この記事でわかること
・経理 転職 20代は、前半と後半で戦い方が変わること
・25歳を境に、企業規模による年収差が45万円から112万円へ2.5倍に開くという実数
・転職で賃金が下がる人の割合も、20代後半で1.7倍になること
・20代前半は範囲を広げ、20代後半は規模と範囲を選びにいく
※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。
20代のうちに動いたほうがいい、とよく聞くのですが、本当でしょうか。
LXキャリア
そのご質問は、面談でもよくうかがいます。ただ、「20代」とひとくくりにすると判断を誤りやすいんです。実際には前半と後半で、市場での扱われ方が変わるんですよ。
そこで本記事では、まず境目を実数で示します。次に、前半と後半それぞれの戦い方を整理します。そのうえで、20代のうちに決めなくてよいことにも触れます。
【実数】25歳を境に、条件が変わる
まず全体像です。そこで厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」から、20代の位置づけが読み取れます。
| 年齢階級 | 労働者数 | 年収換算 | 勤続年数 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 34,850人 | 353万円 | 1.9年 |
| 25〜29歳 | 46,460人 | 424万円 | 4.4年 |
| 30〜34歳 | 48,270人 | 484万円 | 6.7年 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表「会計事務従事者」。企業規模計・男女計。年収換算は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で当社が算出。
20代の合計は81,310人で、会計事務従事者466,030人の17.4%にあたります。つまり、そもそも若手が少ない職種です。
企業規模による差が2.5倍に開く
ここからが本題です。実は同じ表を企業規模別に見ると、20代の前半と後半でまったく景色が違います。
| 年齢階級 | 1,000人以上 | 100〜999人 | 10〜99人 | 最大差 |
|---|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 370万円 | 351万円 | 325万円 | 45万円 |
| 25〜29歳 | 482万円 | 420万円 | 370万円 | 112万円 |
| 30〜34歳 | 564万円 | 486万円 | 416万円 | 148万円 |
出典:同上(職種第5表・企業規模別)。年収換算は当社が算出。
まず20代前半では45万円しかない差が、20代後半では112万円になります。つまり約2.5倍です。しかも30代前半では148万円まで広がります。
つまり25歳前後を境に、どの規模の会社にいるかが年収を左右し始めます。ここが20代の前半と後半を分ける最初の理由です。
転職で下がる人の割合も1.7倍になる
さらに、別の調査からも境目が確認できます。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」の賃金変動データです。
| 年齢階級 | 増加 | 変わらない | 減少 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 50.5% | 31.5% | 16.8% |
| 25〜29歳 | 46.3% | 23.1% | 29.2% |
| 全年齢計 | 40.5% | 28.4% | 29.4% |
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表6 転職入職者の賃金変動状況別割合。全産業の転職入職者が対象で、経理職に限定した数値ではありません。
まず賃金が減少した人の割合は、20〜24歳の16.8%に対し25〜29歳では29.2%です。約1.7倍に増えています。しかも25〜29歳の水準は、全年齢計の29.4%とほぼ同じです。
したがって20代後半になると、若さだけで有利になる局面は終わります。ここからは選び方の問題になります。
20代前半:範囲を広げることを優先する
まず20代前半です。この時期は規模による年収差が45万円しかありません。だから会社の大きさで選ぶ意味は小さくなります。
そこで優先すべきは、任される範囲です。前掲のとおり20〜24歳の平均勤続年数は1.9年で、まだ担当が定まっていない段階にあたります。
| この時期にやること | 理由 |
|---|---|
| 月次決算を一通り触る | 次の転職で最初に確認される範囲だから |
| 年次決算に一度でも関わる | 補助でも「関与した」と書けるようになる |
| 日商簿記2級を取る | 応募できる求人の数が変わる |
| 担当した規模を記録する | 売上高や従業員数は後から思い出しにくい |
まだ入社2年目で、伝票入力と経費精算ばかりです。このままで大丈夫でしょうか。
LXキャリア
焦らなくて大丈夫ですよ。ただ、次の転職で最初に確認されるのは月次決算の範囲なんです。だから、配属の希望を出す機会があれば、決算に関われる部署を選んでおくと選択肢が広がります。
いまのうちに、任される範囲を広げておくんですね。
👉 あわせて読みたい:第二新卒の経理転職|20代前半は50.5%が年収増という実数/月次決算のスケジュールと進め方【早期化7つのコツ】
