この記事でわかること
・経理 志望動機 転職 例文をそのまま使う前に、志望動機の3層構造を理解する
・落ちる原因の多くは「なぜ弊社か」に答えられないこと
・模擬面接で実際に指摘された、経歴の経路と言葉選びの問題
・職種別・ケース別の例文8選と、その組み立て方
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
志望動機は用意しているのですが、面接で深掘りされると答えが続かなくて。
LXキャリア
そのご相談は、面接対策でよくうかがいます。しかも本人は準備したつもりでいるので、原因に気づきにくいんです。だからこそ、どこで答えが止まっているのかを構造で確かめるのが近道なんですよ。
そこで本記事では、まず志望動機の構造を3層に分けます。次に、模擬面接で実際に起きたつまずきを紹介します。そのうえで、職種別・ケース別の例文8選を示します。
落ちる原因は「職種を選んだ理由」で止まること
志望動機で最も多いつまずきは、内容が薄いことではありません。むしろ職種を選んだ理由だけで完結してしまうことです。
「経理として専門性を高めたい」という理由は、応募先がどこであっても成り立ちます。だから面接官には、他社でもよいように聞こえます。
面談から:「なぜ弊社か」で答えが出てこなかった
模擬面接では、志望理由そのものは筋道立てて語れていても、次の一言で止まってしまう場面があります。
「では、なぜ弊社なのですか」と聞かれると、うまく答えられません。
LXキャリア
実は、模擬面接でもいちばんつまずきやすいのがその質問なんです。これは個人の落ち度というより構造の問題で、志望動機を職種の話だけでまとめると、会社を選ぶ理由が抜け落ちてしまうんですよ。
職種を選んだ理由と、会社を選んだ理由は別なんですね。
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志望動機は3層でできている
そこで、志望動機を分解して考えてください。次の3層がそろって初めて説得力が生まれます。
| 層 | 答えること | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 層1 | なぜ経理を続けるのか/目指すのか | キャリアの一貫性が伝わらない |
| 層2 | なぜこの会社なのか | 「他社でもよい」と受け取られる |
| 層3 | 入社後に何ができるのか | 意欲だけの話に聞こえる |
多くの方は層1と層3を用意しています。つまり抜けるのは層2です。しかも面接官が最も確かめたいのが、この層になります。
【最重要】「なぜ弊社か」を作る3手順
層2は、ひらめきで作るものではありません。手順で作れます。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 公開情報を読む | コーポレートサイトのミッションやパーパス。上場企業なら決算短信や有価証券報告書 |
| 2. 自分の経験と重なる点を探す | 担当した業務、直面した課題、解いた問題のなかから接点を1つ選ぶ |
| 3. 接続の一文を作る | 「◯◯という点に、自分の△△の経験が接続すると考えました」の形にする |
前掲の模擬面接でも、当社からは同じ助言をしています。ミッションやパーパスをホームページで確認し、そこから派生させる方法です。しかも同じ準備は、そのまま逆質問にも使えます。
経理職なら決算情報から作れる
経理経験者には有利な材料があります。上場企業であれば、決算資料を読んで内容を理解できるためです。
たとえば連結子会社の数、セグメントの構成、海外売上比率。これらは業務量や必要なスキルに直結します。したがって「なぜ弊社か」を実務の言葉で語れます。
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面談から:経歴の「経路」が説明できないと崩れる
模擬面接では、もうひとつ重要な論点があります。志望動機そのものではなく、そこに至る経路の話です。
前の転職の理由と、次に選んだ会社がうまくつながっていない気がします。
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そこは面接官が必ず突いてくるところです。たとえば「汎用的なスキルを身につけたい」という動機で転職したのに、選んだ会社がその分野から離れていると、なぜ直接その分野に行かなかったのかと聞かれます。つまり、動機と行動の間に飛びがあると深掘りで崩れやすいんです。
経歴の順路そのものを説明できるようにしておくんですね。
だからこそ、経歴に転換点がある方は「なぜその順路を選んだのか」を先に用意してください。とくに異業種や異職種を経ている場合、ここが最初の関門になります。
