人事の転職は難しいと聞いて、挑戦するかどうか迷っている方は多いはずです。そこでこの記事では、人事への転職が難しいと言われる理由を求人データで確かめ、未経験から入れる現実的な入口を解説します。
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
人事の仕事に挑戦したいのですが、未経験だと転職は難しいと聞いて、不安になっています。
LXキャリア
その相談は、面談でもよく伺います。実は、人事への転職が難しいかどうかは、人事のどの分野を目指すかで大きく変わるんです。そこで、まず求人のデータで実態を整理してから、入りやすい入口を考えましょう。
では、実態の整理からお願いします。
なお、数字は当社の求人データの集計をもとにしています。
人事への転職は難しいと言われる3つの理由
まず、人事への転職が難しいと言われる理由を、求人データから3つに整理します。
①人事の経験を求める求人が多い
一つ目は、人事の経験を求める求人が多いことです。実は、人事の求人の73.9%は、応募条件に採用や労務など人事の業務に関わる語を挙げていました。
しかも、応募条件に「◯年以上」と経験年数を書いた求人は、全体の約半数にのぼります。つまり、人事の多くの求人は、すでに人事の仕事をしてきた人を前提にしているのです。
というのも、人事は社員の個人情報や給与、評価に関わる仕事なので、会社は任せる相手に慎重になりやすいからです。そのため、経験のない人に任せる求人は、どうしても少なくなります。
②分野によって入りやすさが大きく違う
二つ目は、人事の中でも分野によって入りやすさが大きく違うことです。たとえば、未経験を歓迎する求人は、採用では25.4%なのに対して、制度企画・組織開発では9.2%でした。
そのため、制度企画のように経験者を求める分野だけを見ていると、人事への転職はとても難しく感じられます。一方で、採用や人材開発に目を向けると、入口は広がります。
③未経験から入ると年収が下がりやすい
三つ目は、未経験から入ると年収が下がりやすいことです。具体的には、未経験を歓迎する求人の提示年収の中央値は475万円で、それ以外の求人の600万円より低い水準でした。
したがって、今の年収を保ちながら人事に移ろうとすると、選べる求人が限られます。だからこそ、年収と経験のどちらを先に取るかを決めておくことが大切です。
とはいえ、これは入口の話です。経験を積めば、年収は取り戻せます。実は、人事の管理職の求人の中央値は700万円でした。
人事の求人のうち、未経験でも応募できるものはどれくらいあるんですか?
LXキャリア
人事全体では20.2%でした。ただ、採用は25.4%、人材開発は27.6%なのに対して、制度企画・組織開発は9.2%にとどまります。
LXキャリア
つまり、同じ人事でも、入口として開かれている分野とそうでない分野があるんです。そのため、まずは入りやすい分野から経験を積むのが現実的ですよ。
分野を選べば、道は見えてきそうですね。
求人データで見る人事への転職の実態
では、人事の求人の全体像はどうなっているのでしょうか。まず、分野ごとの求人数と、未経験を歓迎する割合を見てみましょう。
| 人事の分野 | 求人数 | 未経験を歓迎 |
|---|---|---|
| 採用 | 1,993件 | 25.4% |
| 人材開発 | 250件 | 27.6% |
| 労務・給与 | 604件 | 11.3% |
| 制度企画・組織開発 | 369件 | 9.2% |
| その他の人事 | 357件 | 12.9% |
| 人事の合計 | 3,573件 | 20.2% |
出典:当社が利用するエージェント向け求人データベースのうち、主な職種が人事で、中途・正社員かつ提示年収のある求人(2026年9月20日時点)。また、職種名・仕事内容・応募条件のどこかに「未経験歓迎」「職種未経験可」などの言い回しがある求人の割合です。ただし、キーワードによる判定のため誤りを含みます。
求人の数は経理より多い
その結果、人事の求人は3,573件で、同じデータベースの経理・財務の3,116件より多くありました。つまり、求人の数そのものが少ないわけではありません。
ただし、そのうち55.8%は採用の求人です。そのため、どの分野を目指すかによって、選べる求人の数は大きく変わります。
また、人事は会社の規模を問わず置かれる仕事です。そのため、募集は大企業から成長企業まで幅広くあります。
未経験を歓迎する求人は約2割
次に、未経験を歓迎する求人は、人事全体で20.2%でした。ちなみに、経理・財務では14.7%なので、人事のほうがやや入口は広いといえます。
しかも、未経験を歓迎する求人の約7割は採用の分野でした。このように、未経験から人事を目指すなら、採用が最も大きな入口になります。
ただし、未経験を歓迎する求人でも、社会人としての経験や、人と関わる仕事の経験を求めるものが多くあります。そのため、未経験とはいえ、これまでの仕事で何をしてきたかは必ず見られると考えておきましょう。
求める経験年数は3年以下が中心
