経理・財務

経理の書類選考が通らない原因|有効求人倍率0.56倍の実数で読む

経理転職で書類選考が通らない方必見。採用担当者が見るポイントと職務経歴書・履歴書の改善策を経理転職専門家が解説します。通過率を上げる具体策とチェックリスト付きです。

経理の書類選考で落ち続けると、職務経歴書の書き方に原因を探したくなります。

※会話は、面談でよくいただくご相談をもとに再構成しています。

相談者

実は、5社に応募して、5社とも経理の書類選考で落ちてしまいました。職務経歴書の書き方が悪いのでしょうか。

森岡
LXキャリア

そのご相談は、面談でよくうかがいます。ただ、書き方を直す前に確かめてほしいことがあるんです。そもそも応募先の必須要件を満たしているか、応募の数が足りているかで、結果は大きく変わるんですよ。

ただし、落ちた理由を書類の中身だけに求めると読み違えます。なぜなら経理の求人は、いま求人が減り求職者が増えている局面にあるからです。つまり同じ書類でも、去年より通りにくくなっています。

そこでこの記事では、まず公的統計で「どれくらいの確率で決まっているのか」を実数で確認します。そのうえで、当社が書類を見ていて実際に落ちている原因と、直し方を整理します。

経理の書類選考は、いまどれくらい通っているのか

まず前提となる数字を置きます。厚生労働省の一般職業紹介状況(職業安定業務統計)は、職業別に求人・求職・紹介・就職の実数を毎月公表しています。したがって、経理職の需給はここで確認できます。

経理が含まれる区分は「会計事務従事者」です。令和8年7月・全国計・常用(パート含む)の実数は次のとおりでした。

項目 会計事務従事者 職業計 一般事務従事者
有効求人17,745件2,038,005件120,593件
有効求職31,928人1,949,781人415,773人
有効求人倍率0.56倍1.05倍0.29倍
紹介件数10,321件303,273件77,816件
就職件数1,432件79,756件11,917件

ここで注目したいのは、有効求人倍率0.56倍という水準です。要するに、求職者2人に対して求人が1件強しかありません。しかも職業計の1.05倍と比べると、およそ半分の水準です。

ただし、経理が特別に厳しいわけではありません。むしろ事務職全体がそうした構造にあります。実際、一般事務従事者は0.29倍とさらに低い水準です。

紹介から就職までの通過率は13.9%

さらに踏み込むと、もっと生々しい数字が出てきます。紹介件数10,321件に対して、就職に至ったのは1,432件です。つまり紹介ベースの成立率は13.9%になります。

なお、この数字はハローワークの紹介を集計したものです。ですから民間の人材紹介や直接応募の数字ではありません。とはいえ、7〜8件動いて1件決まるという桁感は、当社が支援している範囲の感覚とも大きくは離れていません。

ちなみに常用(パート除く)で見ると、紹介7,858件に対して就職910件です。したがって成立率は11.6%となり、正社員に絞るとさらに下がります。

前年より通りにくくなっている

加えて、方向にも注意が必要です。同じ統計の対前年同月比を見ると、会計事務従事者は求人が減り求職が増えています。

項目(対前年同月比) 常用(パート含む) 常用(パート除く)
新規求人−10.1%−10.8%
有効求人−9.1%−10.3%
新規求職+6.2%+5.7%
有効求職+2.6%+2.0%
就職件数−9.8%−14.8%
有効求人倍率(差)−0.07ポイント−0.07ポイント

求人が1割近く減り、求職が数%増える。この組み合わせは、応募1件あたりの競争が強まることを意味します。だから「去年の書類のまま出したのに通らない」という現象が起きます。

