実は、経営企画への転職は難しいと聞いて、挑戦をためらっている方は多いはずです。そこでこの記事では、難しいと言われる理由を求人データで確かめたうえで、未経験から入れる3つの入口と準備を解説します。
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
実は経営企画に興味があるのですが、経験者でないと転職は難しいと聞いて、迷っています。
LXキャリア
その不安は、面談でもよく伺います。たしかに簡単ではありませんが、求人データを見ると、入口は一つではないんです。まずは、なぜ難しいと言われるのかを整理しましょう。
では、ぜひお願いします。
なお、数字はすべて当社の求人データの集計をもとにしています。
経営企画への転職は難しいと言われる3つの理由
まず、なぜ経営企画への転職は難しいと言われるのでしょうか。そこで、主な理由を3つに分けて見ていきます。
①経験者やコンサル出身者と競う
一つ目は、応募のライバルが強いことです。そこで、経営企画の求人が応募条件でどんな経験を挙げているかを数えました。
| 応募条件に挙がる経験 | 割合 |
|---|---|
| コンサルティング | 27.3% |
| 営業・営業企画 | 25.9% |
| 経営企画 | 19.8% |
| 事業企画 | 15.4% |
| 経理・財務 | 14.0% |
| M&A | 7.7% |
出典:当社が利用するエージェント向け求人データベースのうち、中途・正社員で提示年収のある求人(2026年9月20日時点)。また、「経営企画・経営戦略」求人2,832件の応募条件の文章(必須・歓迎を含む)に含まれる語で分類しました。ただし、キーワード判定のため誤りを含みます。
その結果、最も多かったのはコンサルティングの経験で27.3%でした。また、経営企画そのものの経験を挙げる求人も19.8%あります。
つまり、経験者やコンサル出身者と同じ土俵で比べられやすいのです。そのため、何の準備もなく応募すると、書類で見送られることが増えます。
ただ、コンサル出身の人と比べられたら、勝ち目がない気がします。
LXキャリア
たしかにコンサルの経験を挙げる求人は多いです。一方で、事業会社での経験を挙げる求人も25.4%あります。つまり、現場の数字や社内の動き方を知っていることも、立派な武器なんですよ。
つまり、比べられる軸は一つではないんですね。
②会社ごとに仕事の中身が違う
二つ目は、経営企画の仕事内容が会社によって大きく違うことです。たとえば、予算管理が中心の会社もあれば、新規事業やM&Aが中心の会社もあります。
そのため、求める人物像が求人ごとに絞り込まれます。言い換えると、自分の経験と合う求人を見つけられるかどうかで、難しさが大きく変わるのです。
たとえば同じ経営企画でも、上場企業では開示やIRの比重が高く、スタートアップでは資金調達や事業計画づくりが中心になります。つまり、会社の段階によって、評価される経験そのものが変わるのです。
👉 あわせて読みたい:経営企画の仕事内容|経営企画部・経営企画室で実際にやること
③1社あたりの枠が少ない
三つ目は、1社あたりの採用人数が少ないことです。というのも、経営企画は少人数の部署であることが多く、欠員や新設のときにしか募集が出ないからです。
しかも、社内の異動で埋まることもあります。したがって、タイミングが合わないと、希望の会社に応募できないこともあるのです。つまり、こうした事情も、経営企画への転職が難しいと感じられる理由の一つです。
また、経営に近いポジションは、社外に知られずに採用を進めたい会社も少なくありません。そのため、公開されている求人だけを見ていると、選択肢を狭めてしまうことがあります。
求人データで見る経営企画への転職の実態
では、本当に経営企画への転職は難しいのでしょうか。ここでは、求人の数、未経験の扱い、役職の3つから実態を見てみます。
求人の数は経理と大きく変わらない
まず、管理部門の職種ごとに求人の数を比べました。
| 職種 | 求人数 |
|---|---|
| 人事 | 5,622件 |
| 情シス | 3,215件 |
| 経理・財務 | 3,116件 |
| 経営企画 | 2,832件 |
| 法務 | 1,374件 |
出典:当社が利用するエージェント向け求人データベースのうち、中途・正社員で提示年収のある求人(2026年9月20日時点)。なお、職種の区分はデータベースの分類によります。
その結果、経営企画の求人は2,832件で、経理・財務の3,116件と大きくは変わりませんでした。つまり、求人が極端に少ないから経営企画への転職が難しい、というわけではありません。
ちなみに、人事の求人は5,622件と多く、法務は1,374件と少なめでした。このように、管理部門の中で見ると、経営企画は中くらいの規模の職種といえます。
むしろ、難しさの正体は、求められる経験の重さにあります。だからこそ、自分の経験をどの求人に合わせるかが大切になるのです。