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面談から:同じ内容でも、社風に合わない言い方がある
模擬面接では、言葉選びも論点になります。たとえばチームワークを説明するとき、特定の部門が上位にあるかのような表現を使ってしまうことがあります。
内容が事実でも、応募先が組織のフラットさを掲げている会社なら、価値観が合わないという印象につながりかねません。
ここから言えることは1つです。志望動機と自己PRの言葉は、応募先ごとに点検してください。つまり同じ経験でも、序列を感じさせる言い方と連携を感じさせる言い方があります。
経理の場合、とくに他部門との関わりを語る場面で差が出ます。「営業から資料を出させた」ではなく「営業と締め切りを決めて運用した」と書けば、印象はまったく変わります。
【職種別】経理の志望動機 例文4選
ここからは例文です。ただし、そのまま使うのではなく前掲の3層で分解しながら読んでください。
例文1:中小企業経理 → 上場企業経理
「現職では従業員50名規模の月次決算を5営業日で締め、年次決算まで一貫して担当してまいりました。今後は連結決算や開示業務まで経験を広げたいと考えております。貴社は連結子会社が多く、開示書類の内製化にも取り組まれています。その点に強く魅力を感じ志望いたしました。」
担当範囲の数字と、次に広げたい領域をセットにしています。つまり経験年数よりも業務の具体性が伝わる形です。加えて最後の一文が層2にあたります。
例文2:事業会社経理 → 会計事務所・BPO
「事業会社で7年間、単体決算と税務申告の補助を担当してまいりました。複数業種のクライアントに関与することで、経理の知見を横に広げたいと考えております。貴社のクラウド会計導入支援は、これまでの業務改善経験を活かせる領域だと確信し志望いたしました。」
事業会社からBPOへの転向では、幅を広げる動機が必要になります。そのうえで、具体的な業務経験とセットで語ると説得力が増します。
例文3:経理 → 財務・経営企画
「月次決算の精度向上だけでなく、管理会計の視点で事業部へのフィードバックにも関与してきました。数字を作る側から、数字で意思決定に関わる側へステップアップしたく、経営企画機能を経理内に持つ貴社を志望いたしました。」
このルートでは、数字への関与経験が鍵になります。したがって、分析や提案の経験まで示せると通りやすくなります。
👉 あわせて読みたい:管理会計ができる経理は転職市場でどれほど評価される?
例文4:経理スタッフ → 経理マネージャー
「スタッフ3名のチームでOJTと業務フロー整備を担い、月次決算を8営業日から5営業日へ短縮した実績があります。次のステップとして、10名規模の経理組織のマネジメントに挑戦したく、拠点拡大フェーズにある貴社を志望いたしました。」
管理職を目指す場合は、定量的な改善実績が説得力を持ちます。さらに応募先のフェーズと自分の経験を紐づけてください。なおマネジメント経験がなくても、後輩指導の実績があれば材料になります。
【ケース別】経理の志望動機 例文4選
例文5:年収アップを目的とした転職
「現職で連結決算・税務・開示まで一通り経験したことで、より専門性が評価される環境で挑戦したいと考えております。貴社は経理人材への投資を明確に打ち出されており、自身の市場価値と役割責任が一致する環境だと感じ志望いたしました。」
年収そのものは、志望動機ではなく条件面談で扱うほうが進めやすくなります。そこで志望動機では、役割と評価の話に変換してください。
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例文6:働き方を見直したい転職
「前職では繁忙期の属人化が課題となっており、業務標準化とクラウド化を推進してまいりました。貴社は月次決算の早期化と残業抑制を両立されており、業務品質と働き方を両立できる環境で長く貢献したいと考え志望いたしました。」
この理由を使う場合、改善への取り組み実績と必ずセットにしてください。つまり「楽をしたい」ではなく「仕組みで解決してきた」という文脈にします。
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例文7:IPO・成長企業への挑戦
「上場企業で連結決算と開示を担当するなかで、制度構築フェーズの経理に関与したいという想いが強くなりました。IPO準備中の貴社であれば、内部統制整備から開示体制構築まで、経理として事業の成長に直接貢献できると考え志望いたしました。」
IPO準備企業では、制度構築の経験や上流への関与意欲が評価されます。ただし変化が激しいため、柔軟に対応できる姿勢もあわせて伝えてください。
👉 あわせて読みたい:IPO準備企業の経理転職|どんなスキルが求められ、年収はどう変わる?