もっとも、この数字は落ち込みを煽るためのものではありません。むしろ逆です。要するに、書類の完成度で差がつく局面に入ったということです。

👉 あわせて読みたい:経理転職が難しい理由|母集団・要件・伝達の3層で分解する

経理の書類選考が通らないときに疑う順番

ここからは経理の書類選考が通らない原因に話を移します。ただし、いきなり書き方を直すのは順番が違います。なぜなら、通らない原因の多くは書類より手前にあるからです。

そこで当社では、次の順番で切り分けています。上から順に確認すると、無駄な書き直しを避けられます。

順番 疑うこと 確認方法
① 応募先の選び方必須要件を満たしていない求人に出していないか求人票の「必須」欄と自分の経験を1行ずつ突合する
② 応募数と分散母数が少なすぎないか、難易度が偏っていないか応募社数と、難易度の内訳を数える
③ 書類の情報量規模感・関与度・システム名が書かれているか職務経歴書に実数がいくつ入っているか数える
④ 書類の読みやすさ3枚を超えていないか、要約が冒頭にあるか冒頭10行だけ読んで人物像が浮かぶか確認する
⑤ 経歴上の論点空白期間や短期離職に説明が添えられているか在籍期間を並べ、6か月未満の箇所を洗い出す

実際、当社に相談が来る時点で①と②が原因というケースは珍しくありません。とくに応募社数が5社以下の段階では、書類を直すより先に母数を増やすほうが早く結果が出ます。

応募社数の目安をどう考えるか

相談者

では、応募は何社くらいを目安にすればいいのでしょうか。

森岡
LXキャリア

もちろん、決まった正解はありません。ただ、紹介から就職に至る割合は13.9%なので、数社で決まるほうが例外だと考えておくと気持ちが楽になります。むしろ難易度の違う求人を混ぜて出すほうが、経理の書類選考の結果は安定しますよ。

相談者

つまり、一社ごとの結果に一喜一憂しすぎないことが大事なんですね。

経理の書類選考で実際に落ちている5つの原因

次に、書類そのものの問題を見ていきます。以下は、当社が経理の職務経歴書を読んでいて頻度が高い順に並べたものです。

原因1:必須要件との突合ができていない

もっとも多いのがこれです。求人票には必須要件と歓迎要件が分かれて書かれています。しかし応募側は、歓迎要件まで含めて「だいたい合っている」と判断しがちです。

たとえば「連結決算の実務経験3年以上」が必須なのに、連結パッケージの回収経験だけで出す。この場合、書類の完成度に関係なく落ちます。したがって、まず必須要件を1行ずつ突合してください。

原因2:業務の羅列で終わり、実数が1つもない

2つ目は情報量の問題です。「月次決算、年次決算、税務申告補助を担当」とだけ書かれていると、扱った規模が読めません。その結果、同年次の他候補と並べたときに差がつきません。

そこで、成果でなくてもよいので実数を入れてください。具体的には月間の仕訳件数、担当した子会社数、月次締めの営業日数などです。むしろ規模を示す数字のほうが、読み手には判断材料になります。

原因3:使用システムが書かれていない

3つ目は見落とされがちな論点です。会計システムの経験は、企業側が候補者を絞り込むときの実務的な条件になります。ですから記載がないと、面接に進む前の段階で外れます。

加えて、製品名だけでは足りません。むしろ「どこまで触れたか」が知りたい情報です。したがって操作レベルを括弧書きで添えてください。

原因4:長すぎて読み切られていない

4つ目は分量です。経歴が長い方ほど、すべての在籍先を同じ密度で書いてしまいます。しかし読み手が知りたいのは直近です。

そのため、古い経歴は年月と社名と担当領域の1行に圧縮してください。そのうえで直近2社に行数を寄せます。要するに、削るのではなく配分を変えるということです。

原因5:応募先ごとの調整がまったくない

最後は志望動機と自己PRです。全社共通の文面を使い回すと、応募先が変わっても内容が変わりません。そして読み手は、それにすぐ気づきます。

とはいえ、全文を書き換える必要はありません。むしろ冒頭の1〜2文だけを応募先に合わせれば十分です。実際、当社が調整を提案するのもその範囲にとどまります。

👉 あわせて読みたい:経理の職務経歴書 書き方|レビュー現場の指摘5つと年代別例文/経理の自己PR完全攻略【例文7選+NG例つき】

経理の書類選考は必須要件の突合から始まる

原因1で挙げた突合を、実際の手順に落とします。ここが最も効くにもかかわらず、飛ばされやすい工程だからです。

やり方は単純です。まず求人票の必須要件を1行ずつ書き出します。次に、それぞれについて自分の経験を「主担当」「補助」「経験なし」で埋めます。そのうえで、補助と経験なしの数を数えます。