未経験を歓迎する求人は約1割
次に、未経験可や未経験歓迎などの言い回しがある求人を数えると、268件で全体の9.5%でした。たしかに多くはありませんが、10件に1件は未経験からの応募を前提にしています。
さらに、応募条件にコンサルや経営企画などの6つの経験のどれも挙げない求人が38.1%ありました。もちろん、何も求めないわけではなく、論理的思考や調整力などの素養を重視していると考えられます。
そのため、未経験から挑戦する場合は、こうした素養を応募書類や面接で示せるかが鍵になります。
メンバー層の募集なら入口が広がる
最後に、募集する役職ごとに比べました。
| 募集する役職 | 件数 | 未経験歓迎などの言い回し | 経営企画の経験を挙げる |
|---|---|---|---|
| メンバー | 1,688件 | 12.9% | 18.8% |
| 管理職 | 840件 | 4.0% | 17.3% |
| 役員・CxO | 304件 | 5.3% | 32.9% |
出典:表1と同じ求人データ。なお、役員・CxOを含む求人は役員に、部長・課長などを含む求人は管理職に、それ以外をメンバーに数えています。
まず、経営企画の求人の59.6%はメンバー層の募集でした。しかも、メンバー層では未経験歓迎などの言い回しが12.9%あり、管理職の4.0%より多くなります。
一方で役員・CxOの募集では、経営企画の経験を挙げる求人が32.9%に上がります。つまり、未経験から狙うなら、メンバー層の求人が現実的な入口です。
経営企画に未経験から入れる3つの入口
では、経営企画への転職は難しいと感じている方に向けて、未経験から入るための入口を3つ紹介します。まずは、自分の今の経験に近いものから検討してみてください。
入口①近い職種の経験を生かす
一つ目は、経営企画に近い職種の経験を生かす方法です。たとえば、経理・財務、営業企画、事業企画、コンサルなどは、応募条件にもよく挙がります。
特に経理・財務の経験は、予算や予実管理の仕事でそのまま生きます。また、営業企画や事業企画の経験は、新規事業やKPI管理の仕事に近いといえます。
一方で、コンサル出身者は、課題を整理して資料にまとめる力が評価されます。さらに、営業出身者は、顧客や現場の数字の感覚が強みになります。このように、どの職種にも経営企画とつながる経験はあります。
今は経理なのですが、どこから経営企画に近づけばいいでしょうか?
LXキャリア
面談でお会いした経理の方は、経理だけでなく、ファイナンスや経営企画も含めて数字の領域全般を見られるようになりたいと話していました。実は、今の仕事から少しずつ経営企画の業務に染み出している方は少なくありません。
LXキャリア
つまり、いきなり職種を変えるより、今の仕事の延長で経営企画の業務を増やすほうが近道になることもあるんです。
では、今の仕事の中にも入口があるんですね。
👉 あわせて読みたい:経理から経営企画へ|評価される経験と、移るまでの現実的なルート
入口②未経験可のメンバー求人を狙う
二つ目は、未経験可のメンバー求人に応募する方法です。先ほどのとおり、メンバー層では未経験歓迎などの言い回しが12.9%ありました。
こうした求人では、経験よりも素養が見られます。たとえば、数字を使って説明する力や、立場の違う人と調整する力です。そこで、今の仕事でそうした場面をどう乗り越えたかを、具体的に話せるようにしておきましょう。
また、面接では、なぜ経営企画なのかを必ず聞かれます。そこで、今の仕事で感じた課題と、経営企画でそれをどう解きたいかをつなげて話せるようにしておくと安心です。
👉 あわせて読みたい:経営企画に向いてる人の6つの特徴|10問のセルフチェック
入口③今の会社で経営企画に近づく
三つ目は、転職の前に、今の会社で経営企画の仕事に関わる方法です。たとえば、予算の取りまとめを手伝ったり、経営会議の資料づくりに加わったりします。
また、社内公募や異動の制度がある会社なら、まず強みのある職種で転職し、入社後に経営企画へ移る道もあります。
しかも、こうした社内での経験は、職務経歴書にそのまま書けます。つまり、小さな実績でも、次の転職で経営企画に近い経験として評価されるのです。
未経験で応募すると、年収が下がるのも心配です。
LXキャリア
たしかに、そこは大切な点です。たとえば面談では、未経験の職種に直接移ると年収が下がる場合があるので、まず強みのある職種で入社し、社内公募や異動で移る道を一緒に考えることがあります。
LXキャリア
このように、経営企画も、入社してから近づくという順番で考えると、選べる会社がぐっと増えますよ。
では、遠回りに見えても、条件を落とさずに済むんですね。
👉 あわせて読みたい:経営企画の年収相場|1,000万円に届く人と届かない人の違い
新卒や20代から経営企画を目指すには
次に、新卒や20代で経営企画を目指す場合の考え方です。というのも、若いうちは、経験の量よりも、何を積み上げてきたかが見られます。
