「経理から転職したら年収は上がるのか?」
これは転職を検討している経理担当者が最も気になる疑問の一つだ。
結論から言えば、転職者全体の約60.4%が転職後に年収アップを実現している。平均増加額は73.1万円というデータもある。
(出典:doda「転職前後の年収変動レポート 2025年9月版」)
ただし、残りの約40%は横ばいか下降というのも事実だ。年収アップを確実に狙うには、業界・企業規模・スキルの組み合わせを正しく把握したうえで動く必要がある。本記事では、公的データと転職市場のリアルをもとに、経理・財務経験者が転職で年収を上げるための実践的な考え方を解説する。
この記事でわかること
- 業界・企業規模別の経理転職後の年収相場(公的データ付き)
- 転職で年収アップする人・しない人の違い
- 年収アップを狙える転職タイミングとキャリアパスの選び方
- オファー交渉で失敗しないための実務的なポイント

経理・財務転職後の年収相場|業界・企業規模別データ

業界別の年収レンジ比較
経理・財務のポジションは業界によって年収水準が大きく異なる。同じ「経理マネジャー」でも、業界が違えば100〜200万円以上の差が生じることは珍しくない。
(出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」2025年9月公表)
- 金融業・保険業:業種平均 702万円。連結・グループ財務や規制対応スキルが高く評価される
- 情報通信業(外資系・グローバルIT含む):業種平均 660万円。US-GAAP・IFRS対応経験者は特に市場価値が高い
- 製造業(大手メーカー):業種平均 568万円。安定した昇給体系だが天井感がある
- 卸売業・小売業(商社含む):業種平均 410万円。大手総合商社は600〜900万円台も狙える
- サービス業(中堅・中小):業種平均 389万円。業務範囲は広いが年収水準は低めになりやすい
転職で年収を最大化したいなら、金融・外資・グローバルITの3業界が狙いめだ。
なお、経理職全体の平均年収は529万円で、全職種の民間平均(478万円)を約50万円上回っている。
(出典:MS-Japan「経理求人の年収調査 2025年版」)
企業規模別(中小・上場・大手)の年収差
- 大企業(従業員1,000人以上・上場プライム):経理職の平均年収が600万円超も珍しくない
- 中規模企業(従業員100〜1,000人・上場スタンダード等):年収450〜550万円程度が平均的
- 小規模企業・中小(非上場):年収400万円前後が平均的水準
- スタートアップ(IPO準備中):年収400〜650万円+ストックオプション
(出典:MS-Japan「経理求人の年収調査 2025年版」)
20〜30代の経理担当者が年収を伸ばしやすいのは「中小→上場」へのステップアップだ。
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経理転職で年収アップする人・しない人の分岐点

年収が上がるパターン
- 業界横断スキルを持っている:連結決算・管理会計・税務申告・IFRS対応など複数業務で通用するスキルを持つ人は高く評価される
- 規模を上げる転職をしている:「格上げ転職」では年収が上がりやすい。ターゲット企業を絞って動くことがポイントだ
- 希少資格を保有している:公認会計士・税理士・USCPA・簿記1級。「資格+実務経験」の組み合わせが選考で重視される
転職しても年収が横ばい・下がるケース
- 同業種・同規模への横移動:年収はほぼ現状維持か微増にとどまる
- 経験が浅い段階での早期転職:経理経験3年未満で動くと採用側に即戦力と評価されにくい
- 「とりあえず脱出」の転職:軸がないまま求人を選びがちで、年収条件の精査も甘くなる
年収アップを狙える転職タイミングとキャリアパス

転職を検討すべき年齢・タイミングの目安
経理・財務のキャリアにおいて、転職市場が最も活発なのは27〜35歳の層だ。
(出典:doda「20代の転職後年収は平均13%アップ」2025年上期調査)
- 決算・監査がひと回り終わった後:単体・連結決算を最低1サイクル経験してから動くとアピール材料が増える
- 新しいシステム・制度対応が一段落した後:ERP導入・IFRS移行などのプロジェクト経験を「完了形」で語れるタイミングが理想だ
- 現職の昇給ペースが鈍化し始めたとき:定期的にエージェントとコンタクトを持ち、市場価値を確認しておくことを推奨する
マネジャー路線 vs 専門家路線の年収比較
- マネジャー・CFO候補路線:上場企業では経理部長クラスで年収900〜1,500万円超も狙える
- 専門家(エキスパート)路線:大手企業や外資系では「スペシャリスト」として高い年収水準が維持できる
転職市場では現在、IFRSや連結対応ができる即戦力スペシャリストの需要が特に高い。
年収交渉で失敗しないための実務的ポイント
オファー交渉において、前職年収は「現在地」ではなく「最低ライン」として機能させるのが基本だ。「現在の年収は○○万円ですが、転職にあたっては○○万円以上を希望しています」と希望額を明示することが重要だ。
- ① 基本給と賞与の割合:賞与比率が高い場合は業績次第で大幅に変動する。固定給ベースでの比較が重要だ
- ② 昇給の仕組みとペース:年1回の定期昇給か評価連動かによって3〜5年後の年収は大きく変わる
- ③ 残業・手当の実態:固定残業代が含まれているか、みなし残業時間が何時間かを確認しよう
まとめ:経理転職で年収アップを実現するための3ステップ
- Step1 スキルの棚卸し:連結・管理会計・税務・IFRS対応など自分の「横展開できるスキル」を整理する
- Step2 ターゲットを絞る:業界(金融・外資・グローバルIT)と規模(上場・大手)の組み合わせで年収ポテンシャルが高い求人を優先する
- Step3 タイミングを選ぶ:決算サイクルが一巡したタイミングで、経験を「完了形」で語れる状態で動く
自分の市場価値を正確に把握することが、年収交渉の第一歩だ。経理・財務専門のキャリアアドバイザーへの無料相談を活用することで、より精度の高いキャリア設計が可能になる。まずは気軽に相談してみてほしい。
参考文献・データ出典
- doda「転職前後の年収変動レポート 2025年9月版」パーソルキャリア株式会社
- doda「20代の転職後年収は平均13%アップ」(2025年上期調査)
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)
- MS-Japan「経理求人の年収調査 2025年版」株式会社MS-Japan
※本記事の年収データは調査時点のものであり、市場環境により変動します。
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