求人票の必須要件 自分の実態 判定
月次決算の実務経験3年以上主担当として5年充足
連結決算の実務経験パッケージ回収と精査のみ補助どまり
日商簿記2級以上取得済み充足
上場企業での経理経験非上場のみ経験なし

この例では、必須4項目のうち2項目が満たせていません。したがって書類の完成度を上げても、通過は期待しにくい応募です。むしろ、この求人に時間をかけるより別の求人に回すほうが合理的です。

ただし、補助どまりの項目は書き方で印象が変わります。要するに「連結決算の経験なし」と読まれるか、「連結の一部工程は回せる」と読まれるかの差です。だから補助の項目こそ、関与した工程を具体的に書いてください。

なお、必須と歓迎の書き分けが曖昧な求人票もあります。その場合は、募集背景と想定業務の記述から必須の重みを読み取ります。詳しくは経理求人の見方|失敗しないチェックポイント10選で扱っています。

採用担当者は書類のどこを、どの順番で見るか

ここで視点を変えます。書類は最初から最後まで読まれるわけではありません。むしろ絞り込みのために、決まった順番で確認されます。

  • 年齢と直近の在籍先、そして在籍年数(応募要件との整合を確認する)
  • 冒頭の職務要約(会社規模と担当範囲がここで読めるか)
  • 必須要件に対応する経験の記載(該当箇所を探しに行く)
  • 使用システム(自社と同じか、移行できそうか)
  • 在籍期間の並び(空白や短期離職がないか)

したがって、冒頭の職務要約が薄いと、そこで判断が終わります。逆にいえば、要約の3行を整えるだけで読み進めてもらえる確率は変わります。

なお、当社が候補者から聞く範囲では、書類の閲覧時間は非常に短いという声が多いです。ただし、これは各社の運用によって差が大きく、公的な統計があるわけではありません。ですから「短く見られる前提で設計する」という考え方だけ持っておけば十分です。

経理の書類選考を立て直す4段階

では、実際にどう動くか。落ち続けているときほど、手当たり次第に直すのは避けてください。そこで4段階に分けます。

段階1:応募先を並べ直す

まず、これまで出した求人を必須要件の充足度で3つに分けます。すなわち「すべて満たす」「1つ足りない」「2つ以上足りない」です。そのうえで、3つ目に偏っていたら応募先の選び方から見直します。

段階2:職務要約だけを書き直す

相談者

ちなみに、職務要約には何を書けばいいのでしょうか。

森岡
LXキャリア

まずは3行で十分です。1行目に会社規模と自分の立ち位置、2行目に担当範囲と関与度、3行目に次にやりたいことを書きます。というのも、書類は最初から最後まで読まれるわけではなく、冒頭で判断されることが多いからなんです。

相談者

冒頭の3行で、続きを読んでもらえるかが決まるんですね。

段階3:実数とシステム名を足す

そして、本文に実数を入れます。あわせて会計・販売・給与のシステム名を製品名で明記します。ここまでで、書類の情報量に関する原因はおおむね解消できます。

段階4:第三者に読んでもらう

最後に、書いた本人以外の目を入れます。自分では説明できているつもりの箇所ほど、読み手には伝わっていないためです。実際、当社の添削でも指摘が集中するのはこの種の思い込みです。

身近に読んでもらえる人がいない場合は、採用担当目線で職務経歴書を添削するAIキャリアコーチ「CAREER Hokushin」を最初の読み手にする方法もあります(無料プランあり)。

👉 あわせて読みたい:経理転職エージェントの賢い使い方【登録〜内定獲得まで全解説】

未経験・ブランクがある人の書類選考

需給が緩んだ局面では、要件を満たさない応募ほど通りにくくなります。だから未経験やブランクがある場合、書類の書き方より応募先の選定が効きます。

具体的には、必須要件に「実務経験」が入っていない求人へ母数を寄せます。加えて、前職のなかで経理に接続する業務を明示してください。たとえば請求書発行、入金確認、現金管理などが該当します。