新卒で配属されるのは限られる
まず、新卒でいきなり経営企画に配属されるケースは多くありません。というのも、経営企画では事業や会計の知識が前提になるからです。
そのため、まずは営業、経理、事業部の企画などで経験を積むのが一般的です。むしろ、現場を知っていることが、のちに経営企画で強みになります。
そこで、入社後の早い段階で、簿記や表計算の基礎を身につけておきましょう。そうすれば、のちに経営企画を目指すときの選択肢が広がります。
20代は経験の中身を言葉にする
一方で、20代の転職では、メンバー層の求人に応募できる余地があります。ただし、ここでも「何をしてきたか」を具体的に説明できるかが問われます。
たとえば、担当した数字の規模や、関わった会議の種類を整理しておくと、経営企画の仕事との接点を示しやすくなります。
さらに、20代のうちに一度でも予算づくりや事業計画づくりに関わっておくと、30代での転職でも経験として語れるようになります。
経営企画への転職を難しくしないための準備
最後に、経営企画への転職を少しでも進めやすくするための準備を紹介します。しかも、いずれも今の仕事をしながら取り組めるものです。
経験を経営企画の業務の言葉で書き直す
まず、職務経歴書の書き方を見直しましょう。たとえば「月次決算を担当」ではなく、「予実の差を分析し、部長会で説明」と書くと、経営企画の仕事との接点が伝わります。
また、数字の規模や関わった人数も添えると、仕事の大きさが伝わりやすくなります。たとえば、何億円の予算を、何部門分取りまとめたかを書くだけでも印象は変わります。
会計と表計算の基礎を固める
次に、会計と表計算の基礎です。特に経理以外の出身者は、決算書を読み、利益の仕組みを説明できるようにしておくと安心です。
たとえば日商簿記2級の範囲まで学ぶと、決算書の数字がどこから来ているかを説明できるようになります。また、表計算で関数やピボットを使って集計できると、入社後の立ち上がりも早くなります。
👉 あわせて読みたい:経営企画に資格は必要?求人データで見る役立つ資格7つと選び方
第三者に経歴を見てもらう
また、一人で求人を探すと、自分の経験に合う型を見落としがちです。そこで、管理部門に詳しい人に経歴を見てもらうと、自分では気づかない入口が見つかることもあります。
たとえば、経理の経験は、予実管理が中心の求人では即戦力に近いと見られることがあります。このように、同じ経験でも、どの求人に合わせるかで評価は変わるのです。
応募先の経営企画の型を見極める
さらに、応募先が守りの型か攻めの型かを見極めます。具体的には、仕事内容に予算や予実が多いのか、新規事業やM&Aが多いのかを確かめましょう。
たとえば、予算や予実が中心の求人では、数字を締めてきた経験が評価されます。一方で、新規事業やM&Aが中心の求人では、事業を立ち上げた経験や、社外と交渉した経験が見られやすくなります。
そして、自分の経験に近い型の求人から応募すれば、書類で見送られる確率を下げられます。つまり、経営企画への転職は、難しいかどうかより、どこから入るかで結果が変わるのです。だからこそ、まずは自分の経験がどう評価されるかを知ることが大切です。
入口は分かってきました。そこで、今の経験だと経営企画でどのくらいの年収になるのかも知りたいです。
LXキャリア
たとえば経営企画の年収診断なら、担当業務や役職から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、どの入口が合うかを一緒に整理しましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
👉 あわせて読みたい:経営企画への転職 完全ガイド|仕事内容・年収・向き不向き・入り方を総まとめ
まとめ:経営企画への転職は難しいが、入口を選べば道はある
このように、この記事では経営企画への転職が難しいと言われる理由と、未経験からの入口を整理しました。では、要点をまとめます。
- まず、難しさの正体は求人の数ではなく、求められる経験の重さ
- また、応募条件で多いのはコンサル(27.3%)や経営企画(19.8%)の経験
- さらに、未経験歓迎などの言い回しは9.5%で、メンバー層では12.9%
- そして、入口は近い職種の経験・未経験可のメンバー求人・今の会社で近づくの3つ
- つまり、自分の経験に近い型の求人を選ぶことが、難しさを下げる近道
📌 この記事の一次情報源
- 当社が利用するエージェント向け求人データベースの「経営企画・経営戦略」求人2,832件と、他の管理部門の職種の求人の集計(2026年9月20日時点、中途・正社員・提示年収ありに限定)
- 当社が2026年に行った求職者の方との面談の記録(個人が特定されないよう、職種以外は伏せて再構成)
- 執筆者が前職で経理財務の責任者として経営企画の業務を担当した経験
