この記事でわかること
・経理の転職は何年目がよいかという問いは、実は年齢とほぼ連動していること
・勤続年数と年齢の対応(20〜24歳1.9年、25〜29歳4.4年、30〜34歳6.7年)
・年次と年齢がずれている人こそ、設計が必要になる理由
・動く時期を決める3つの条件
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
経理を始めて、数年たちました。そこで迷っているのですが、もう少し経験を積んでから動いたほうがいいでしょうか。だから、何年目なら転職できるのか、その正解が知りたいんです。
LXキャリア
面談でもよくいただくご相談です。実は「何年目か」は、多くの方にとって「何歳か」とほぼ同じ問いなんです。そこでこの記事では、年次と年齢の関係を数字で確かめてから、動く時期の決め方を整理しますね。
このご相談は、「何年目が正解か」という形で聞かれることが多くあります。
そこで本記事では、まず年次と年齢の関係を実数で確認します。次に、両者がずれている場合の考え方を整理します。そのうえで、動く時期を決める条件を3つに絞ります。
結論:「何年目」は年齢とほぼ連動している
先に結論を述べます。つまり多くの方にとって「何年目か」と「何歳か」は、ほぼ同じ問いです。
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」には、会計事務従事者の年齢階級別の勤続年数が収録されています。
| 年齢階級 | 平均勤続年数 | 年収換算 | おおよその「何年目」 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 1.9年 | 353万円 | 1〜2年目 |
| 25〜29歳 | 4.4年 | 424万円 | 3〜6年目 |
| 30〜34歳 | 6.7年 | 484万円 | 7〜10年目 |
| 35〜39歳 | 9.4年 | 536万円 | 10年目以降 |
| 40〜44歳 | 11.6年 | 540万円 | ― |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表「会計事務従事者」。企業規模計・男女計。勤続年数は現在の勤め先での年数であり、経理としての通算経験年数とは一致しません。年収換算は当社が算出。
まず、この表からは年次と年齢がおおむね並走していることが読み取れます。したがって「3年目で動くべきか」という問いは、実質的には「25歳前後で動くべきか」という問いとほぼ同じです。
ただし注意点があります。勤続年数は現在の勤め先での年数です。だから転職を経ている方の通算経験年数とは一致しません。
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年次と年齢がずれる人こそ設計が要る
ここが本記事の中心です。まず両者が連動している人は、年次で考えても年齢で考えても同じ結論に着きます。しかしずれている場合、判断の軸を変える必要があります。
経理歴は5年あります。しかし、ずっと同じ業務ばかりです。それでも5年目として評価されますか?
LXキャリア
年数だけでは評価されにくいんです。というのも、採用する側が見ているのは、何年いたかより、どの工程まで任されたかなんですね。だから経理歴が長くても範囲が狭いなら、まず工程で棚卸ししてみましょう。
| ずれ方 | 起きること | 見るべき軸 |
|---|---|---|
| 中途で経理に入った | 年齢に対して経理の年次が浅い | 年次。担当範囲が要件を満たすかで判断する |
| 経理歴は長いが範囲が狭い | 年次に対して経験が積み上がっていない | 範囲。工程で棚卸ししてから動く |
| 若くして幅広く任された | 年次が浅いのに範囲が広い | 年次より範囲。早めに動いても通る |
とくに1つ目は誤解が生まれやすい類型です。30代で経理2年目という方は、年齢では中堅でも要件では若手扱いになります。だから求人の「経験3年以上」という条件を先に確認してください。
反対に3つ目であれば、年次を待つ意味は薄くなります。少人数の会社で月次から年次まで一人で回している方は、実務2年でも経験者枠で戦えます。
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【年次別】何が変わるのか
次に、年次ごとの扱われ方を要点だけ整理します。詳細は各年次の記事にまとめています。
| 年次 | 市場での扱い | この時期の課題 |
|---|---|---|
| 1〜2年目 | ポテンシャル採用の枠に入る | 年次決算に関与していないと経験者枠に届かない |
| 3〜4年目 | 経験者枠の入口。求人の選択肢が最も増える | 担当範囲が狭いままだと差がつかない |
| 5〜7年目 | 即戦力として評価される | 連結・開示・税務のいずれかに触れているか |
| 8〜10年目以降 | 役職か専門性のどちらかを問われる | 同じ範囲の繰り返しでは説明が難しくなる |
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年収は年次でどう動くか
あわせて年収の伸び方も押さえておきましょう。前掲の表から、階級ごとの伸びが計算できます。
| 区間 | 年収換算の伸び |
|---|---|
| 20〜24歳 → 25〜29歳 | +71万円 |
| 25〜29歳 → 30〜34歳 | +60万円 |
| 30〜34歳 → 35〜39歳 | +52万円 |
| 35〜39歳 → 40〜44歳 | +3.8万円 |
伸びは20代が最も大きく、その後は緩やかになります。そして35〜39歳から40〜44歳ではほぼ止まります。つまり担当者として同じ範囲を続けている限り、年収は横ばいに入ります。
また転職そのものによる変動も見ておきましょう。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、転職入職者のうち賃金が増加した割合は20〜24歳で50.5%、25〜29歳で46.3%、30〜34歳で46.1%でした。一方、減少した割合は20〜24歳16.8%、25〜29歳29.2%、30〜34歳24.2%です。
いずれも全産業の転職入職者が対象であり、経理職に限定した数値ではありません。それでも20代前半が最も条件がよい点は共通しています。
👉 あわせて読みたい:経理のキャリアパス|担当者と管理職の差は455万円/経理の平均年収は?中央値・企業規模別の実数データ
動く時期を決める3つの条件
ただし年次だけでは決められません。そこで、実務的な3条件で判断してください。
条件1:担当した業務の「型」ができたか
まず、これが最も重要な条件です。月次決算を通しで回した、年次決算を1期分経験した、システム導入を最後まで見届けた。こうした区切りがあると、書類でも面接でも語りやすくなります。
反対に、途中の段階で動くと説明が難しくなります。だから「あと何か月で1つ完結するか」を先に確認してください。
それなら、「区切りがついた」ってどんなタイミングのことですか?
