経理・財務

経理転職が難しい理由|母集団・要件・伝達の3層で分解する

経理転職が「難しい」「なかなか決まらない」と感じる理由を構造的に整理し、20代・30代の経験者が選考を突破するための年収・キャリア・タイミングの具体策を専門家視点で解説します。

この記事でわかること
・経理 転職 難しいと感じる原因は、母集団・要件・伝達の3つに分解できること
・経理が「求人が少ない」と感じる構造的な理由(平均勤続年数12.8年)
・一般労働者の転職入職率は8.3%。動く人は多数派ではない
・タイプ別に、難易度がどこで生まれているかの見取り図

経理 転職 難しいと感じて、次の一手が決められずにいる方に向けた記事です。

※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。

相談者

応募しても書類が通らなくて。経理の転職って、やっぱり難しいんでしょうか。

森岡
LXキャリア

そのご相談は、面談でもよくうかがいます。ただ、「難しい」という言葉のままでは対策が決まらないんです。求人が少ないのか、要件に届いていないのか、書類で伝わっていないのか。まずはどこで止まっているかを分けて考えましょう。

そこで本記事では、難易度を3つに分解します。次に、経理という職種の構造を実数で確認します。そのうえで、自分のケースがどこに当てはまるかを判定できる形にします。

「難しい」の正体は3つに分けられる

まず全体像です。そもそも難易度は、次の3層のどこかで生まれています。

層 中身 表れ方
1. 母集団そもそも応募できる求人が少ない応募数が月に数件しか積み上がらない
2. 要件求人票の必須要件に届いていない応募はできるが、書類で止まる
3. 伝達できることが書類で伝わっていない面接に進むと評価されるのに、書類は落ちる

この3つは、打ち手がまったく違います。母集団の問題に書類の書き方で対処しても解決しません。逆に、伝達の問題に応募数で対抗すると疲弊します。

したがって、まず自分がどの層で止まっているかを見極めてください。判定の目安は、応募数と通過率のどちらが低いかです。

【実数】経理は「動く人が少ない」職種である

まず母集団の話から始めます。実は、求人が少ないと感じる背景には職種としての構造があります。

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、会計事務従事者の平均勤続年数は12.8年です。年齢別に見ると、40〜44歳で11.6年、50〜54歳では17.4年になります。

指標 実数 出典
会計事務従事者の平均勤続年数12.8年令和7年賃金構造基本統計調査
同・労働者数466,030人同上
一般労働者の転職入職率8.3%令和6年雇用動向調査
同・未就業入職率3.5%同上
転職入職率(全就業形態計)9.7%同上

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表・第5表、「令和6年雇用動向調査」表3-2。転職入職率は全産業が対象で、経理職に限定した数値ではありません。

一般労働者の転職入職率は8.3%でした。つまり1年間に転職した方は12人に1人ほどです。そもそも転職は、多数派の行動ではありません。

経理は定着しやすく、席が空きにくい

そして経理は定着しやすい職種です。平均勤続年数が12.8年ということは、席が空く頻度が低いことを意味します。だからこそ求人の多くは欠員補充になり、「前任者と同じことができる人」を探す形になります。

ここが「難しい」と感じる構造的な理由です。育成前提の増員求人が少なく、即戦力の要件が前面に出やすいためです。

相談者

つまり、求人が少ないと感じていたのは、職種の構造のせいでもあったんですね。

森岡
LXキャリア

そうなんです。実は、会計事務従事者の平均勤続年数は12.8年で、席が空く頻度が低いんです。だから求人の多くは欠員補充になり、即戦力の要件が前に出やすくなります。自分の力不足だけが原因ではないと考えてくださいね。

