経営企画を目指すとき、どの資格を取ればよいのか迷う方は多いはずです。そこでこの記事では、経営企画の資格が求人でどれほど求められているかをデータで確かめ、役立つ資格と経歴別の選び方を解説します。
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
経営企画に移りたいので、何か資格を取っておくべきか迷っています。どれから手をつければいいのでしょうか?
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その相談は、面談でもよく伺います。実は、経営企画の求人で資格が求められることは多くありません。そこで、まず求人のデータを見てから、役立つ資格と選び方を整理しましょう。
では、データからお願いします。
なお、数字は当社の求人データの集計をもとにしています。
経営企画に資格は必要?求人データで見る実態
まず、経営企画の求人の応募条件に、資格がどれくらい書かれているかを見てみましょう。また、比べやすいように、同じデータベースの経理・財務の求人も並べました。
| 応募条件に挙がる資格 | 経営企画(2,832件) | 経理・財務(3,116件) |
|---|---|---|
| いずれかの資格名 | 8.6% | 37.5% |
| 日商簿記 | 2.8% | 24.2% |
| 公認会計士 | 1.9% | 5.9% |
| 税理士 | 1.4% | 11.6% |
| TOEIC | 1.3% | 1.1% |
| MBA | 0.3% | 0.1% |
出典:当社が利用するエージェント向け求人データベースのうち、中途・正社員で提示年収のある求人(2026年9月20日時点)。また、応募条件の文章(必須・歓迎を含む)に資格名が書かれている求人の割合です。ただし、キーワードによる判定のため誤りを含みます。なお、公認会計士には米国公認会計士(USCPA)を含みます。
資格名を挙げる求人は8.6%にとどまる
その結果、経営企画の求人で応募条件に資格名があるものは8.6%でした。一方で、経理・財務の求人では37.5%なので、4分の1以下の水準です。
しかも、個別の資格で見ると、最も多い日商簿記でも2.8%でした。つまり、経営企画では特定の資格を持っていることが、応募の前提になることはほとんどありません。
代わりに求められるのは経験
一方で、応募条件に「経験」という言葉がある求人は92.8%でした。たとえば、予算策定や事業計画、コンサルティングなどの経験です。
このように、経営企画の選考では、資格よりも実務の経験が見られています。だからこそ、資格は経験を補い、知識を示すための材料と考えるのが現実的です。
なお、経理・財務の求人でも経験の語は94.2%で、どちらも経験が前提です。ただし、経理・財務では、経験に加えて資格を条件にする求人が多い点が違います。
経営企画に専用の資格はない
ちなみに、経営企画には、弁護士や税理士のような専用の資格はありません。そのため、どの資格が役立つかは、担う業務や今の経歴によって変わります。そこで次の章からは、資格が役立つ場面と、具体的な資格を順に見ていきます。
でも、資格を持っていたほうが、書類選考では有利になりますよね?
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たしかに、たとえばUSCPAのような資格は、知識の目安として分かりやすいです。ただ、面談でも「あればいい」くらいの位置づけだとお伝えしています。
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というのも、選考で見られるのは、その知識を使って何をしてきたかだからです。そのため、資格は経験を補う材料として考えるのがおすすめですよ。
資格だけで決まるわけではないんですね。
それでも経営企画で資格が役立つ3つの場面
とはいえ、資格がまったく意味を持たないわけではありません。むしろ、次の3つの場面では、資格が確かな後押しになります。
①未経験から知識を示したいとき
まず一つ目は、経営企画の経験がない状態で応募するときです。というのも、経験で示せない分を、体系的に学んだ証明で補えるからです。
特に、経理以外の出身者が会計の資格を持っていると、数字の話についていける人だと伝わります。その結果、書類選考で話を聞いてもらえる可能性が高まります。
とはいえ、資格は書類選考の通過を保証するものではありません。そのため、資格と合わせて、なぜ経営企画を目指すのかを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
②会計や財務の土台を固めたいとき
次に二つ目は、会計や財務の基礎を固めたいときです。なぜなら、経営企画では予算や決算の数字を毎日のように扱うからです。
実際、会計の資格の勉強を通じて決算書の仕組みを理解しておくと、入社後の立ち上がりが早くなります。つまり、資格そのものより、学ぶ過程に価値があるといえます。
③専門性の高い業務を担いたいとき