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たとえば面談でお会いした方に、上場の準備から関わり、上場を果たしたあとに転職を考え始めた方がいました。また、会社の規模が大きくなかったので、経理に限らず幅広い仕事に関わったそうです。そのうえで「この会社でやり切った」と感じたことが、動くきっかけになっていました。
つまり、何年いたかより、何をやり切ったかなんですね。
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そうなんです。しかも、一つの仕事を完結させた経験は、そのまま書類と面接で語れる材料になりますよ。
条件2:繁忙期と重ならないか
次に、経理の繁忙期は法定期限で決まります。3月決算の会社であれば、4月から5月が最大の山です。加えて12月から1月も年末調整と法定調書で重くなります。
この時期は面接の日程が組みにくくなります。しかも引き継ぎの調整も難しくなります。したがって6月から8月、あるいは9月から11月を活動の中心に据える方が多くいらっしゃいます。
👉 あわせて読みたい:経理の繁忙期はいつ?年間カレンダーと法定期限/経理の転職活動スケジュール完全版
条件3:待つことで何が増えるか
そして「もう少し経験を積んでから」と考える場合、その1年で何が増えるかを具体化してください。連結に関われるのか、決算の範囲が広がるのか。増えるものが明確なら待つ価値があります。
一方、同じ業務の繰り返しであれば、待っても書ける内容は変わりません。むしろ年齢だけが上がります。だからこの見極めが、最も判断を分けます。
「辞め時」を見極める4つのサイン
3条件は「動いてよいか」の判断でした。一方、こちらは「動いたほうがよいか」の判断です。次の4つが当てはまるなら、検討を始める価値があります。
今の職場は、忙しさは我慢できるんです。でも、このまま続けていいのか迷っていて。
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面談でも、忙しさそのものより「かけている時間に見合った評価か」を気にされる方がいます。つまり年収の額だけでなく、時間あたりで考えると、動くべきかどうかが見えやすくなるんです。そのうえで、次の4つのサインも確かめてみてください。
| サイン | 意味すること |
|---|---|
| 3年以上、担当範囲が変わっていない | 書ける経験が増えない状態が続いている |
| 上のポジションが当面空かない | 社内で役職に就く道が閉じている |
| 制度対応を外部に任せきっている | いま市場で評価される経験が積めない |
| 決算や申告を内製していない | 経験者枠の要件を満たしにくくなる |
1つ当てはまっただけで動く必要はありません。ただし2つ以上が重なっている場合、年次を待っても状況は変わりません。むしろ前掲の賃金カーブのとおり、40代で伸びが止まる前に手を打つほうが有利です。
なお、社内で担当範囲を変える交渉が先です。異動や新しい業務の希望を出しても動かない場合に、環境そのものを変える判断になります。
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タイミングでよくある失敗
| 失敗 | 避け方 |
|---|---|
| 「もう少し待てば有利になる」と先延ばしにする | 条件3で、増えるものを具体化してから決める |
| 不満だけを理由に急いで動く | 転職理由の説明が弱くなる。先に条件を整理する |
| 繁忙期のさなかに応募を始める | 日程調整が破綻する。時期をずらす |
| 年次だけで判断する | 担当範囲を工程で棚卸しし、要件と照合する |
とくに1つ目は繰り返し起こります。1年待った結果、担当範囲は変わらないまま年齢だけが上がるという例です。したがって「待つ」という判断にも、期限を設けてください。
👉 あわせて読みたい:経理転職で失敗する人の共通原因5つと回避するための対策/経理の退職理由|面接で好印象に変えるネガポジ変換例文7パターン
活動にかかる期間から逆算する
「いつ動くか」を決めたら、次は所要期間です。ここを見誤ると、繁忙期に選考が重なります。
| 工程 | 目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 書類の準備 | 2週間前後 | 担当範囲の棚卸しに時間がかかる |
| 応募から選考 | 1〜2か月 | 面接は2〜3回。間に待ち時間が入る |
| 内定から条件確定 | 1〜2週間 | 条件通知書の確認を急がない |
| 退職の申し出から退職 | 1〜2か月 | 経理は引き継ぎに時間がかかる |
当社が支援した範囲での目安です。公的統計にもとづくものではなく、企業や状況によって変わります。
合計すると、書類の準備から入社まで3〜4か月を見ておくことになります。つまり4月入社を目指すなら、12月ごろから動き始める計算です。
ただし経理には固有の事情があります。退職の時期が決算と重なると、引き継ぎが難しくなる点です。だから3月決算の会社であれば、決算が明けた6月以降の退職が調整しやすくなります。
年次に関わらず準備しておくこと
ところで、いつ動くにせよ共通して効く準備があります。ここでは2つだけ挙げます。
まず1つ目は、担当範囲の記録です。売上規模、月次決算の営業日数、一人で完結できた工程。この3点を毎年書き足しておけば、いつでも書類に落とせます。
そして2つ目は、資格の計画です。日商簿記2級はネット試験なら通年で受験できます。したがって繁忙期を避けて受験日を設定できます。
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自分の年次と担当範囲だと、どのくらいの年収が狙えるんでしょう?