20代後半:規模と担当範囲を選びにいく
ところが25歳を過ぎると、状況が変わります。規模による差が112万円に開き、転職で下がる人の割合も29.2%まで上がるためです。
そこで、この時期に意識したいのは次の3点です。
1. 規模を上げるなら20代後半が動きやすい
まず、大手企業の経理は実務経験3年前後の若手を採る枠を持つことがあります。一方、30代半ば以降は即戦力の要件が厳しくなります。したがって規模を上げる意図があるなら、20代後半が現実的な時期です。
2. 下がるリスクを踏まえて条件を確認する
次に、減少が29.2%という数字は無視できません。だから提示額の内訳、とくに固定残業代と賞与の算定基礎を確認してください。同じ提示額でも、実際の手取りは変わります。
👉 あわせて読みたい:経理転職で後悔しない5つのチェック|労基法15条から逆算する/経理転職の年収交渉を成功させる5ステップ
3. 「何ができるか」を工程で語れるようにする
そして20代前半はポテンシャルで通ります。しかし後半になると、担当範囲を工程単位で説明できるかが問われます。月次のどこまで、年次のどこまでを一人で完結したのか。ここが曖昧だと、深掘りで崩れます。
では、20代後半で規模の大きい会社に移るなら、何を準備すればいいですか。
LXキャリア
担当範囲を工程で話せるようにしておくことです。たとえば月次のどこまで、年次のどこまでを一人で完結したのかを書き出してみてください。つまり20代後半は、ポテンシャルではなく何ができるかで見られるんです。
工程で話せるかどうかが、分かれ目なんですね。
👉 あわせて読みたい:経理の職務経歴書 書き方|通過率を上げる5つのコア要素と例文/経理の面接で聞かれる10の質問|模擬面接の実例つき
20代のうちに届いておきたい実務の到達点
年収や規模の話が続いたので、実務の側からも整理します。20代の終わりまでに、どこまで触れておけばよいのでしょうか。
| 領域 | 20代前半の目安 | 20代後半の目安 |
|---|---|---|
| 月次決算 | 担当科目を任される | 締めから試算表まで一人で完結できる |
| 年次決算 | 補助として資料を作る | 担当科目の決算整理を任される |
| 税務 | 税理士へ渡す資料を作る | 申告の内容を読んで確認できる |
| 監査対応 | 依頼された資料を用意する | 質問に自分の言葉で答えられる |
| システム | 日常の操作に慣れる | 運用の課題を挙げられる |
当社が求人と面談を通じて把握している目安です。公的統計にもとづくものではありません。
すべてを埋める必要はありません。むしろ空欄が2つ以内なら、20代後半の転職では十分に戦えます。
ただし、月次決算の行が空いている場合は注意が必要です。ここは経験者枠の応募要件として最も多く登場する範囲だからです。したがって、まずここを埋めることを優先してください。
20代が応募できる求人の3タイプ
応募先を探すとき、求人は大きく3タイプに分かれます。どれを狙うかで、準備すべきものが変わります。
| タイプ | 要件 | 向いている時期 |
|---|---|---|
| ポテンシャル採用 | 実務経験は問わない。簿記や意欲を見る | 20代前半 |
| 経験者枠(若手) | 月次決算の経験2〜3年以上 | 20代半ば以降 |
| 経験者枠(即戦力) | 年次決算まで一人で完結。連結や税務を含むことも | 20代後半以降 |
境目になるのは「月次決算をどこまで担当したか」です。ここが2〜3年に届くと、応募できる求人の数が一段増えます。
反対に、伝票入力と経費精算だけの状態が続くと、20代後半でもポテンシャル採用の枠にとどまります。しかもその枠は、年齢が上がるほど減っていきます。
したがって20代の戦略は、突き詰めると1つです。月次決算の担当範囲を、早い段階で広げることです。
20代の転職回数はどう見られるか
相談で必ず出るのが、転職回数の話です。ここも実数から考えると落ち着いて判断できます。
会計事務従事者の平均勤続年数は、20〜24歳で1.9年、25〜29歳で4.4年です。つまり20代のうちに1回動いている方は珍しくありません。むしろ平均像に近いといえます。
一方で、20代で3回以上になると説明が必要になります。ただし問われるのは回数そのものではありません。各社で担当範囲が広がってきたかどうかです。
そこで職務経歴書では、社ごとに「何を任されたか」を工程で書いてください。同じ範囲を繰り返しているように見えると、回数が少なくても評価は上がりません。
👉 あわせて読みたい:経理の退職理由|面接で好印象に変えるネガポジ変換例文7パターン
20代が失敗しやすい3つのパターン
| パターン | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 年収だけで選ぶ | 担当範囲が狭まり、30代で伸びなくなる | 任される工程を先に確認する |
| 大手だけを受ける | 応募数が積み上がらず、活動が長引く | 100〜999人の企業も母集団に入れる |
| 年次決算を経験しないまま動く | 経験者枠の要件を満たさない | 1期分でも関与してから動く |
なお3つ目は時期の問題です。決算に関わってから動くほうが、書ける内容が増えます。ただし待ちすぎる必要もありません。1期でも関与していれば、その範囲を正確に書けば通ります。
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20代で見るべき求人の条件