相談者

それなら、構造を知ると打ち手を落ち着いて選べそうです。

タイプ別|難易度はどこで生まれているか

次に、自分のケースを当てはめてみましょう。つまり止まっている層が分かれば、打ち手も絞れます。

タイプ 主な層 打ち手
実務未経験母集団簿記で応募できる求人を増やす。企業規模を広げる
経理経験3年未満要件年次決算の関与範囲を洗い出し、書ける経験に変える
経験はあるが書類が通らない伝達担当範囲を規模と頻度つきで書き直す
ブランクがある要件・伝達制度改正のキャッチアップと開始可能日の明示
40代以上母集団・伝達欠員補充の求人に絞り、着任後6か月の絵を添える
大手だけを受けている母集団中小・成長企業を含めて母数を確保する

👉 あわせて読みたい:20代未経験から経理へ転職できる?成功率を上げる4ステップ/経理のブランク転職|入職者の18.1%が空白期間を経ている/40代の経理転職は可能?61.3%が40歳以上という実数

層1:母集団を広げる

応募数が積み上がらない場合、原因はほぼ絞り込みすぎです。なかでも次の3つで母集団が狭くなります。

絞り込み 見直し方
企業規模を大手に限定100〜999人の企業を含める。担当範囲はむしろ広がる
業界を1つに限定経理の実務は業界をまたいで通用する範囲が広い
職種名で検索している「経営管理」「管理部門」など別の名称も確認する

なお企業規模については、年収面の裏づけもあります。会計事務従事者の年収換算は、1,000人以上で580万円、100〜999人で506万円、10〜99人で471万円です。差はありますが、100〜999人でも全体平均の512万円に近い水準にあります。

👉 あわせて読みたい:経理求人の見方|失敗しないチェックポイント10選/中小企業の経理に転職するメリット・デメリット完全解説

層2:必須要件と歓迎要件を分けて読む

次に、要件で止まっている場合は求人票の読み方を変えてください。実は多くの方が、必須と歓迎をまとめて見ています。

必須要件を満たしていれば、歓迎要件が空欄でも応募して構いません。むしろ企業側は、必須をすべて満たす方が現れないことを前提にしている場合があります。

実際に当社が扱った案件でも、企業が本来求めていた経験者が市場におらず、要件が段階的に緩められた例があります。つまり求人票の記載は、交渉の余地がある出発点です。

ただし例外があります。上場企業の開示業務や連結決算のように、経験の有無がそのまま可否を分ける領域です。ここは要件を満たしていないと通りません。

層3:できることを「範囲」で書く

そして面接では評価されるのに書類で落ちる場合、伝達の問題です。しかも原因はほぼ共通しています。つまり担当業務を名詞で並べているためです。

伝わらない書き方 伝わる書き方
月次決算、年次決算、税務対応売上高50億円規模の月次決算を第5営業日までに一人で完結
監査法人対応年次決算で監査法人の質問対応を担当。勘定科目5領域の資料を作成
業務改善経費精算の電子化により、突合作業を月20時間から6時間に短縮

つまり違いは3つの要素です。すなわち規模、頻度、そして自分が担った範囲です。この3つが入ると、読み手は自社に置き換えて考えられます。

逆に名詞の羅列では、どこまでできるのかが分かりません。だから判断を保留され、通過しにくくなります。

相談者

ところで、面接では評価されるのに、書類で落ちてしまいます。

森岡
LXキャリア

それは伝達の問題かもしれません。たとえば「月次決算」と名詞で書くだけでなく、売上規模、締めの営業日、自分が担った範囲まで書き足してみてください。読み手が自社に置き換えて考えられるようになりますよ。

相談者

つまり、規模と頻度と範囲を足せばいいんですね。

👉 あわせて読みたい:経理の職務経歴書 書き方|通過率を上げる5つのコア要素と例文/経理の書類選考が通らない原因と改善策【採用担当者が見るポイント】

「難しい」と感じる人が見落としている3つの事実

ここまでの3層とは別に、前提の誤解が難易度を押し上げている場合もあります。実数で確認しておきましょう。

事実1:転職で賃金が増える人は4割いる

「転職すると年収が下がる」と考えて動けない方がいらっしゃいます。しかし令和6年雇用動向調査では、転職入職者の40.5%が賃金増加、28.4%が変わらない、29.4%が減少でした。