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たとえば経理の年収診断なら、担当範囲と保有資格から想定年収の目安が90秒でわかります。動く時期は、その結果を見ながら一緒に決めても遅くないですよ。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
転職タイミングに関するよくある質問
Q1. 1年目でも転職して大丈夫ですか
可能です。20〜24歳の平均勤続年数は1.9年であり、この年代では珍しくありません。ただし年次決算に関与していない場合、経験者枠ではなくポテンシャル採用の枠になります。
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Q2. 何年目でも共通して評価される点はありますか
あります。担当範囲を工程で説明できること、そして数字で語れることです。この2つは年次を問わず問われます。
Q3. 決算期に転職活動は避けるべきですか
避けたほうが進めやすくなります。面接の日程が組みにくいためです。ただし応募自体は可能なので、書類の準備を決算期に進め、面接を明けに設定する方法もあります。
Q4. 転職回数が多いと年次に関係なく不利ですか
回数そのものより、担当範囲が広がってきた流れを示せるかが分かれ目です。同じ範囲を繰り返している場合は、回数が少なくても説明が難しくなります。
Q5. 年齢が上がってから経理を始めた場合はどう考えますか
年次を軸にしてください。求人の応募要件は経験年数で書かれることが多いためです。ただし前職の経験が接続する場合は、そこも合わせて示すと選択肢が広がります。
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Q6. 内定から入社まで何か月待ってもらえますか
在職中であれば1〜2か月先が目安になります。まず退職の申し出から引き継ぎ完了までに時間がかかるためです。ただし欠員補充の求人では、より早い着任を求められることがあります。したがって希望時期は応募の段階で伝えておきましょう。なお繁忙期をまたぐ場合は、引き継ぎの段取りを先に示すと調整が進みます。一方で入社可能日を曖昧に答えると、選考の終盤で条件が折り合わなくなります。
Q7. 賞与の支給月をまたいでから動くべきですか
支給日に在籍していることを条件とする規程は多くあります。まず自社の賃金規程で、支給日在籍の要件を確認してください。つまり退職日が支給日より前だと、受け取れない場合があります。ただし待っているあいだに求人が閉じることもあります。したがって金額と機会損失を並べて比べましょう。なお選考には2〜3か月かかります。そのため支給月の直後に入社する形で逆算する方法もあります。
Q8. 年次と実務の到達度がずれている場合はどう伝えますか
年次ではなく工程で語ってください。まず担当した業務を、仕訳計上・残高照合・調整表作成のように分けます。そのうえで自分で判断した範囲と、確認を受けた範囲を分けて示しましょう。つまり在籍年数より、任された範囲のほうが採用側には伝わります。ただし未経験の工程を隠す必要はありません。むしろ今後担いたい領域として述べると、意欲として受け取られます。
まとめ|年次は目安、決めるのは「型」と「時期」
経理の転職は何年目がよいかという問いは、多くの方にとって年齢の問いとほぼ同じです。勤続年数は20〜24歳で1.9年、25〜29歳で4.4年、30〜34歳で6.7年と、年齢に並走します。
だからこそ、両者がずれている人は軸を変えてください。中途で経理に入った方は年次で、経理歴が長く範囲が狭い方は担当範囲で判断します。
そのうえで、動く時期は3条件で決めましょう。業務の型ができたか、繁忙期と重ならないか、待つことで何が増えるか。まずは直近で完結しそうな業務を1つ挙げるところから始めてください。
👉 あわせて読みたい:20代の経理転職|25歳を境に規模の差が2.5倍に開く実数/経理の仕事大全|年収・残業・資格を実数で総覧
📌 この記事の一次情報源
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表(会計事務従事者の年齢階級別の勤続年数・賃金)
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表6 転職入職者の賃金変動状況別割合(全産業が対象)
- 日本商工会議所「簿記 受験者データ」(ネット試験の実施方式)
- 当社が2026年に扱った経理・管理部門の求人および候補者面談の記録(年次別の扱いと3条件は当社の見解であり、公的統計にもとづくものではありません)
