たとえば、採用担当はきついと感じながら、このまま続けるべきか迷っている方もいるはずです。そこでこの記事では、採用担当がきついと言われる理由を求人データで整理し、続けやすい職場の見分け方と判断の軸を解説します。
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
採用担当になって1年たちますが、目標の人数に追われて、正直きついです。このまま続けていいのか迷っています。
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その相談は、面談でもよく伺います。実は、採用の求人を見ると、一人に任される業務の幅がとても広いんです。そこで、まずデータで理由を整理してから、続けやすい職場の見分け方を考えましょう。
では、理由の整理からお願いします。
なお、数字は当社の求人データの集計をもとにしています。
採用担当がきついと言われる5つの理由
まず、採用の求人の仕事内容に、どんな業務が書かれているかを見てみましょう。また、比べやすいように、採用以外の人事の求人も並べました。
| 仕事内容に書かれている業務 | 採用の求人 | 採用以外の人事 |
|---|---|---|
| 人材紹介会社とのやり取り | 53.6% | 6.3% |
| 説明会・イベント | 42.0% | 11.1% |
| 採用目標・KPIの管理 | 40.9% | 7.8% |
| スカウトの送信 | 40.8% | 3.4% |
| 採用広報・SNS | 39.1% | 8.1% |
| 母集団の形成 | 29.0% | 3.0% |
| 面接・日程の調整 | 25.2% | 2.5% |
| 面接官を務める | 23.9% | 2.7% |
出典:当社が利用するエージェント向け求人データベースのうち、主な職種が人事の採用で、中途・正社員かつ提示年収のある求人1,993件(2026年9月20日時点)。また、職種名と仕事内容の文章に、それぞれの業務を表す語があるかで判定しました。比較の「採用以外の人事」は、労務・制度企画・人材開発などの求人1,580件です。ただし、キーワードによる判定のため誤りを含みます。
①一人で受け持つ業務の幅が広い
その結果、採用の求人には、紹介会社とのやり取りから説明会、スカウト、採用広報まで、性質の違う業務が並んでいました。しかも、表の8つの業務のうち3つ以上が書かれた求人は58.7%です。
さらに、採用の求人の52.2%は、労務や研修など採用以外の人事の業務も書いていました。つまり、採用担当は一つの仕事というより、いくつもの仕事を同時に回す役割だといえます。
②採用目標の数字に追われる
次に、採用目標やKPIの管理を書いた求人は40.9%でした。たとえば、年間の採用人数や応募数、面接の通過率などです。
そのため、営業と同じように数字で成果を見られる場面が多くなります。しかも、期末が近づいても目標に届かないと、焦りが強くなりがちです。
目標の人数に届かないと、全部自分のせいのように感じてしまいます。
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まず、そう感じる方は多いです。ただ、応募の数や内定の承諾は、給与の条件や会社の知名度、現場の面接にも左右されます。つまり、採用担当だけで決められることではないんです。
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そのため、自分で動かせることと動かせないことを分けて振り返るのがおすすめですよ。そうすれば、次に何を変えるかが見えてきます。
分けて考えると、少し気が楽になりますね。
③候補者と現場の間で板挟みになる
また、採用担当は、候補者と現場の部門の間に立つ仕事です。たとえば、採用の求人の33.9%が、現場や事業部との調整を書いていました。
たとえば、現場は「もっと経験のある人がほしい」と言い、候補者は条件の見直しを求めることがあります。そして、その間で両方の希望を調整するのが採用担当の役目なので、気を遣う場面が続きます。
面接官の評価がなかなか集まらず、候補者への連絡が遅れてしまうことがよくあります。
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面談でも、面接のあと返事が来ない会社があったと話す方がいました。つまり、候補者は連絡の速さで会社を見ているんです。
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だからこそ、面接の前に評価の締め切りを決めておくなど、現場を巻き込む仕組みが大切です。とはいえ、仕組みを変える権限がない職場では、担当者だけで解決するのは難しいですね。
自分の工夫だけでは限界があるんですね。
④時期によって忙しさが大きく変わる
さらに、説明会やイベントを書いた求人は42.0%、新卒採用を書いた求人は39.6%でした。新卒採用では、説明会や面接が特定の時期に集中します。
しかも、新卒と中途の両方を書いた求人が28.1%ありました。そのため、新卒の繁忙期にも中途の面接が並行して続き、休む時期をつくりにくくなります。