さらに、経験年数を書いた求人では、1〜3年以上を条件にするものが、全体の46.5%を占めました。一方で、5年以上を条件にする求人は5.0%にとどまります。
つまり、人事の経験が数年あれば、応募できる求人は一気に増えます。そのため、未経験からまず1〜2年の経験を積むことが、その後の転職を楽にする近道です。
メンバー層の募集が8割
加えて、人事の求人の81.6%は、管理職ではないメンバー層の募集でした。そして、メンバー層の求人の23.2%は未経験を歓迎しています。
したがって、役職にこだわらず、まずはメンバーとして入ることを考えると、選べる求人は大きく広がります。
なお、メンバー層の求人の中央値は550万円でした。つまり、メンバーとして入っても、人事全体と大きく変わらない水準の求人が多くあります。
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人事に未経験から入れる3つの入口
ここからは、未経験から人事に入るための、現実的な入口を3つ紹介します。なお、どの入口も一つに決める必要はありません。
入口①採用の仕事から入る
まず一つ目は、採用の仕事から入ることです。というのも、採用の求人は数が多く、未経験を歓迎する割合も25.4%と高いからです。
しかも、採用の求人の38.1%は営業の経験を、33.9%は人材業界の経験を応募条件に挙げていました。つまり、営業や人材紹介の経験がある人は、採用の仕事で強みを出しやすいのです。
とはいえ、採用担当には数字の目標や時期による忙しさなど、特有のきつさもあります。そのため、仕事の中身を知ったうえで選ぶことが大切です。
👉 あわせて読みたい:採用担当はきつい?辞めたくなる5つの理由と続けやすい職場の見分け方
入口②近い職種の経験を生かす
次に二つ目は、人事に近い職種の経験を生かすことです。実は、人事の求人の10.4%は、応募条件に人事の経験の語がなく、代わりに営業や総務、経理などの経験を挙げていました。
たとえば、経理の経験は給与計算や社会保険の処理で生かせます。また、総務の経験は、労務や社内の手続きの仕事とつながっています。
つまり、人事の経験がなくても応募できる求人はあります。ただし、近い職種の経験を前に出すことが条件です。
👉 あわせて読みたい:経理から人事へ|経理の経験が生きる仕事と、移るまでの現実的なルート
入口③今の会社で人事に近づく
そして三つ目は、今の会社の中で人事に近づくことです。たとえば、社内公募や異動の制度を使えば、年収を大きく下げずに人事の経験を積める場合があります。
また、異動の制度がない会社でも、新人の研修を手伝ったり、採用の面接官を務めたりする機会はあります。そこで、こうした仕事を自分から引き受けておくと、人事の経験として職務経歴書に書けるようになります。
転職ではなく、今の会社で人事に移る方法もありますか?
LXキャリア
あります。たとえば、面談でお会いした営業職の方とは、ある程度の規模の会社なら人事の組織がしっかりあり、社内公募の機会もあるという話をしました。
LXキャリア
そのため、まずは今の職種のまま規模のある会社に移り、入社後に公募で人事を目指すという順番も考えられます。この方法なら、年収を大きく下げずに人事に近づけるんです。
遠回りに見えて、実は堅実な道なんですね。
20代・30代から人事を目指すときの考え方
では、年代によって人事への入り方はどう変わるのでしょうか。ここでは、20代と30代に分けて考え方を整理します。
20代は採用や人材開発で経験を積む
まず20代は、経験よりも学ぶ姿勢が見られやすい時期です。そのため、未経験を歓迎する割合が高い採用や人材開発の求人に応募し、人事の経験を積み始めるのが現実的です。
しかも、20代のうちに人事の経験を1〜2年積めば、経験年数を条件にする求人にも応募できるようになります。つまり、早く入口に立つほど、その後の選択肢が広がります。
30代は今の職種の強みを人事に持ち込む
一方で30代は、これまでの職種で積んだ経験が強く見られます。そこで、営業なら採用、経理なら労務・給与というように、今の強みが生きる分野を選ぶことが大切です。
また、30代で未経験の分野に移る場合は、年収が一時的に下がる可能性もあります。したがって、社内異動や公募など、年収を保ちながら経験を積める方法も合わせて検討しましょう。
人事の経験者でも転職が難しいと感じるとき
一方で、すでに人事の経験がある人でも、転職が難しいと感じる場面があります。ここでは、よくある2つのケースを紹介します。
別の分野に移りたいとき
まず、採用から制度企画へ、労務から人材開発へというように、人事の中で分野を変えたいときです。なぜなら、分野ごとに求められる経験が違うからです。
特に、制度企画・組織開発の求人は、未経験を歓迎する割合が9.2%と低く、経験者を求める傾向が強い分野です。そのため、今の会社で次の分野に関わる経験を先につくっておくと、転職しやすくなります。
また、分野を変える転職では、前の分野の経験をどう生かすかが問われます。そこで、二つの分野をつなぐ話を用意しておきましょう。
人事の経験はあるのですが、採用しかやってこなかったので、制度の仕事に移るのは難しいでしょうか?