つまり増加と減少はほぼ拮抗しています。むしろ20〜24歳では増加50.5%に対し減少16.8%であり、若い年代ほど増えやすくなっています。

事実2:経理は40代以上が多数派である

年齢を理由にためらう方もいらっしゃいます。ところが会計事務従事者466,030人のうち、40歳以上は285,870人で61.3%を占めます。最も人数が多い層は50〜54歳でした。

したがって経理という職種において、40代は高齢層ではありません。ただし求められるものは変わります。

事実3:ブランクを経た入職は珍しくない

空白期間を過度に不利だと考える方もいらっしゃいます。しかし令和6年の入職者747.4万人のうち、134.9万人は新規学卒者ではない未就業入職者でした。割合にすると18.1%です。

つまり、およそ5人に1人は就業していない期間を経て働き始めています。だから空白そのものより、いま何ができるかの説明に力を割いてください。

自己点検リスト

それでは、ここまでを確認できる形にまとめます。上から順に見ていってください。

確認すること 当てはまるなら
応募が月5件に届いていない母集団の問題。条件を1つ外して検索し直す
応募はしているが書類通過が1割未満要件か伝達の問題。必須要件との照合から始める
面接には進むが決まらない応募先の選び方を見直す
職務経歴書を応募先ごとに変えていない伝達の問題。必須要件の言葉を本文に入れる
年次決算の関与を書いていない要件の問題。関与した範囲を洗い出す

とくに2行目が重要です。通過率が1割を切っている場合、応募数を増やしても改善しません。むしろ書類を直してから再開するほうが早く進みます。

面接まで進んだのに決まらないとき

3層の話は主に書類までの段階です。面接に進めているのに決まらない場合は、別の要因を見てください。

要因1:担当範囲の認識がずれている

書類では「月次決算を担当」と書いていても、面接で範囲を確認されると食い違うことがあります。たとえば試算表の作成までなのか、分析と報告まで含むのかです。したがって、工程単位で区切って説明できるようにしてください。

要因2:転職理由と志望動機がつながっていない

「いまの職場では成長できない」と述べたうえで、応募先については規模や安定性を挙げる。この組み合わせは矛盾して聞こえます。むしろ辞める理由と選ぶ理由を、同じ軸でそろえてください。

要因3:入社後の絵がない

経験を語るだけで終わると、採用側は自社での姿を想像できません。そこで「着任後の3か月で何から着手するか」を一言用意しておいてください。とくに欠員補充の求人では、この一言が効きます。

👉 あわせて読みたい:経理の面接でよく落ちる人の特徴と採用担当が見ているポイント/経理の志望動機、転職でそのまま使える例文8選/退職理由|面接で好印象に変えるネガポジ変換例文7パターン

それでも決まらないときに疑うこと

ただし、3層すべてを手当てしても進まない場合があります。そのときは、前提そのものを疑ってください。

まずは時期です。経理の採用は繁忙期に動きにくくなります。3月決算の企業であれば、4月から5月は選考が停滞しやすい時期です。

次に、条件の組み合わせです。年収、勤務地、残業、担当範囲。このうち3つ以上を高い水準で揃えようとすると、該当する求人はほとんどなくなります。したがって、優先順位を1位から3位まで決めてください。

👉 あわせて読みたい:在職中でも3ヶ月で内定を取る転職活動スケジュール/経理転職で失敗する人の共通原因5つと回避するための対策/経理転職エージェントの賢い使い方【登録〜内定獲得まで全解説】

相談者

それなら、いまの経験でどこまで狙えるのか、年収の目安を知りたいです。

森岡
LXキャリア

たとえば経理の年収診断なら、担当範囲と保有資格から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、どの層で止まっているかを一緒に見極めましょう。