加えて、繁忙期には、説明会の準備や面接官の手配が夜や週末にずれ込むこともあります。そのため、繁忙期の働き方は、入社前に確かめておきたい点の一つです。
⑤成果が自分の努力だけで決まらない
そして、採用の求人の53.6%は、人材紹介会社とのやり取りを書いていました。つまり、応募の多くは社外の力も借りて集めています。
そのうえ、内定を出しても、候補者がほかの会社を選ぶこともあります。このように、自分の努力とは別の理由で結果が変わるため、手応えを感じにくいことが、きつさにつながります。
ただし、これは裏を返せば、紹介会社や現場とうまく協力できれば、一人で頑張るより大きな成果を出せるということです。つまり、きつさの原因は、仕事そのものより、周りとの協力の仕組みにあることが多いのです。
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採用担当の1年の流れ:忙しくなる時期
では、採用担当はいつ忙しくなるのでしょうか。ここでは、新卒採用と中途採用に分けて、よくある流れを紹介します。なお、時期は会社によって異なります。
新卒採用は春から夏に山がくる
まず、新卒採用では、政府の要請で、広報活動は3月から、選考は6月からとされています。そのため、春は説明会、初夏は面接が重なり、最も忙しい時期になります。
ただし、実際にはインターンシップなどを通じて、もっと早い時期から学生と接点をつくる会社も多くあります。その結果、夏から冬にかけても準備やイベントが続きます。
中途採用は年間を通して続く
一方で、中途採用は、欠員や事業の拡大に合わせて一年中続きます。特に、期の初めや組織の変更に合わせて募集が増えることが多いです。
しかも、中途採用では、急な退職で欠員が出ると、すぐに募集を始める必要があります。そのため、予定していなかった募集が、繁忙期に重なることもあります。
そのため、新卒と中途の両方を受け持つ場合、新卒の繁忙期と中途の募集が重なると、業務量が一気に増えます。だからこそ、職場を選ぶときは、どちらを担当するのかを確かめておくことが大切です。
それでも採用担当を続ける人がいる理由
とはいえ、採用担当には、きつさに見合うやりがいもあります。ここでは、採用担当を続ける人が挙げることの多い理由を紹介します。
会社の成長に直結する
まず、採用した人が活躍すると、会社の成長に直接つながります。たとえば、自分が採用に関わった人が新しい事業を立ち上げると、大きな手応えを感じられます。
また、採用は経営陣から現場まで、社内の多くの人と関わる仕事です。そのため、会社がどこに向かっているのかを、ほかの部署より早く知ることができます。
営業の経験を生かせる
次に、採用担当は営業の経験を生かしやすい仕事です。なぜなら、会社の魅力を候補者に伝え、目標から逆算して動く点が営業と似ているからです。
さらに、候補者の不安を聞き取り、条件や入社後の働き方をすり合わせる力も、営業の商談と共通しています。そのため、営業から採用担当に移る人も少なくありません。
実は、営業から採用担当に移ったんです。営業の経験は役に立っているんでしょうか?
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はい、役に立っていると思います。実は、採用の求人の38.1%は、応募条件に営業の経験を挙げていました。というのも、候補者に会社の魅力を伝えたり、目標から逆算して動いたりする点が似ているからです。
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たとえば、面談でお会いした営業職の方も、採用や教育の仕事に関心を持っていました。ただ、未経験で人事に移ると年収が下がることもあるので、入社後に社内公募で移る道も一緒に考えましたよ。
営業の経験は強みとして話せそうです。
経験を積むと次のキャリアが広がる
さらに、採用の経験は、次のキャリアにもつながります。実際、採用の求人では、メンバー層の提示年収の中央値が525万円、管理職では700万円でした。
また、採用の経験を土台にして、人事制度や組織づくりの仕事に広げる人もいます。ちなみに、制度企画・組織開発の求人の中央値は725万円で、人事の中で最も高い水準でした。
採用担当がきつくなりにくい職場の見分け方
このように、採用担当のきつさは、職場の体制によって大きく変わります。そこで、転職先を選ぶときに確かめたいポイントを整理します。
求人票で確かめるポイント
まず、求人票では、担当する業務の範囲を確かめましょう。たとえば、新卒と中途の両方か、採用以外の人事の業務も兼ねるのかで、忙しさは大きく変わります。
また、採用目標がどう書かれているかも大切です。具体的には、人数だけでなく、目標を誰と一緒に決めるのかまで書かれていると、一人で抱え込みにくい職場だと判断できます。
面接で聞いておきたい質問
次に、面接では、次のような質問をしておくと、入社後のギャップを減らせます。
- 採用チームは何人で、それぞれ何を担当していますか
- 採用目標は、誰がどのように決めていますか