そして三つ目は、M&Aや資金調達など、専門性の高い業務を担いたいときです。たとえば、公認会計士の資格名を挙げる求人では、提示年収の中央値が1,050万円でした。
ただし、これは資格だけで年収が上がるという意味ではありません。むしろ、高度な業務を任される求人ほど、専門の知識を前提にしていると読むのが自然です。なお、公認会計士を挙げる54件のうち、必須欄に書いていると確認できたものは7件でした。つまり、多くは歓迎条件として書かれています。
出典:表1と同じ求人データのうち、応募条件に公認会計士(USCPAを含む)の記載がある54件。なお、提示年収は下限と上限の中間値です。
経営企画に役立つ資格|会計と財務の3つ
では、具体的にどの資格が経営企画に役立つのでしょうか。ここでは、求人データと業務とのつながりから7つの資格を選び、まず会計と財務の3つを紹介します。なお、資格ごとの合格率や勉強時間は、経理の資格記事で詳しく比べています。
👉 あわせて読みたい:経理におすすめの資格ランキング|合格率の実数で比較【2026】
①日商簿記2級:会計の共通言語を身につける
まず、最初に検討したいのが日商簿記2級です。実際、経営企画の求人で最も多く挙がる資格は簿記でした。
しかも、2級の範囲まで学べば、決算書の数字がどこから来ているかを説明できるようになります。そのため、特に営業や事業部の出身者にとっては、経営企画への入口として最も効果的な資格です。
👉 あわせて読みたい:簿記2級は独学で受かる?合格率15.1%と32.9%の差【2026】
②公認会計士・USCPA:財務の専門性を示す
次に、公認会計士やUSCPA(米国公認会計士)は、財務の専門性を示す資格です。また、M&Aや上場準備、海外子会社の管理など、高度な業務で強みになります。
ただし、取得には長い学習時間がかかります。そのため、経営企画のためだけに目指すより、財務の専門家としてのキャリアを考える方に向いています。
👉 あわせて読みたい:USCPA取得後の経理転職|外資・Big4・事業会社への転職戦略
③ビジネス会計検定:決算書を読む力を確かめる
さらに、ビジネス会計検定は、決算書を読み解く力を問う検定です。つまり、簿記が帳簿をつける側の知識なら、こちらは数字を読んで分析する側の知識といえます。
なお、求人の応募条件では見られませんでした。とはいえ、短い学習時間で財務分析の基礎を確認できるため、学習の入口として使えます。
経営企画に役立つ資格|経営と専門分野の4つ
続いて、経営の視点や専門分野の知識を身につける資格です。こちらは、経営企画の中でも担いたい業務に合わせて選ぶとよいでしょう。
④MBA:経営の判断を体系的に学ぶ
まず、MBA(経営学修士)は資格ではなく学位ですが、経営戦略や財務、組織を体系的に学べます。そのため、中期経営計画や事業の組み合わせを考える仕事に結びつきやすいのが特徴です。
また、MBAには通学とオンライン、全日制と働きながら学ぶ形があります。そのため、経営企画を目指すなら、仕事を続けながら学び、学んだことを今の業務で試せる形が向いています。
ところで、MBAは経営企画に役立ちますか?費用も時間もかかるので迷っています。
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たとえば、面談でお会いした経理の方は、事業の撤退に関わったことをきっかけに、経営の判断を学ぶためにMBAに進んだと話していました。つまり、実務で必要を感じてから学ぶと、学びが仕事に結びつきやすいんです。
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ちなみに、私もオンラインでMBAを学びました。ただし、求人でMBAを挙げるものは0.3%しかありません。そのため、転職のためだけに取るものではないと考えています。
目的をはっきりさせてから選ぶんですね。
⑤中小企業診断士:経営の全体像をつかむ
また、中小企業診断士は、経営コンサルタントの国家資格です。財務だけでなく、戦略や組織、生産管理まで幅広く学ぶため、会社全体を見渡す視点が身につきます。
ただし、求人で診断士を挙げるものは0.2%でした。したがって、転職の条件というより、経営の全体像を学ぶ手段として考えましょう。
⑥証券アナリスト:企業価値の見方を学ぶ
次に、証券アナリストは、企業価値の評価や財務分析を学べる資格です。特に、M&AやIRなど、投資家の目線で会社を見る業務で役立ちます。
ただし、求人で証券アナリストを挙げるものは0.1%でした。そのため、IRや投資の領域に進みたい方が、専門を深める手段として検討するとよいでしょう。
⑦TOEIC:外資系や海外展開の多い会社を目指すなら
最後に、TOEICです。実は、経営企画の求人でTOEICを挙げる割合は1.3%で、経理・財務の1.1%とほぼ同じでした。
そのため、外資系や海外展開の多い会社を目指す場合を除けば、優先度は高くありません。ただし、海外子会社の管理を担う求人では、英語力が条件になることもあります。
経歴別に見る経営企画の資格の選び方