👉 あわせて読みたい:20代未経験から経理へ転職できる?成功率を上げる4ステップ/経理のブランク転職|入職者の18.1%が空白期間を経ている

経理の書類選考で提出まわりに原因があるケース

最後に、中身以前の話をします。頻度は高くないものの、起きると原因に気づきにくい種類の失点です。

  • ファイル形式がWordのまま。レイアウトが崩れて読まれない場合があるため、PDFに変換して提出する
  • ファイル名が「職務経歴書.pdf」や「新しいドキュメント」。氏名と日付を入れて識別できる形にする
  • 履歴書と職務経歴書で在籍期間や部署名がずれている。経歴詐称を疑われる余地を残さない
  • 証明写真が古い、または服装が募集職種と合っていない
  • 応募フォームの自由記述欄が空欄。志望動機の要点を3行だけでも入れておく

とくに3つ目は重く見られます。なぜなら採用側は、書類の整合性を人物の正確性と結びつけて読むからです。まして経理職では、その傾向が強くなります。

ですから提出前に、履歴書と職務経歴書を並べて在籍期間だけ突合してください。1か月のずれでも、質問の対象にはなります。

相談者

それなら、応募先を選ぶ前に自分の年収の目安を知っておきたいです。

森岡
LXキャリア

たとえば経理の年収診断なら、担当範囲と保有資格から想定年収の目安が90秒でわかります。そのうえで、必須要件を満たす求人に絞って、応募先を一緒に並べ直しましょう。

相談者

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よくある質問

Q. 何社くらい落ちたら書類を見直すべきですか

社数だけでは判断できません。まず必須要件を満たす求人にどれだけ出したかを数えてください。そのうえで、要件を満たす応募が5社以上あって全滅しているなら、書類の側に原因がある可能性が高くなります。

Q. 経理の書類選考の通過率は公開されていますか

企業ごとの通過率は公表されていません。ただし需給の実数は毎月公表されています。したがって本記事では、紹介件数と就職件数から成立率13.9%を算出し、桁感の目安として示しています。

Q. 職務経歴書は応募先ごとに作り直すべきですか

全文を作り直す必要はありません。むしろ職務要約の冒頭1〜2文と、自己PRの結論部分だけを合わせれば十分です。ですから作業量は思うほど増えません。

Q. 求人が減っているなら、いま動かないほうがよいですか

一概には言えません。たしかに会計事務従事者の有効求人は前年同月比で9.1%減っています。とはいえ有効求人17,745件という母数自体は残っており、条件を絞らなければ選択肢はあります。なお、経理は決算期との兼ね合いで求人の出方に季節性があるため、時期の判断は個別に考えるほうが実際的です。

👉 あわせて読みたい:経理の転職活動スケジュール完全版【在職中でも3ヶ月で内定を取る方法】

まとめ|経理の書類選考は書類を直す前に母数と要件を見る

経理の書類選考が通らないとき、原因は書き方だけではありません。実際、会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍で、職業計のおよそ半分です。しかも求人は前年同月比で1割近く減り、求職は増えています。

そのうえで、紹介から就職に至る割合は13.9%です。つまり数社で決まるほうが例外だと考えて設計するほうが現実的です。

だからまずは、応募先が必須要件を満たしているかを確認してください。次に職務要約の3行を整え、そのあとで実数とシステム名を足す。この順番なら、直すべき箇所を取り違えずに済みます。

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📌 この記事の一次情報源

  1. 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表6・7-1・7-2・8-1(全国計/会計事務従事者/常用(パート含む)および常用(パート除く))。有効求人倍率・紹介件数・就職件数・対前年同月比はいずれもこの表の実数です
  2. 成立率13.9%および11.6%は、上記の就職件数÷紹介件数を当社が計算したものです。企業ごとの書類選考通過率を示す数値ではありません
  3. 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」調査の概要・用語の解説
  4. 応募先の切り分け方や添削の指摘傾向は、当社が2026年に扱った経理職の支援記録にもとづく当社の見解であり、公的統計にもとづくものではありません
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