- 現場の面接官の評価は、いつまでに集まる仕組みですか
- 紹介会社やスカウトの媒体は、どれくらい使っていますか
特に、面接官の評価の集め方は大切です。というのも、評価が遅れると候補者への連絡も遅れ、採用担当がその間に挟まれるからです。
求人票や面接だけでは分からないとき
とはいえ、求人票や面接だけでは、職場の実態が分からないこともあります。そのため、その会社の採用の体制を知っている第三者に、話を聞いてみるのも一つの方法です。
たとえば、人材紹介会社は、日ごろから企業の採用担当とやり取りしています。そこで、採用チームの人数や、面接官の協力の度合いなど、求人票には書かれない情報を聞ける場合があります。
採用担当に向いている人・向いていない人
では、ここまでの内容をふまえて、採用担当に向いている人と、きつさを感じやすい人の特徴を整理します。
向いている人
まず、人と話すことが好きで、相手の話をじっくり聞ける人です。というのも、候補者の本音を聞き出せると、入社後のミスマッチを防げるからです。
次に、数字の目標から逆算して、動きを組み立てられる人です。さらに、いくつもの仕事を並行して進めるのが苦にならない人も向いています。
このように、営業に近い強みを持つ人ほど、採用担当の仕事で力を発揮しやすい傾向があります。
向いていない人
一方で、一つの仕事にじっくり取り組みたい人は、きつさを感じやすい傾向があります。また、結果が自分の努力だけで決まる仕事をしたい人や、予定が急に変わることに強いストレスを感じる人も同じです。
ただし、向いていないと感じても、すぐに人事を離れる必要はありません。たとえば、労務や制度企画など、採用以外の人事の仕事なら合う場合もあります。
👉 あわせて読みたい:人事に資格は必要?求人データで見る役立つ資格7つと選び方
採用担当がきついときの判断軸
最後に、採用担当がきついと感じたときに、続けるか移るかを考える軸を紹介します。そこで、求人データから、どんな経験が評価されやすいかを見ておきましょう。
調整の仕事から企画の仕事に広げる
まず、採用の求人を、仕事内容に書かれている業務ごとに分けて、提示年収の中央値を比べました。その結果、面接や日程の調整を書いた求人は490万円で、書いていない求人の590万円より低い水準でした。
一方で、母集団の形成を書いた求人は600万円で、書いていない求人は530万円でした。同じように、採用目標の管理を書いた求人は600万円、採用広報を書いた求人は589万円です。
出典:表1と同じ採用の求人1,993件。また、提示年収の下限と上限の中間値の中央値です。なお、提示年収は募集条件であり支給実績ではありません。
つまり、調整の仕事が中心の求人より、採用の戦略を考える仕事を含む求人のほうが、提示年収が高い傾向があります。そのため、今の職場で採用の計画づくりに関われるなら、続けながら経験を広げるのも一つの選択です。
また、管理職の求人の中央値は700万円で、メンバー層の525万円を大きく上回ります。そのため、採用チームのまとめ役を任されるなら、今の職場で経験を積む価値は高いといえます。
職場を変えたほうがよいサイン
一方で、一人で業務の大半を抱え、仕組みを変える権限もない状態が続くなら、職場を変えることも考えましょう。なぜなら、その状態では、経験の幅を広げる時間もとりにくいからです。
自分の市場価値を確かめる
そして、続けるか移るかを決める前に、今の経験が求人でどう評価されるかを確かめておくと、判断しやすくなります。なぜなら、同じ採用担当でも、担当してきた業務によって評価が変わるからです。
続けるか移るかを決める前に、今の経験だと人事としてどのくらいの年収になるのかを知りたいです。
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たとえば人事の年収診断なら、担当業務や役職から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、今の職場で広げるか、移るかを一緒に整理しましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
👉 あわせて読みたい:人事の仕事内容|採用・労務・制度など人事部で実際にやること
まとめ:採用担当がきついかどうかは職場の体制で変わる
このように、この記事では採用担当がきついと言われる理由と、続けやすい職場の見分け方を整理しました。では、要点を振り返ります。
- まず、採用の求人の58.7%は、性質の違う業務を3つ以上書いている
- また、採用目標の管理や現場との調整が、きつさの大きな理由になる
- さらに、採用の戦略を考える仕事を含む求人ほど、提示年収が高い傾向がある
- そして、職場を選ぶときは、担当範囲と採用目標の決め方を確かめる
📌 この記事の一次情報源
- 当社が利用するエージェント向け求人データベースの人事求人3,573件(うち採用1,993件)の仕事内容と応募条件の集計(2026年9月20日時点、中途・正社員・提示年収ありに限定)
- 当社が2026年に行った求職者の方との面談の記録(個人が特定されないよう、職種以外は伏せて再構成)