このように、ここまで7つの資格を紹介しました。とはいえ、すべてを取る必要はありません。そこで、今の経歴ごとに、優先したい資格を整理します。なお、迷ったときは、今の自分に足りないのが会計の知識か、経営の視点かを先に考えると選びやすくなります。
経理・財務の出身なら経営の視点を足す
まず、経理・財務の出身者は、すでに会計の土台があります。そのため、簿記をさらに上の級まで取るより、MBAや中小企業診断士で経営の視点を足すほうが、経営企画との差を埋めやすくなります。なお、簿記1級や税理士を目指す場合は、経営企画より経理の専門職としての価値が高まる点も知っておきましょう。
👉 あわせて読みたい:経理から経営企画へ|評価される経験と、移るまでの現実的なルート
営業・事業部の出身なら会計の土台を固める
次に、営業や事業部の出身者は、事業の現場を知っていることが強みです。一方で、会計の知識が足りないと、予算や決算の話で苦労しがちです。そこで、まずは日商簿記2級で会計の土台を固めましょう。加えて、余裕があればビジネス会計検定で決算書を読む力も確認しておくと、数字の会話に自信が持てます。
20代なら簿記と基礎の学習から始める
さらに、20代の方は、経験の量より学ぶ姿勢が見られやすい時期です。したがって、簿記2級やビジネス会計検定など、短い期間で取れる資格から始めるのが現実的です。また、資格の学習と並行して予算づくりに関わっておくと、30代の転職で経験として語れるようになります。
管理職を目指すなら資格より実績を優先する
一方で、管理職の求人を狙う段階では、資格の優先度はさらに下がります。というのも、管理職の求人では、マネジメントや事業計画の実績がより強く求められるからです。
実際、当社の集計では、提示年収の中間値が1,000万円以上の求人の36.2%がマネジメントの経験を挙げていました。そのため、資格の勉強に時間をかけるより、チームをまとめた経験や計画を動かした実績を積むほうが近道です。
👉 あわせて読みたい:経営企画への転職は難しい?未経験から入れる3つの入口
資格より先に積みたい経営企画の経験
最後に、資格と並行して積んでおきたい経験を紹介します。なぜなら、先ほどのとおり、経営企画の求人の92.8%は応募条件に経験を挙げているからです。
予算や事業計画に関わる
まず、今の会社で予算づくりや事業計画に関わる機会を取りにいきましょう。たとえば、部門の予算の取りまとめを引き受けるだけでも、経営企画に近い経験になります。また、事業部と数字の話をする機会を増やすことも大切です。なぜなら、経営企画では、数字をもとに他部署を動かす調整の力が求められるからです。
学んだ知識を実務で使った例をつくる
次に、資格で学んだ知識を、実際の仕事で使った例をつくることが大切です。というのも、面接では「資格を取った」より「その知識で何をしたか」が問われるからです。
たとえば、簿記の知識を使って、部門の損益を分析して改善を提案した経験があれば、資格と経験の両方を語れます。
さらに、職務経歴書では、資格を最後の欄に並べるだけで終わらせないことが大切です。たとえば「簿記2級を取得し、その知識で部門の損益を分析した」のように、資格と経験をつなげて書きましょう。そうすれば、資格が実務で生きていることが伝わります。
自分の市場価値を確かめる
そして、資格と経験のどちらを先に伸ばすべきかは、今の経歴によって変わります。そのため、まずは自分の経験が経営企画の求人でどう評価されるかを確かめておきましょう。
資格より経験が大事なのは分かりました。そこで、今の経験だと経営企画でどのくらいの年収になるのかを知りたいです。
LXキャリア
たとえば経営企画の年収診断なら、担当業務や役職から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、資格と経験のどちらを先に伸ばすかを一緒に整理しましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
まとめ:経営企画の資格は経験を補う材料として選ぶ
このように、この記事では経営企画の資格について、求人データをもとに必要性と選び方を整理しました。では、要点を振り返ります。
- まず、経営企画の求人で応募条件に資格名があるものは8.6%で、経理・財務の37.5%より少ない
- また、応募条件の92.8%は経験を挙げており、資格より実務が重視される
- さらに、資格は未経験からの応募や、会計の土台づくりで役立つ
- そして、経理出身なら経営の視点を、営業出身なら会計の土台を足す資格を選ぶ
👉 あわせて読みたい:経営企画への転職 完全ガイド|仕事内容・年収・向き不向き・入り方を総まとめ
📌 この記事の一次情報源
- 当社が利用するエージェント向け求人データベースの「経営企画・経営戦略」求人2,832件と「経理・財務」求人3,116件の応募条件の集計(2026年9月20日時点、中途・正社員・提示年収ありに限定)
- 当社が2026年に行った求職者の方との面談の記録(個人が特定されないよう、職種以外は伏せて再構成)
