといえます。
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求人データで見る人事の仕事の組み合わせと、これからの変化
では、人事の求人では、どの仕事がよく一緒に求められているのでしょうか。また、役職やこれからの時代によって、仕事はどう変わるのでしょうか。
よく一緒に求められる仕事の組み合わせ
まず、最も多い組み合わせは、採用と人材開発・研修で、人事の求人の29.6%でした。次いで、採用と人事制度・評価が21.6%、採用と労務・給与が18.3%です。
つまり、採用を軸にしながら、研修や制度、労務を合わせて担う求人が多いといえます。特に、採用した人の研修までを一貫して担う形はよく見られます。
3つ以上の分野を担う求人は約4割
さらに、仕事内容に3つ以上の分野を書いた求人は40.9%でした。このように、人事は一人が複数の分野を担うことが多い仕事です。
そのため、一つの分野を深めながらも、隣の分野にも関われる人は重宝されます。特に、小さな会社ではその傾向が強くなります。
役職が上がると増える仕事
また、役職で比べると、管理職の求人では人事制度・評価が44.6%で、メンバー層の26.5%を大きく上回りました。同じように、人事企画・戦略も31.8%と、メンバー層の17.7%より高くなっています。
経験を積むと、人事の仕事の中身はどう変わっていくんですか?
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管理職の求人では、人事制度や評価を書いたものが44.6%で、メンバー層の26.5%より多くありました。また、人事戦略も31.8%と、メンバー層の約2倍です。
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このように、経験を積むほど、手続きや調整から、制度や戦略を考える仕事に比重が移っていきます。そのため、早いうちから企画に関わる経験をつくっておくと有利ですよ。
先を見据えて経験を選んでみます。
これからの変化:定型の手続きは減っていく
さらに、最近は人事の仕事にもAIや仕組み化の波が来ています。たとえば、社内からの問い合わせ対応や定型の手続きは、AIや仕組みに置き換わっていく可能性があります。ちなみに、社内の問い合わせ対応を仕事内容に書いた求人は6.3%でした。
人事の仕事は、これからAIに置き換わっていくのでしょうか?
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たとえば、面談でお会いした管理部門の方は、人事・経理・総務・法務のそれぞれに似たような社内の問い合わせ対応が残っていて、AIで変えなければという課題を話していました。
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つまり、定型の問い合わせや手続きは、今後AIや仕組みに置き換わっていく可能性があります。だからこそ、制度や組織をどう良くするかを考える力が、これまで以上に大切になるんです。
考える仕事の比重が増えていくんですね。
制度や組織を考える仕事の価値が上がる
一方で、制度をどう設計するか、組織をどう良くするかといった判断は、人にしかできない仕事です。実際、人事戦略や制度づくりを担う求人は、提示年収も高い傾向がありました。
👉 あわせて読みたい:人事の年収相場|採用・労務・制度企画で差がつく理由と上げ方
人事の1年の流れ:忙しくなる時期
次に、人事の1年の流れを見てみましょう。というのも、人事の仕事は、時期によって忙しさが大きく変わるからです。なお、時期は会社によって異なります。
春:新入社員の受け入れと研修
まず、春は新入社員の入社や研修が重なる時期です。また、多くの会社で新年度の配置や昇給の手続きもこの時期に行われます。そのため、春は採用と研修、労務の仕事が同時に動く時期です。
初夏から夏:社会保険と労働保険の手続き
次に、初夏から夏にかけては、労務の大きな手続きが続きます。たとえば、労働保険の年度更新は6月1日から7月10日まで、社会保険の算定基礎届は7月10日までに提出します。
冬:年末調整
そして、冬は年末調整の時期です。年末調整は、その年の最後の給与の支払いで所得税を精算する手続きなので、11月から12月にかけて労務の担当が忙しくなります。
加えて、この時期は社員から書類の書き方に関する質問も多く寄せられます。そこで、問い合わせへの対応も重なり、労務の担当にとって一年で最も忙しい時期の一つになります。
さらに、評価の時期は会社によって違いますが、半期や年度の終わりに評価面談が集中することが多くあります。
人事の仕事内容が自分に合うか確かめる
最後に、人事の仕事が自分に合うかを確かめるためのポイントを紹介します。なお、関連する記事もあわせて紹介するので、気になる分野から読んでみてください。
分野ごとの向き不向きを知る
まず、人事の中でも分野によって向いている人は違います。たとえば、人と話すことが得意なら採用、正確な事務処理が得意なら労務というように、自分の強みと分野を結びつけて考えましょう。
未経験や経理から目指すなら
次に、人事が未経験の方は、採用や人材開発など入口の広い分野から始めるのが現実的です。また、経理の経験がある方は、給与計算や社会保険を通じて労務から入る道もあります。
👉 あわせて読みたい:人事への転職は難しい?未経験から入れる3つの入口と分野ごとの実態
👉 あわせて読みたい:経理から人事へ|経理の経験が生きる仕事と、移るまでの現実的なルート
資格と経験の関係を知る
さらに、人事の仕事では、資格より実務の経験が重視されます。とはいえ、労務の分野では社労士などの資格が専門性の裏づけになることもあります。
👉 あわせて読みたい:人事に資格は必要?求人データで見る役立つ資格7つと選び方
自分の経験がどう評価されるかを知る
そして、自分の経験が人事の求人でどう評価されるかを確かめておくと、どの分野を目指すかを決めやすくなります。というのも、同じ人事でも、担ってきた分野によって評価が大きく変わるからです。
人事の仕事の全体像は分かりました。そこで、今の経験だと人事としてどのくらいの年収になるのかを知りたいです。
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たとえば人事の年収診断なら、担当業務や役職から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、人事のどの分野が自分に合うかを一緒に整理しましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
まとめ:人事の仕事内容は人を集め、育て、働く環境を整えること
このように、この記事では人事の仕事内容を、求人データをもとに分野ごとに整理しました。では、要点を振り返ります。
- まず、人事の求人の72.0%は採用を含み、人材開発や労務・給与も幅広く求められている
- また、40.9%の求人は3つ以上の分野をまとめて担う形になっている
- さらに、役職が上がるほど、人事制度や人事戦略を担う割合が高くなる
- そして、定型の手続きが減るほど、制度や組織を考える仕事の価値が上がっていく
📌 この記事の一次情報源
- 当社が利用するエージェント向け求人データベースの人事求人3,573件の仕事内容の集計(2026年9月20日時点、中途・正社員・提示年収ありに限定)
- 当社が2026年に行った求職者の方との面談の記録(個人が特定されないよう、職種以外は伏せて再構成)