例文8:グローバル経理へのキャリアチェンジ
「英文会計の実務とIFRS基準の決算補助を経験するなかで、海外子会社を含めた連結管理に本格的に携わりたいと考えるようになりました。海外拠点の立ち上げを進める貴社で、グローバル経理の専門性を高めたく志望いたしました。」
この方向では、英語とIFRSの実務経験が問われます。しかし経験が浅い場合でも、関与した範囲を正直に示したうえで意欲を伝えれば通る場面があります。
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書く前に済ませる棚卸し
層2の材料は応募先から取りますが、層1と層3の材料は自分の中にあります。そこで先に棚卸しをしてください。
| 書き出すこと | 形式 |
|---|---|
| 担当した業務と、その規模 | 売上規模、従業員数、拠点数などの数字を添える |
| 締めのスピード | 月次決算は第何営業日に確定していたか |
| 一人で完結できた範囲 | どこまで自分で、どこから他者と分担したか |
| 改善した経験 | 何時間、何営業日を減らしたか |
| 次にやりたいこと | 連結、開示、税務、管理会計などの領域名で |
この5つが埋まれば、層1と層3はほぼ書けます。あとは応募先ごとに層2を差し替えるだけです。つまり1社目に時間をかければ、2社目以降は短時間で作れます。
なお数字が思い出せない場合は、当時の資料や引き継ぎメモを確認してください。曖昧なまま書くと、面接の深掘りで崩れます。
やってはいけない志望動機の3つの型
| 型 | なぜ避けるか |
|---|---|
| 安定していると聞いたから | 受け身に聞こえ、層2にも層3にもならない |
| 前職の不満から始める | 先に聞いた話が印象に残る。順番を入れ替える |
| どの会社にも当てはまる内容 | 「他社でもよい」と受け取られる |
2つ目は補足が必要です。前職の事情に触れること自体は問題ありません。むしろ問題は順番です。前向きな動機を先に置き、背景は後ろに短く添えてください。
志望動機と自己PRの使い分け
混同されやすい2つですが、答えるべきことが違います。志望動機は「なぜここに来たいか」、自己PRは「何ができるか」です。
ただし境界は完全には分かれません。模擬面接でも、強みを述べた後に「御社でどう活かせるか」まで付け加えるべきかが論点になりました。当社の助言は、面接官の質問意図で判断するというものです。
つまり業務適性を確かめる質問なら、活かし方まで述べます。一方、人となりを知りたい質問であれば、経験の説明で止めて構いません。
👉 あわせて読みたい:経理の自己PR完全攻略【例文7選+NG例つき】
それなら、志望動機を書く前に自分の年収の目安も知っておきたいです。
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たとえば経理の年収診断なら、担当範囲と保有資格から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、応募先ごとに「なぜこの会社か」を一緒に組み立てましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
志望動機に関するよくある質問
Q1. 例文をそのまま使ってもよいですか
骨格として使うのは問題ありません。ただし層2の部分は必ず自分で書き換えてください。ここが応募先ごとに変わる箇所だからです。
Q2. どのくらいの長さが適切ですか
書類では200〜300字、口頭では1分程度が目安です。むしろ長く話すほど、質問との対応がずれやすくなります。したがって結論から述べてください。
Q3. 未経験からの転職でも使えますか
使えます。ただし層3を実務経験ではなく、学習内容と前職の接点で埋めてください。
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Q4. 転職回数が多い場合はどう書きますか
各社を並べるのではなく、担当範囲が広がってきた流れとして示してください。前述のとおり、経路の説明が弱いと深掘りで崩れます。
Q5. 年収や働き方が本音の場合は書くべきですか
本音を隠す必要はありません。しかし志望動機の中心には置かないでください。例文5と例文6のように、役割や仕組みの話へ変換するのが実務的です。
まとめ|抜けるのはいつも「層2」
経理 志望動機 転職 例文を探す前に、まず3層のどこが抜けているかを確認してください。多くの場合、抜けているのは層2の「なぜこの会社か」です。
層2は手順で作れます。公開情報を読み、自分の経験と重なる点を探し、接続の一文にする。経理職であれば、決算資料という他職種にはない材料も使えます。
あわせて、経歴の経路と言葉選びも点検しましょう。動機と行動の間に飛びがあると深掘りで崩れ、序列を感じさせる表現は社風との相性で不利になります。まずは応募先を1社決めて、層2から書いてみてください。
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📌 この記事の一次情報源
- 当社が2026年に実施した模擬面接セッションの記録(「なぜ弊社か」のつまずき、経歴の経路に関する指摘、社風と表現の相性、強みと活かし方の扱い。個人・企業が特定されないよう内容を一般化して掲載)
- 当社が2026年に扱った経理・管理部門の求人および求人企業へのヒアリング記録(例文は実在の応募書類ではなく、当社が支援の中で用いている型にもとづく作例です)
- 金融庁「EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)」(応募先の公開情報を確認する際の参照先)