LXキャリア
制度企画は経験者を求める求人が多い分野です。ただし、採用の経験は、求める人物像や評価の基準を考えた経験として話せます。
LXキャリア
そこで、まず今の会社で評価や等級の見直しに関わる機会を取りにいくのがおすすめです。そうすれば、採用と制度の両方を語れるようになりますよ。
今の仕事の中で、次の経験をつくってみます。
年収を上げたいとき
次に、年収を上げるための転職を考えるときです。実際、メンバー層の求人の中央値は550万円、管理職は700万円でした。
したがって、年収を上げたいなら、チームをまとめた経験や、制度づくりを任された経験を積んでおくことが大切です。また、労務では社労士などの資格が専門性の裏づけになることもあります。
加えて、制度企画・組織開発の求人の中央値は725万円で、人事の中で最も高い水準でした。そのため、制度づくりの経験は、年収を上げる強い材料になります。
👉 あわせて読みたい:人事に資格は必要?求人データで見る役立つ資格7つと選び方
人事への転職を難しくしないための準備
最後に、人事への転職を難しくしないために、今からできる準備を紹介します。
経験を人事の仕事の言葉で書き直す
まず、今の経験を、人事の仕事の言葉で書き直しましょう。たとえば、営業で後輩の育成を担当したなら「新人の育成計画を立てて実行した」と書けば、人材開発の経験として伝わります。また、育てた人数や期間など、数字を添えるとさらに伝わりやすくなります。
目指す分野を一つに絞る
次に、目指す分野を一つに絞ることが大切です。というのも、採用・労務・制度企画では、求められる経験や素養がまったく違うからです。
たとえば、正確な事務処理が得意なら労務、人と話すことが得意なら採用というように、自分の強みと分野を結びつけて考えましょう。
なお、制度企画は経験者向けの分野です。そのため、最初の転職では採用か労務を選び、その後に制度企画を目指すのが現実的です。
👉 あわせて読みたい:労務に向いている人の6つの特徴|10問のセルフチェックと向いていない場合の選び方
第三者に経歴を見てもらう
さらに、自分の経歴が人事のどの分野で評価されるかは、自分だけでは判断しにくいものです。そのため、人事の求人をよく知る第三者に経歴を見てもらうと、思わぬ強みが見つかることがあります。
たとえば、営業で培った目標管理の経験が、採用の計画づくりに生きると気づくこともあります。このように、客観的な目線を入れると、応募先の選び方が変わります。
自分の市場価値を確かめる
そして、自分の経験が人事の求人でどう評価されるかを確かめておくと、どの入口を選ぶべきかが見えてきます。というのも、同じ経歴でも、分野によって評価が変わるからです。
入口は分かりました。そこで、今の経験だと人事としてどのくらいの年収になるのかを知りたいです。
LXキャリア
たとえば人事の年収診断なら、担当業務や役職から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、どの分野から入るのが自分に合うかを一緒に整理しましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
👉 あわせて読みたい:人事の仕事内容|採用・労務・制度など人事部で実際にやること
まとめ:人事への転職は難しいが、入口を選べば道はある
このように、この記事では人事への転職が難しいと言われる理由と、未経験から入れる入口を整理しました。では、要点を振り返ります。
- まず、人事の求人の73.9%は、応募条件に人事の業務に関わる語を挙げている
- また、未経験を歓迎する求人は人事全体で20.2%あり、採用や人材開発では2割を超える
- さらに、経験年数の条件は1〜3年が中心で、数年の経験で応募できる求人が一気に増える
- そして、採用から入る、近い職種の経験を生かす、社内で移るという3つの入口がある
📌 この記事の一次情報源
- 当社が利用するエージェント向け求人データベースの人事求人3,573件と経理・財務求人3,116件の集計(2026年9月20日時点、中途・正社員・提示年収ありに限定)
- 当社が2026年に行った求職者の方との面談の記録(個人が特定されないよう、職種以外は伏せて再構成)