実際に応募先を選ぶ段階では、次の3点を確認してください。いずれも求人票からは読み取りにくい項目です。
条件1:経理部門の人数
人数が少ないほど、一人が担当する工程は広がります。だから範囲を広げたい20代前半には、少人数の体制が向きます。反対に大人数の部門では、担当が細かく分かれます。
ただし少人数には別のリスクもあります。教える人がいない場合、自己流のまま数年が過ぎることがあるためです。したがって、上に経験者がいるかも合わせて確認してください。
条件2:年次決算を内製しているか
決算業務を会計事務所に外注している会社では、年次決算の経験が積めません。しかも申告まで任せている場合、税務にも触れられません。つまり20代のうちに埋めたい範囲が空いたままになります。
条件3:数年後に任される範囲
入社時の担当だけでなく、その先も聞いてください。「3年後にはどこまで任せる想定か」という質問であれば、面接でも自然に確認できます。
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20代のうちに決めなくてよいこと
最後に、急がなくてよい論点も挙げておきます。すなわちキャリアの路線です。
マネジメントに進むのか、専門を深めるのか。この選択が迫られるのは30代後半から40代前半です。会計事務従事者の年収は35〜39歳から40〜44歳で伸びが止まるため、その手前が分岐点になります。
つまり20代のうちは、どちらにも進める状態を保っておくほうが有利です。むしろ焦って専門を絞ると、選択肢を先に狭めることになります。
👉 あわせて読みたい:経理のキャリアパス|担当者と管理職の差は455万円
それなら、いまの担当範囲で年収がどのくらいになるのか知りたいです。
LXキャリア
たとえば経理の年収診断なら、担当範囲と保有資格から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、前半と後半のどちらの戦い方が合うかを一緒に整理しましょう。
まずは自分の現在地を確かめてみます。
20代の経理転職に関するよくある質問
Q1. 経理2年目で動くのは早すぎますか
早すぎるとは限りません。20〜24歳の平均勤続年数は1.9年であり、この年代では珍しくない動きです。ただし年次決算に関わっていない場合、経験者枠での応募は難しくなります。
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Q2. 20代で資格を取るなら何がよいですか
日商簿記2級が土台になります。上位資格に進むかどうかは、狙うポジションが決まってからで構いません。
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Q3. 未経験から20代で経理に入れますか
可能です。会計事務従事者に占める20代は17.4%と少なく、若手を採りたい企業側の動機があります。ただし入口は転記中心の業務になりやすいため、決算に触れられる環境かを確認してください。
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Q4. 中小から大手へ移るのは20代が最後ですか
最後ではありません。ただし30代半ば以降は即戦力の要件が厳しくなります。したがって規模を上げる意図が明確なら、20代後半のほうが動きやすいといえます。
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Q5. 第二新卒として応募できるのは何年目までですか
卒業から3年以内を目安とする求人が多くあります。まず第二新卒には法律上の定義がありません。つまり線引きは企業ごとに異なります。したがって年数で自分から外すより、求人票の応募要件を読んで判断してください。なお経理では、決算に関わった経験があれば経験者枠で見られることもあります。
Q6. 20代で年収が下がる転職は避けるべきですか
一律に避ける必要はありません。まず担当範囲が広がる転職なら、数年後に取り戻せる場合があります。ただし下がる理由が説明できないなら、条件を見直すべきです。つまり「何を得るために下げるのか」を言葉にできるかが判断軸になります。したがって下げ幅と、任される工程を並べて比べてください。
まとめ|境目は25歳前後にある
経理 転職 20代を考えるとき、前半と後半を分けてください。境目はおおむね25歳前後です。
20代前半は、企業規模による年収差が45万円しかありません。だから範囲を広げることを優先します。一方20代後半は差が112万円に開き、転職で下がる人の割合も29.2%まで上がります。つまり選び方の問題になります。
そして路線を決めるのは30代後半で構いません。まずは年次決算に関与した範囲を、工程単位で書き出すところから始めてください。
👉 あわせて読みたい:何歳まで経理転職はできる?年齢別の転職成功率と攻略法/経理転職の完全ガイド【20代・30代版】準備から内定まで全手順
📌 この記事の一次情報源
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表(会計事務従事者の年齢階級別・企業規模別の賃金、勤続年数、労働者数)
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」表6 転職入職者の賃金変動状況別割合(全産業が対象)
- 総務省「日本標準職業分類」中分類26 会計事務従事者(区分に含まれる職業の範囲)
- 当社が2026年に扱った経理・管理部門の求人および候補者面談の記録