相談者

まずは自分の現在地を確かめてみます。

自分の「現在地」を知ることから始めませんか

経理の年収診断をはじめる →

想定年収レンジの目安がすぐにわかります

難易度に関するよくある質問

Q1. 転職回数が多いと難しくなりますか

回数そのものより、担当範囲が広がってきた流れを示せるかが分かれ目です。同じ範囲を繰り返している場合は、説明が難しくなります。

Q2. 簿記がないと難しいですか

経験者であれば、資格がなくても応募できます。一方、未経験の場合は簿記の有無で母集団が変わります。つまり資格は、層1に効く打ち手です。
👉 あわせて読みたい:経理の資格ロードマップ|段階別に何をいつ取るか

Q3. 年代によって難易度は変わりますか

変わります。ただし年齢そのものより、求められるものが変わると考えてください。年代別の詳細は別記事で扱っています。
👉 あわせて読みたい:何歳まで経理転職はできる?年齢別の転職成功率と攻略法

Q4. どのくらいの期間を見ておけばよいですか

在職中であれば、3か月前後を一つの目安にしてください。ただし年齢が上がるほど、選考に時間がかかる傾向があります。したがって、繁忙期を避けて開始時期を設計してください。

Q5. エージェントを使うと難易度は下がりますか

層によって効き方が違います。母集団の問題であれば、非公開の求人にあたれるぶん効果があります。伝達の問題でも、書類の直しを受けられれば改善します。一方、要件そのものが足りない場合は、エージェントを使っても結果は変わりません。
👉 あわせて読みたい:転職エージェントの賢い使い方|登録から内定獲得まで

Q6. 応募は何社くらい出すものですか

一律の正解はありません。ただし通過率が1割前後だとすれば、面接に進むには10社前後の応募が必要になります。したがって、応募数が5社に届かない段階で「難しい」と判断するのは早すぎます。まずは母集団を確保してから、通過率を見てください。

Q7. 応募書類は求人ごとに書き分けるべきですか

全面的に書き直す必要はありません。ただし冒頭の要約だけは求人ごとに変えてください。なぜなら採用側が最初に読むのは、担当範囲と規模感だからです。つまり必須要件に対応する経験を先頭へ置き換えるだけで、通過率は変わります。一方で職歴の記述そのものは共通で構いません。したがって書き分けの手間は、要約部分に集中させましょう。

まとめ|「難しい」を3層に分けて手を打つ

経理 転職 難しいという感覚は、母集団・要件・伝達の3層のどこかで生まれています。まず、自分がどこで止まっているかを応募数と通過率で判定してください。

背景には構造もあります。会計事務従事者の平均勤続年数は12.8年で、一般労働者の転職入職率は8.3%です。つまり席が空きにくく、欠員補充が中心になります。だから即戦力の要件が前面に出ます。

そのうえで、母集団なら条件を1つ外し、要件なら必須と歓迎を分けて読み、伝達なら規模と頻度と範囲を書き足してください。3つを混ぜて対処しないことが、遠回りを避ける近道です。

👉 あわせて読みたい:経理の仕事大全|年収・残業・資格を実数で総覧/経理転職の完全ガイド【20代・30代版】準備から内定まで全手順

📊 90秒で適正年収を無料診断 →

完全無料・面談の強要なし・想定年収レンジの目安がわかります

LINEで転職相談する

※ 相談・登録は完全無料です

📌 この記事の一次情報源

  1. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表・第5表(会計事務従事者の勤続年数・労働者数・企業規模別賃金)
  2. 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表3-2 性・就業形態、職歴別入職率(全産業が対象)
  3. 当社が2026年に扱った経理・管理部門の求人および候補者面談の記録(3層の分解と打ち手の整理は当社の見解であり、公的統計にもとづくものではありません)
まずはあなたの
市場価値を知ることから。

たった90秒であなたの可能性が
見えてきます。

年収診断をはじめる 90秒で完了 LINEで相談する 24時間以内にご返信
年収診断をはじめる LINEで相談